信頼される「介護施設」の見極め方

 なぜ、信頼される「介護施設」を知る必要があるのか?

現役介護士として施設で働いてみると、「介護とは何か?」を疑問に感じることがあります。

経験を重ねることでも「介護」の感じ方が変化するとは思うのですが、現時点では「ケアプランから導き出すもの」と考えています。

つまり、「介護とは?」と聞かれて、自分が考える介護の印象を答えることではなく、介護保険制度が施行されている以上、「ケアプラン」の中から「介護」の本質を導くべきなのです。

では、信頼される「介護施設」とはどのような施設でしょうか。

例えば、料理に工夫を凝らしているということを挙げるのは、「介護とは?」と尋ねられて自分の考えを語ることと同じです。

つまり、施設側の努力や想いそのものが「信頼」を作るのではありません。

努力や想いをきっかけにして蓄積された技術や知識をもとに、「利用者に合ったケアプラン」を具現化することです。

注目しておきたいことは、利用者の要望を何でも応えることが介護ではありませんし、施設や現場スタッフの判断を押し付けることも介護ではありません。

つまり、利用者からお願いされたことに対して、施設やスタッフは親身に話を聞き、応じられる時は最適な方法で、応じられない時には「その理由」を利用者にも分かる言葉で伝えることです。

介護現場でよく見かけるのは、利用者が騒いでいて、その理由にも耳を傾けないで放置したり、勝手に理由を決めつけてスタッフが厳しい口調で利用者を叱責するような光景です。

共に「信頼されない」典型的な施設やスタッフですが、ある意味でスタッフの教育を行わないと「誤解」したまま働くスタッフが現れます。

特に人材不足もあって、少し癖のあるスタッフでも首を切れない状況もあり、施設は簡単に信頼されるサービスを提供できずにいます。

つまり、なぜ「信頼される」施設になれないのかを知っていれば、日々介護現場でスタッフの動きを注意深く観察できるでしょう。

これから介護施設で働きたいと考えている人は…

必ず行って欲しいのは「施設見学」です。

実際に働いている様子を見学させてもらい、そこで自分が働けるのかを検討しましょう。

ポイントは、「その職場で働きたいと思えるか?」です。

和気藹々と楽しそうにスタッフも利用者も笑顔なら言うことはありません。

しかし、利用者の中には騒いでいることもあります。

問題は、騒ぐことではなく、そんな利用者をスタッフがどう寄り添っているかでしょう。

もしもその時以外にも騒ぐ人であれば、前回もスタッフの誰かが駆け寄ったはずで、寄り添い方にも慣れが見えます。

もしかすると、少し馴れ馴れしい寄り添い方かもしれません。

しかし、それは利用者とスタッフに信頼関係があると、利用者はスタッフを見て反応を変えることもあり得ます。

ところが、呼び掛ける様子も見えないで、「静かにしてください!!」とスタッフが一方的に要求するような場合には、施設として一方的な介護を提供しているかもしれません。

現役介護士として働いていて、自分が大きな声を出すのは「自分のキャパシティ」が限界に近づいているからで、段取りや方法が確認できていればもっと冷静に対応します。

つまり、感情的に大きな声を出してしまう理由は、自分自身をコントロールできていない現れなので、スタッフの対応を見ればその施設全体の信頼度も推し量れるでしょう。