介護士とはどのような仕事なのか?
ベースとして、介護施設は入所している利用者の安全管理に努めなければいけません。
ここでいう安全管理とは、まず生命や身体、精神面での注意義務が挙げられるでしょう。
つまり、そこで働く介護士としては、自身が提供しなければいけないサービスを理解し、さらにそのサービスが適切に提供されているのかも確認しなければなりません。
車イスに着座した利用者の姿勢が、例えば浅くてずり落ちて見える場合や、左右に大きく傾いてしまうような状況であれば、その改善にも意識を配る必要があります。
もう少し踏み込んで言えば、喉が渇くことを想定し、定期的に飲み物を提供することになるものの、対応が可能であれば冷たい方がいいのか、温かい方がいいのか、確認することも含まれます。
場合によっては、別の飲み物を提供した方がいい場合もあって、サービスの種類や質をどこまで高めるのかも大きな課題となるでしょう。
では三度の食事や水分、排せつのケアだけが介護士の業務でしょうか。
ここからは目で見えにくい領域であり、「介護」や「ケアの方針」によって、個々の介護士がどこまで踏み込むべきかが異なります。
自宅で暮らしていた時、お茶が飲みたくなったら自分でいれていたでしょう。
ところが施設に入ると、多くのことを介護士が代行します。
心身機能の低下に配慮したサービスとも言えますが、一方で利用者の「できる」を奪ってしまうことでもあります。
あれこれと要求を重ねる利用者の言い分を全て叶えることが、本来のサービスではないことも分かるでしょう。
どこまでするのかを見極めることがポイントで、介護士が利用者の「できる」を増やせるように動かないといけません。
さて、ここで問題なのは、介護士が利用者の「できる」をどこまで向上させようとしているのかです。
まず前提として、介護士自身がサービスの必要性を感じ取ることができて、それを提供するための知識や技術を学んでいることが勉強会につながります。
問題は、どうしても出てきてしまう介護士によって異なる洞察力や判断力の差が生じてしまうことです。
サービス業としてのケアではなく、心身機能を維持向上させる意味でのケアによって、利用者の病状や抱える精神的不安感などを支えることになります。
しかしながら、そこまでの行き届いたケアは、深くケアに関して知識や技術を備えていないと、実現することは難しくなります。
営業マンに求められる資質
営業マンの多くは抱える顧客の満足度を高めるために働いています。
結果として多くの契約を締結できたり、より高額のサービスを受注できたりと、介護士に問われていた「洞察力」や「判断力」を活用して、より稼ぐことができるでしょう。
しかし、例えば介護士の場合には、高い質を期待するものの、そこで提供されるサービスについて追加報酬が発生することはありません。
つまり、介護士としてのサービス提供が一定水準から向上しないのは、異業種へと人材が流出してしまう背景も考えられるのです。
より利用者にとって必要なサービスであっても、それと同じ要素を含む業種では、その内容に応じた扱いを受けられます。
建築家の仕事と比較すれば
さらに建築家という仕事と比較すれば、まず建築家として名乗るには「一級建築士」を筆頭にそれぞれの専門資格を取得しなければいけません。
営業マンの場合には、ある意味で無資格でも行えた仕事が、建築家の場合には「資格」によって制限されるのです。
それだけ「建築家」として名乗り、仕事に関わるまでに必要な条件が多いことになります。
営業マンの場合、顧客からニーズを聞き出し、適切なサービスを提供することが基本でした。
建築家の場合にも、顧客が求めるニーズを元に設計が始まる点では構造として同じです。
しかし、ニーズに応じるためには、専門的な知識や技術が不可欠であり、また資格試験に合格してその熟知度合いも基準値を越えなければいけません。
さらに踏み込むと、介護士という仕事でも、専門的な知識を得ると国家資格である「介護福祉士」を名乗れるのですが、多くの場合にそれは「資格手当て」として反映されるに過ぎず、建築家のように自身が手掛けた「作品」や「実績」として認められる社会的背景も整っていません。
介護現場で何が起きているのか?
とは言え、介護現場では利用者の健康が絶えず変化しています。
身体的な安全管理が行われていても、精神的なケアが不足すると利用者の表情がみるみる変化してしまうのは現実問題です。
介護士としての業務が、サービス提供と思い混んでしまえば、そんな変化する利用者のことは老化現象として扱われるでしょう。
しかし放置されることによって利用者の健康が変化するのは経験的に分かることで、介護士に高度なケアを求め続ける状況が続いているのも事実です。
ただそれに応じられるだけの体力や気力というのは、年代によっても限界があり、特に中高年を超えた介護士では応じきれないことも増えてしまいます。
これが営業マンや建築家としての業務なら、報酬が2倍や3倍変化していることも十分にあり、介護士として業界にこだわる理由があるとすれば、利用者に対するケアを強く望んでいるからでしょう。
そもそも、介護業界の人材不足は、異業種との格差に始まり、業界にとどまる人材育成の難しさも関係しています。
他人の感じる幸福に寄り添い、その人でも叶わないことでさえ介護士がケアする状況は、期待し過ぎるという評価にもなりますが、介護士としては無念さや力不足を感じる結果にも繋がります。
肉体的にも精神的にもすり減らしながら現場で働く介護士に、社会的な評価が得られるシステムができると、彼らの努力も報われることでしょう。