介護士の「音痴」の直し方

 音痴のこみちだからこそ分かること

音痴なこみちは、サラリーマン時代から打上げにつきものの「カラオケ」が苦手でした。

理由は小学生時代に遡るのですが、担任の先生から「歌うな!」と音楽の授業中に指摘されて以来、人まで歌うことができなくなったのです。

でも、「歌」というか「音楽」は好きで、当時家に置いてあった父のギターを勝手に持ち出してジャラジャラと弾いたのもそんな理由からでしょう。

しかし、中高時代に流行った「バンド」にも興味は持たず、もっぱら音楽は聴く専門でした。

介護士になると

介護士として施設で働く場合、デイサービスを早々に候補から外したのは、単純に歌や体操を人前でさせられると聞いたからです。

「人前で歌えるはずなどない!」

実はオムツ交換と同じくらい、「カラオケ」の有無が介護士として働く時の条件に含まれていました。

「カラオケはあるけど、歌わなくてもいい」と聞いて入職したものの、初めてのカラオケレクリエーションは「あの打ち上げの時のカラオケ」そのものでした。

ただ、こみちが音痴であることや、人前では歌いたくないと周囲に言いふらしていたので、「今度は、こみちね!」と無茶振りさせることはありません。

さらに、毎回裏方役でもカラオケレクリエーションに関わることが増え、耳で聞いた「演歌」も頭の中で浮かぶようになっていました。

さらに、ギターの練習を始めたのは、まだ前職の会社に勤務していた頃で、毎日、少しでもギターを抱えて爪弾くことを続けたこともあって、「音が合っている」という感覚が分かるようになったのです。

日常業務の中で

介護士として働くと、何かと利用者に向かって声を出す機会も増えます。

小さな声では聞き取れないので、ある程度のボリュームで話そうとしているうちに、「腹式呼吸」の要領も体感できました。

すべてのことが段々と「歌を歌う」準備となり、ある時からカラオケに合わせて歌うことに抵抗感がなくなりました。

同時に、YouTube には本人や歌が上手い人のカバーなどがアップされている他、カラオケもあって、一人で練習することができます。

「どんな風に最初の音を合わせるのか?」

音痴のこみちは、「キー」が分からなくなり、音が上に下にと乱高下してしまいます。

そこで、単純にギターで弦一本を弾いた時のように、「音階」として音を感じるようにしたのです。

どうしてもできない時は、本人の歌に合わせて、まずは音程だけを合わせるつもりで耳に集中します。

それがある程度掴めたら、今度は歌詞をリズムに合わせて当てはめる練習に切り替えます。

そして最後に、本人と口真似をして、カラオケでも歌ってみます。

おすすめは「童謡」

ギターの時も、「童謡」を使って練習していました。

リズムがゆっくりなので、音程を合わせやすく、音域も広くないので初心者でも歌いやすいはずです。

「さくらさくら」や「うみ」、「赤とんぼ」、「ゆきやこんこん」などがおすすめです。

男性であれば「月の砂漠」なども歌いやすいでしょう。

ただ、童謡に比べて、一音を長く伸ばす歌い方なので、「腹式呼吸」をマスターしていると楽に歌えます。

練習方法としては、同じ音程で、音の強さも変えないで、いわゆる「ロングトーン」を繰り返しましょう。

さらに、合わせられなくてもいいので、ピアノのアプリなどを使って、ドから始まる1オクターブを真似てしましょう。

約8っ個の音階を使えるだけで、どうにか人並みに歌えるレパートリーが格段に増えます。

高齢者もよく知っている曲としては、「高校3年生」とか、「青い山脈」などを練習するといいでしょう。

こみちが難しいと思う曲

たくさんあるのですべてを紹介することはできませんが、例えば「ミスチル」の曲や「ゆず」の曲、「チャゲアス」の曲などは全般に大変です。

ミスチルで言うと、「HANABI」が挙げられます。

改めて聞いてみると、童謡の時に比べて音程や音の長さがまたたまに変化します。

それだけ瞬時に合わせて行かないと、曲としてズレてしまいます。

つまり、音痴になるのです。

克服する方法としては、オリジナルを繰り返し聴いて「曲」を覚えてしまうことでしょう。

そして、口パクでリズム感がズレていないかを確認し、カラオケで試してみるという流れになります。

もちろん曲は知っていたのですが、歌うために知っていると言うレベルではなかったので、今は繰り返し耳にして頭の中で曲が鳴っている状況を作ろうとしています。

もう一曲紹介すると、平井堅の「瞳をとじて」でしょう。

この曲はとにかく音域が広い。

歌い出しの「朝目覚める度に…」はとてもゆっくりですが、音程にほとんど幅がありません。

つまり、しっかりと曲を覚えていないと「同じ音」で歌ってしまう失敗をします。

細かな抑揚に気づき、それが分かると曲の難しさがより明確に感じ取れます。

そしてサビとなる「瞳をとじて、君を描くよ」に差し掛かることには、この高音に喉がついてきません。

頭で想像している音とは異なる音程の音や擦れて音にならないでしょう。

カラオケレクリエーションとは何か?

ここまで「歌」を見直してみて、カラオケを上手に歌える人もこみちのように上手く歌えない人も、「プロセス」を理解することで「カラオケレクリエーション」の質は向上します。

プロのように上手いことがすべてではなく、曲ごとにある課題を理解できれば、選曲も歌いやすいものから始めて、喉が慣れてきた頃に少しずつ「難しい曲」も織り交ぜます。

そうする中で、利用者もあの曲のこの部分が上手く歌えなかったと気づけるでしょう。

次回は上手く歌えるように個人練習をしてもいいし、またみんなと一緒に歌いやすい曲を中心に歌ってもいいのです。

高音が出ない理由にも興味が湧き、歌う時の姿勢や喉の締め付け方など、改善するべきポイントに気づきます。

こんなトライアウトが、利用者のレクリエーションに大切な「生きる喜び」に通じるのでしょう。

そんな風に思うようになって、最近の こみちは相変わらず音痴のままですが、歌を楽しめるようになりました。

皆さんもお試しあれ。