なぜWワークだったのか?
現役の介護士をしている中高年のこみちですが、端的に言えば介護士は完全なる肉体労働。
しかも、技術を必要としているのに、それに見合った報酬とは言えません。
感覚的に判断するなら、都内で時給1500円、地方都市でも1200円は欲しいと感じます。
一方で、その場合にどんなことができる必要があるのかというと、その施設で行われる身体介護の全てをカバー可能ということです。
つまり、移乗や誘導、食事、排せつ、入浴、さらにレクレーションなどの司会も含まれます。
現場経験を有している人なら想像できると思いますが、一人の介護士で20名の利用者を日中の昼下がりに約1時間は回せるだけのスピードがあることを基準にしています。
感覚的には、トイレ誘導が2箇所、さらに別の利用者から何か頼み事を受け、さらに事務所からの連絡や、タイムスケジュールに沿った通常業務をこなしてもらえるくらいのレベルです。
この状況は、複数の作業を同時進行させられることになりますから、仮に新人介護士が何をしていいのかわからない場合に、適切な指示を出せることも意味します。
そこまでできて、時間1500円は相当の破格です。
なぜなら、単純にオムツ交換ができるというレベルではありませんから、そんな介護士が一人シフトに入ってくれるだけで、現場の安定感は格段にアップするからです。
異業種との違いとして、介護士の仕事ができるとは、それこそ20名の利用者を1時間ではなく、2時間3時間とより長時間回してくれる状況を言います。
難解なプログラミングができるというような特殊性ではなく、誰もができる作業をより安全に効率的に、現場の状況を見ながら切り盛りできることなので、年齢ではありませんが体力は必要です。
こみちで言えば、1時間程度が限界だと感じます。
それ以上になると、やるべきことは分かっても足がついてきません。
これが、10名の利用者なら、介護度にもよりますが、平均3程度なら半日、1や2になれば休憩を除いた8時間を回せるかもしれません。
例えば10名を担当する勤務一回8時間で、日当が1万2千円なら妥当な金額ではないでしょうか。
週4回の日勤帯のみの勤務で、月収25万円とするなら、なかなか中高年には魅力的な仕事でしょう。
しかし現実的には地方の介護施設なら、時間給1000円に届かない職場もあります。
その分、現場作業の負担を緩和してくれて、10名のところを8名とか7名とかにしてくれるなら、長く働き続けるには悪い条件とも言えないでしょう。
しかし、まず介護士と言っても、個々にスキルが違い過ぎて、20名を安全に回せるスタッフとなるとそれこそ半分もいなくなってしまいます。
通常はその時間帯に自分しかできない仕事が含まれていて、こみちの仕事は途切れないのに、別のスタッフは手が空いてしまうということが起こります。
スキルの底上げができればいいのですが、施設としての思惑通りにはならずに、仕事が増えていかないスタッフも少なくありません。
つまり、3名を配置しても、稼働としては2名分となり、人件費が膨らみやすいのも介護業界の特徴です。
そのような事実から、自身の仕事スピードをアップするだけでは、報酬に反映させないばかりか、作業の限られたスタッフと組になり、カバーしながら現場を回すことを求められます。
もちろん、リーダー手当や管理手当のようなものは付きませんから、場合によっては大変な仕事ばかりを一人でこなし、さらに残った仕事を頭数で割って作業しなければいけないこともあり、段々とこみち自身も体力が続かなくなってしまいました。
介護士とは別の仕事を加えて、体力温存と収益の確保を目指すことにしたのです。
それが、ダブルワークを始めた理由です。
製作の仕事を選んだものの
ダブルワークを選んで、3ヶ月くらいになるでしょうか。
結論を言えば、別の仕事を加えて正解でした。
その理由は、精神的な負担が増していた介護士の仕事で、必要以上のストレスを溜めずに済んでいるからです。
ただし、出勤回数を減らしたことで、職場の雰囲気が変わってしまったと感じます。
特に利用者の様子が著しく変化し、認知機能の低下が見られる利用者が増えました。
きっと、仕事が忙しくて、利用者に話し掛ける時間を割いていないのでしょう。
見えない介護ではありますが、利用者との接し方次第で、利用者の雰囲気は明確に違って来るからです。
それこそ、体力的に問題ない年齢で、時間給も1500円出せますよと評価してくれれば、ダブルワークになっていなかったかもしれません。
しかし、利用者の満足度を上げるためには、必要とされる準備があって、そこまで含めて担うとなれば、時間給1500円では荷が重過ぎます。
強いているなら介護サービスの定型化をコーチングすることになるので、時間給に換算するなら1800円以上はもらえないと難しいでしょう。
実際に現場の雰囲気を良くするには、必要不可欠な取り組みですが、見えないだけに気づきにくい部分もあって、「コーチング」に手当はつかないでしょう。
だからこそ、こみちとしては、異業種での活路に切り替えたかったのですが、最近はその製作の職場でも、問題を感じ始めています。
仕事に慣れてきて、こみちに前段階を担当された人のミスまで修正させようとして、見えない負担が増加しているのです。
「ミスを無くして仕事を完成させる」という基本を崩し、最後を担当するこみちが全体の品質まで管理しなければいけないことになってしまうのは、正直なところ報酬に含まれていない部分でしょう。
上司は口癖のように「品質保持」を言いますが、実は一人が頑張って保つべきことではなく、全体として持ち分に責任を持つことが基本です。
時には、前任者の仕事をやり直ししているようなものまで含まれ、当初とは随分話が違ってきたと思います。
まぁそれでもすぐに辞めないのは、介護士の仕事も同様に厳しい状況で、以前のように仕事量えお増やして頑張れる気力はありません。
そうなっているからこそ、次々と職場を変えても結果は見えてきませんし、もう少し耐えどきかなぁと感じます。
状況分析できていないのだから、見えている範囲で判断してしまうのは仕方ないこと。
ただ、想像以上に、雇用されて得られる仕事には、気になってしまうポイントがあります。
そして、変に訳知り顔をすると、負担ばかりが増えてしまうという傾向があり、それでいて正当に報酬を反映させてはくれません。
介護だけに起こる現象かと思っていたら、意外と異業種でも急募や中高年の採用に積極的な職場では起こり得る問題なのかもしれません。