中高年だから改めて思う「プロフェッショナル」とは何か?

 例えば「デザイナー」と「アーティスト」の違い

両者に分かりやすい違いがあるとすれば、それは製作の「動機」ではないだろうか。

「デザイナー」の多くはクライアントと呼ばれる「依頼者」がいて、彼らの意向を汲み取るところから仕事が始まる。

つまり、良いデザイナーの資質には、「ヒヤリング力」が問われる。

実際、こみちがそんな業界の端くれにいた頃、デザイナーで無口な人を見たことがない。

むしろ理路整然を分析し、どこか気さくさもあって、親しみやすい人が多い。

一方のアーティストと呼ばれる人は、内なるインスピレーションを具現化するから、話好きだったとしても独特の世界観を持っている人がいる。

一般的な常識で言葉を使っていないことも多く、だからこそ「相手」の方が様々な想像を働かせて、彼らの世界観を理解したいと思い接している。

そこで、割とビジネス的なやり取りを苦手としているアーティストも多く、制作は好きでもビジネスベースでの仕事となると勝手の違いに戸惑うだろう。

「プロフェッショナル」とは何か?

我々は学生から社会人になって感じる概念の一つに、「プロ」というものがあるでしょう。

別の言葉でいうなら「一人前」とか、「ベテラン」になるでしょうか。

先に、デザイナーとアーティストが異なる概念で、それだけに得意としていることが違うと紹介しました。

どちらも仕事として活動しているのなら、もう趣味ではなく「プロ」です。

しかし、何をもって「プロ」と呼ぶかは様々な考えに基づき、強いていうなら「一通りの作業」が基準以上のレベルでできることでしょう。

つまり、絵画などでは基礎力を高める手段として「デッサン」を行います。

静物や石膏像を描くことで、目で見た映像を手に伝える基本を会得します。

なかには、その「デッサン」が得意で、絵画教室の講師になった人もいるでしょう。

彼らはデッサンを学びたい人に向けてレクチャーできる「プロ」ということです。

一方で、彼らが「デザイナー」や「アーティスト」なのかというとすぐに答えることはできません。

なぜなら、例えばこんな経験があるからです。

あるボイストレーナーは、3オクターブという広範囲の音程で歌うことができます。

しかも、求められた音程を半音さえ外さずに的確にコントロールできるのです。

さすが「ボイストレーナー」のプロと言える技でしょう。

しかし、実際に歌を歌うと、確かに音程は合っているのに歌に心地よさが表れていないこともあります。

つまり、「歌手」のプロは広範囲の音程が出せることではなく、どれだけ聴いている人に「感情」と歌で表現できるかがポイントのようです。

歌手の中にはデビュー前にボイトレを受けて、より的確に発声技術を学ぶ人がいます。

しかし、ボイトレで会得できるのは、よりクリアーな音程であって、「人を魅了させる」地声を作ることではありません。

もちろんある程度のレベルなら、テクニックによってカバーできることもありますが、「平凡な声」であることで歌手には向かない人もいるはずです。

カラオケで満点を取ることができる人はボイストレーナーとして活躍できる才能と歌手として活躍できる資質を秘めています。

しかし、コンサートとしてその人の歌を聞きたいのかとなると、わざわざ会場まで駆けてくれるかは疑問です。

歌手として成功された人の中には、必ずしも歌が上手いわけではない人もいます。

しかし、その人が歌うと、その周囲の雰囲気が一変し、そこに居合わせた人たちが思わず歌う姿に視線を向けるのです。

この「思わず」が成せるか否かがポイントで、プロの歌手として成功できる資質なのでしょう。

介護士のプロフェッショナルとは?

こみちが思うプロの介護士とは、実は先に紹介したデザイナーとアーティストの両方の要素があります。

具体的には、相手の話を聞き、話している言葉だけでなく、その背景や心理にまで想像を巡らせて、求められる「ミッション」を探ります。

まさにデザイナーに求められる資質そのままです。

一方で、技術的にミッションを達成しても、客である利用者は嬉しいと感じられないこともあります。

理由は簡単で、感情が湧く状況が限られてしまうことも介護支援を受ける利用者の特徴だからです。

つまり、適切な作業であればいいのではなく、利用者に認知できる手段で行うことも必要です。

また、アーティストが求められる「世界観」は、人々が思う理想や生きる喜びを引き出します。

歌のレクリエーションで、利用者と一緒に歌うことも意味あるレクリエーションの作用ですが、思わず聴き惚れてしまうような歌声があると、日常的には感じられない感情さえ引き出せます。

楽器演奏やダンスでもいいでしょう。

昔、利用者自身もしていたようなことであれば、無意識だとしても懐かしさを感じられるはずです。

優先されるのは、技術的なことですが、「人柄」とか「笑顔」のようなものは介護士自身の特徴でもあり、そこに向き合う利用者の心を自然と和ませます。

この生まれ持った資質は、技術以上に会得が困難で、向き不向きが出やすい部分でしょう。