格闘家が考えていること
パンチが得意な選手でも、左右の拳を突き出すにはタイムラグが生じます。
また、腕の長さによって、突き出せる距離も限界があります。
つまりは、ハードパンチャーと言われる選手は、実力を発揮できる距離や位置関係をキープできりことが重要なのです。
一方で、受け手側は巧みなステップを駆使して、相手のパンチをもらわない、または芯を外すことに集中します。
軽量級の選手では圧倒的にスピードが速いですし、中重量級の選手では重く破壊力のある武器を持っています。
昔、マイクタイソン選手がボクシングのヘビー級で活躍しましたが、本来ならヘビー級の面々よりも小柄でしたが、スピードとパンチ力に優れていたことで、相手を面白いようにノックダウンさせていました。
介護士の場合
介護士に共通するトイレ誘導やオムツ交換などは、どこの施設でも知っていて損はありません。
日常的に求められる作業ですから、介護士として働きたいなら一回でも多く経験することです。
ただ、介護施設によって求められる作業は随分と違います。
こみちが勤務しているのは「老健」ですが、隣接する「デイサービス」ではまた異なった作業が増えます。
例えば、施設に訪れた利用者を、歌やダンス、工作などレクリエーションとしてサービスするのもデイサービスでは多くなります。
ただ、人前で歌うだけではありません。
一緒に楽しむためにどうすればいいのかを意識して、介護士は仕事を進めます。
自分の強みや得意とする持ちネタが多いと、それだけいろいろな利用者に対応できますし、不慣れでは利用者も楽しめません。
つまり、一つ目の施設ではしっくり来ない人も、別の施設なら楽しくなったという人はいるはずです。
また、一つの施設で長く働くのも方法ですが、ある期間で異なる施設を移動して、いろんなサービスに触れることで、最終的に自分が求める職場が見つかるかもしれません。
格闘家と介護士の共通点
格闘家の中にも、所属するジムだけでトレーニングする選手がいます。
一方で、出稽古としていろんなジムに顔を出し、そこにいる選手と練習する人もいます。
特に出稽古をする選手の中には、「緊張感」という言葉を使って所属の異なる選手との対戦を挙げる人もいるのです。
慣れ親しんだ環境というのは、とても居心地良い場所ですが、一方で「成長」を妨げることにも繋がります。
というのも、苦手な作業や不得手なことも、勝手の分かる場所では避けることができるからです。
異なる環境を経験することで、「当たり前」が減り、「慎重に対応する」ことができるのも、出稽古には「緊張感」があるからです。
介護士の場合も、介護力を高めるにはいろいろな利用者に接することが重要です。
少数の利用者に手厚い介護というのも大切なことですが、未経験から始める人は最初に「老健」などで経験することをオススメします。
老健なら、心身機能が異なる利用者が多く、マヒや拘縮など、知っておいた方が良い症状に触れられます。
また、人工肛門や経管栄養など、医療機関に近い施設でないと見ることができないことも多く、介護経験を幅広く学べます。
その上で、自身のスタイルを見つければ、何故そうなのかを理解して仕事に従事できるでしょう。
「〇〇だと思った」
知らなければ、想像するしかありません。
しかし、そのことを知っていれば、「〇〇なので〇〇した」とより具体的な発言になります。
闇雲にマージンを大きくしてしまうと、疲労に繋がりますし、ミスや非効率にもなります。
具体的に作業するためにも、どこまでは安全で、どこからが注意しなければいけないのかを知ることは、格闘家でも介護士でも共通していることでしょう。
実作業ということではなく、環境作りという意味で、どう自分の身を置くかが、成長や成熟度に大きく影響を与えます。
慣れた環境で、いつも同じ作業を繰り返していると、いつしか無意識になってしまいます。
急変や異変が起きた時に、流れのままにミスしてしまうのは、意識だけの問題では対応不可能でしょう。