「介護サービス」の品質はどこて決定されるべきか?

 「介護サービス」とは何か?

ここで言う「介護サービス」とは、利用者が入所を決めたベースとなる「ケアプラン」に示された施設の「担当課題」のことです。

例えば、ある利用者が歩行機能の向上を求めて、自宅復帰するまでの間に老健を使うことにした場合などが当てはまります。

利用者としては、入所前に説明された「介護サービス」の内容に納得や理解を示し、その内容に従って機能訓練や介護士による生活上の支援が行われるというものです。

問題が起こるポイントとは?

例えば「大丈夫」という曖昧な言葉だけで、十分な支援方法も説明されないままに入所してしまったらどうなるでしょうか。

利用者は「あれもして欲しい!」し、「コレもして欲しい!」と訴えるでしょう。

もちろん、介護士という仕事は、利用者のことを観察し、不便に感じていることが有れば、それを介護記録に残し、次回のケアプラン見直しに活かせていきます。

つまり、「ケアプラン」の質が介護サービスの根底を決め、現場の介護士がそれを実行しながら問題点を見つけ出し記録することで、利用者に起こるサポートの質や方法が見直されて行くのです。

ところが、「ケアプラン」の内容が薄く、ケア方法のポイントも不明確な場合、介護士たちは全面的にニーズ対応し、支援の必要性から確認しなければなりません。

実はこの部分が、介護現場をとても混乱させてしまいます。

具体的な問題ポイント

自宅で過ごしているような環境の一環として、施設によってはテレビを付けていたりします。

そして、利用者の要望に応じて、見たいチャンネルを自由に選んでもらっているというケースも少なくないでしょう。

それは、「より自宅に近い環境で」という配慮から行われる介護サービスです。

しかし、テレビの音量が大き過ぎたり、いつも同じ利用者がリモコンを使っていたら、そこには問題点が出てきます。

体調不良や疲労などで、日中に休んでいる利用者がいる場合、意外とテレビの音量は気になるものです。

動き回る介護士には耐えられても、ベッドで静かに横になっていると、不快な振動として耳に届くでしょう。

「テレビがうるさい!!」

そんなクレームが寄せられることになります。

一方でフロアでは、「テレビが聞こえない!!」とも言われるでしょう。

介護現場では、いろいろなサービスが頻繁に提供される関係もあって、時に相反するようなニーズが持ちかけられることも少なくありません。

また、歩行を目的として入所を決めた利用者が、別のレクリエーションを拒絶し、介護士に「歩行」を求めた場合はどうでしょうか。

介護施設ではスケジュールに従って行動しているので、まずそのことを利用者に示す必要があります。

しかしながら、利用者によっては要求を我慢することが苦手で、感情的に訴えてしまうケースも出て来ます。

さらに、時間帯によっては介護士の数が不十分で、スケジュールを実施するのは可能でも、個々の利用者にサービス提供の手順や目的について、詳細に説明する時間が取れないことも珍しくありません。

そのような利用者によっては、ある介護士を30分近く抱え込み、他の介護士たちに大きなしわ寄せが来るだけでなく、他の利用者たちも十分なサービスを受けられないでしょう。

「ケアマネ」の実態

介護業界に未経験者として入職した場合、いろいろな条件でmk変化しますが、単純に8年以上の期間働かないと「ケアマネ」にはなれません。

「8年」というと、学校を出た人が、社会人として働き始めて三十路を向かえる頃に当たります。

つまり、中途採用も多い介護業界を考えると、かなり長い期間を設定していると言えるでしょう。

一方で、「ケアマネ」になったとしても、介護士と比較して「報酬」面での優遇が約束されるとは限りません。

個人的には介護研修を受けている時に知って、少し残念に感じた所でもあります。

実際、ケアマネの肩書きを持つ人が、介護現場で働いていることも珍しくなく、むしろ介護士以上に仕事を抱えていることも多いくらいです。

こみちが勤務している老健の場合には、ケアマネと介護士を兼務するスタッフが専任よりもたくさんいます。

つまり、ケアマネがたくさん仕事を抱えれば、「ケアプラン」という方法づけに十分な時間が割けずに、「前回同様」と問題の改善以前に、業務が継続されることに主眼が置かれたりもします。

しかしそんなケースが一般的になると、利用者の心身状態とケアプランの内容に齟齬(そご)が生じ、介護現場が混乱します。

「なぜ、歩かせてくれないんだ?」

歩行を目的に入所した利用者は、そんな風に感じるでしょう。

しかし、時間や頻度の面で事前の条件をクリアしていても、質や内容の面で納得していなければ、利用者の不満は募ります。

そんな利用者のストレスが、いろんなところで起きてしまうと、介護サービスを正常に提供できない事態が起こります。

ひいては介護士の負担が増加し、想定された労働力に見合わないことも出て来るでしょう。

息つく暇もないほど、忙しく動き回っている状況が続けば、介護士の中には体調不良で休む人も出てしまいます。

残された介護士たちにさらに労働量が増せば、介護サービスを提供するうえでも悪循環になってしまいます。

つまり、「ケアマネ」の役割を軸とするなら、十分な報酬と専任として任せられる環境が必要でしょう。

介護士の育成が行われなければ、結局はケアマネが現場も兼務し、ケアプランの質が下がってしまうことになるからです。