なぜ、施設長の座を退くことにしたのか?

 いきなりの退陣!?

今年度から「施設長」として異動して来たのは、まだ40代になったばかりの人です。

爽やかな印象で、女性介護士からの評判も上々という感じでした。

しかし、この半年くらいで組織の中核を担うポジションだったスタッフが退職や異動しているのは紛れもない事実となっています。

先日も、空調設備に関する修理の件で施設長に相談し、短い時間ですが直接話もしました。

ですが、施設から異動するという話も聞かされていませんし、他の人から噂話を聞かされた時には「嘘でしょ!?」としか言えませんでした。

施設の方針を決定する役目を担っている!?

介護サービスを提供して欲しい利用者は、施設選びをしなければいけません。

逆を言えば、施設はどのようなサービスを提供し、利用者の期待や希望に応じられるかを提示する必要があります。

対外的にサービス内容を示すには、スタッフの研修や勉強会による成果や実施しているイベントなども大切です。

しかし、どんなに研修やイベントを増やしても、施設運営が十分だとは言えません。

というのも、「介護現場」という場所は、とても見えにくいからです。

仲良くならんで談笑しているように見えても、個々に接してみれば相手への不満は当たり前に出てきます。

逆に何も言わない利用者は、不満を胸にしまったいると思ってもいいほどです。

これまでの生活スタイルが異なる人たちが共同で生活するのですから、不満やストレスが無い方が驚きでしょう。

介護士の役割は、個々の利用者の些細な観察から始まります。

しかし、介護士の仕事は決して少なくありません。

特に経験が少ない新人や、仕事をしない介護士がいると、他の介護士は慌ただしく動き回ることになります。

ところが、利用者たちの中には、もっと細やかなサービスを求める人も少なくありません。

何かして欲しいというよりも、特定の介護士の「時間」を奪おうとします。

つまり、自分のためだけに何かして欲しいと思いたち、独占欲が芽生えるのです。

実際、こみちが担当する利用者たちの中には、用が済んでも無理に何か理由を見つけて、何度もコールして来たりします。

もっともそんな行為は、介護研修でも学ぶ「承認欲求」と呼ばれる誰にでも起こる現象です。

人に認められたいとか、受け入れられたいという衝動は、施設にいる利用者たちに強く現れても不思議はありません。

問題なのは、そのような状況が続けば、介護士の負担は増大します。

もちろん、事務的に利用者の要求をカットすれば、効率化ははかれますが、本当にそんな行為が許されるのかと介護士自身がストレスを抱えながら仕事を続けるようになります。

そうなるだけに、施設による「介護方針」や、施設長の「介護理念」を明示する必要があるのです。

理由は明らかではないけれど

例えば、施設長が施設を取りまとめる役割を担っていると考えるのは一般的な話です。

しかし、施設を複数抱える社会福祉法人などは、中核を担う経営陣が指示を出す形で、点在する施設を管理していることもあります。

つまり、施設長として施設内ではスタッフからいろんな意見や要望が集まり、経営陣からはさらなる経営の効率化を迫られる「板挟み状態」も起こり得るでしょう。

例えば、施設内の信頼するスタッフが次々と離職を訴えたら、施設長として施設を正常に運営することは難しく、また経営陣からは理由や改善を迫られるはずです。

もしもそこまで状況が悪化していれば、施設長として継続するよりも、「辞意」や「退陣」を表明し、別の誰かに立て直してもらうしかありません。

稀に、責任を全うしたいと続投を続けるケースもありますが、組織そのものが崩壊しないことが約束されていなければ、選択は難しいでしょう。

隠語なのか?

そのようなことを知り、改めて注意深く観察してみると、いろんなところで「隠語」なのかと思わせる言葉が飛び交っていることに気づきます。

サラッと聞き流せば、ある芸能人の話題を話しているように聞こえるのですが、そこに出て来る名前が在籍しているスタッフと同じで、「引退」や「休職」のニュースを引用しているように思えるのです。

偶然といえばそれまでですが、隠語として使われているになら、まだまだ離職や異動が控えているのかもしれません。

介護施設は特殊な場所

一般的な会社に比べても、介護施設は特別な場所です。

その一つが、利用者の満足度を最優先しているとは限らずに、時にスタッフや経営陣のために仕事が行われていたりもするからです。

介護現場で、利用者の要求が無視されたりするのは、施設の方針が不明確なこともありますし、そこで働く介護士の意識も共通化されていません。

それでも、利用者やその家族からクレームを受けることは少なく、一般的な会社と比べても経営者優位の部分が残っています。