コロナ禍の影響がじわりじわりと…。

 介護士として

介護士としての役割に段階を付けるとしたら、利用者と関わりという面では、傾聴、誘導、介助と難しくなって来ます。

例えば、「傾聴」にしても、利用者の話に相槌を打つことから、話題を膨らませて精神状態まで探るということも含まれます。

利用者にしても、「〇〇してください!」と具体的に言うこともあるでしょうし、「寂しい」と感情を訴えることもあります。

具体的な要望であれば、それができるスキル次第です。

一方で、精神的な要望になると、利用者の深層心理にどう寄り添っていけば良いのかは経験や両者の人間関係に影響されます。

目安として、介護未経験者が入職して3ヶ月後に、個々の利用者の氏名や性格を理解し、それぞれに合った会話ができるようになって欲しいと思います。

もちろん、トイレ誘導や排せつ介助もマスターしてくれると心強いわけですが、利用者のことを理解できれば、そのあとは経験した回数次第でしょう。

夕暮れ症候群という、高齢者によく見られる帰宅願望が夕方に起こることがあります。

「帰りたい!」「帰ります」

という風に言い出して、荷物をまとめて施設を出て行こうとします。

「ちょっと待ってください!」と呼び止めても、利用者本人にすれば帰らなければいけない理由があって、それを我々介護士が無理やり呼び止めている状況になっています。

あまりに足止めしていると、利用者は怒り出して「離して!」と騒ぐかもしれません。

でも、利用者本人にすれば、急いでいるのにあれこれと言い寄って帰してくれないのですから無理もありません。

大切なのは、介護士の立場から話すのではなく、利用者の立場になることです。

それを叶えるには、「傾聴」が欠かせないスキルで、介護士として最初に求められることですが、それがベテランになっても難しいことでもあるわけです。

コロナ禍で介護現場にも影響が…

最近、介護士同士でも疲れた表情をしている人が増えました。

何かし終えた時にため息をついたり、始める時に自分に掛け声を掛けたり、それが無意識なので余計に疲れを感じさせます。

先に紹介したように、介護士でもスキルは同じではありません。

介助は難易度の高い作業ですが、基本の傾聴ができないという介護士もいます。

そんな介護士が問題になるのは、精神的に問題を抱えた利用者が現れた時です。

傾聴できない介護士は、自分目線で考えます。

利用者の立場になれないので、不安感がずっと続き、それが別の利用者にも連鎖します。

「自分は間違えたことを何もしていない」

と思っているので、現場が混乱しても慌てる素振りも示しません。

ここまで極端でなくても、定時の作業があるのに、それをしようとしない人や何かしているから誰かがするだろうと思って、気づく人や仕事が早い人ばかり仕事をしている状況になります。

これが最近の介護現場で顕著になり、頑張る介護士の疲労感が増しました。

できない介護士は、頑張る介護士のペースが落ちても、カバーするという発想はなく、仕事だけが残って、疲弊した介護士が疲れた表情で仕事に追われます。

一方で、そんな介護士は疲れても辞めることが言い出せません。

なぜなら、職場に迷惑を掛けることを察してのことです。

段々とコロナ禍で、疲弊した介護士が増えてきました。