中高年に「介護士」がオススメな理由
介護士の役割の一つは、利用者からの信頼を得ることです。
しかしながら、オムツ交換などの介護技術以上に克服し難いポイントだとも言えます。
介護現場で働いていて利用者から耳にするのは、介護士の評価だったりします。
実際、利用者は介護士の働き具合をよく観察していて、だからこそ耳にするのでしょう。
残念なことですが、良い評判ばかりではありません。
「あの介護士はいつも声が大きくてうるさい!」というような評判も少なくないのです。
介護の研修では、高齢者は耳が遠いという印象を受けるかも知れません。
確かにそうだと言える部分もありますが、一般的な聴力を有している人もいるのです。
そんな人にとっては、聞こえやすいだろうと大声だったり、妙にゆっくりとした口調は煩わしいもので、「あの介護士は煩い!」と言いたくなるのでしょう。
つまり、いつでもどんな時でも、ワンパターンの対応をするよりも、利用者の状況に応じた接し方が強く求められます。
その感覚こそ、人生観に表れ、中高年世代こそ、介護士として適した経験を持ち合わせた年代なのです。
サブではなくメインを掴むことで
介護士の仕事が大変に感じる原因は、マイペースが維持し難いからです。
大半の作業では、利用者を相手に提供するので、介護士の思い通りに進めることはできません。
介助中は、声掛けを活用することで、利用者の安心を引き出せる他、健康状態も掴めます。
作業効率も求めれる一方で、利用者の心地よさにも配慮して、仕事をこなすことになります。
そうだとすれば、利用者だけでなく、先輩介護士たちにも配慮しなければいけません。
そこで、他人のペースに合わせるよりも、自分で考えて行動する意識を掴みましょう。
そのためには、現状を把握しているメインのスタッフを目指すことです。
介護施設では、「常勤」とか「非常勤」、又は「パート」などのスタッフの呼び名を変えて、役割に明確な差を設けていることもあります。
同じ時間帯に勤務する場合でも、非常勤やパートスタッフは、常勤スタッフに指示を仰ぐことになるので、同じ介護士であっても「より肉体労働」を強いられるのです。
特に、利用者寝かせるタイミングなどは確認するべきポイントで、仮に利用者が「眠い」と訴えても、それ故にベッドへと案内することはできません。
なぜなら、常勤スタッフが夜間帯勤務を担うので、利用者が昼夜逆転してしまうこともあり、要求に応じることが「施設介護」ではないからです。
また、書類作成を担う常勤スタッフに対して、排せつ介助やレクリエーションなどを担う非常勤というような分け方をされると、サブとして働くつもりでも段々と施設では現場仕事を任されることが多くなり、中には四季折々の装飾を行うために三脚を使って天井に飾り付けることもあるでしょう。
もちろん、サブスタッフがまだ一人前ではない場合、常勤スタッフが主体となって、書類作成から現場仕事までフル活躍しなければいけなかったりします。
そんな施設で常勤スタッフになると、後輩たちが成長するまでの3ヶ月から半年くらいは大変かも知れません。
ただ、入職して一週間もすれば、未経験者でもある程度のことができるようになるはずで、ある施設に面接で話を聞いた時には「入職1ヶ月後には夜勤までできるようになって欲しい」と言われたこともあります。
それだけスタッフが十分に確保できていない施設では、現場でも重要なポジションを早々に任せたいという思惑があるのでしょう。
そんな風に話を聞くと、大変に感じるかも知れませんが、任されるということは自身の裁量も発揮できるようになるので、先にコレをするとか、今はアレをしようという手順も自分次第です。
その意味では、パートスタッフは、常勤スタッフから言われるままにいろんな作業を担うので、自分でペースを掴むことは難しく、一区切りついて落ち着きたい時でも「アレをしてください!」と指示が飛ぶこともあり得ます。
中高年の特に男性の場合、若い先輩介護士にあれこれと振り回されるような気分になり、やる気が失せてしまう人もいるかも知れません。
しかし、そこで変なプライドを出してしまうと、どこの職場でも同じことが起きてしまいます。
つまり、常勤スタッフとして、自分で判断が許されるまでは下積み期間と割り切って乗り切るしかありません。
実際、ある程度仕事を覚えてくれば、指示される前に仕事をこなせるようになるので、結果的に自分のペースで動けるようになります。
介護は人間力!?
半年を過ぎる頃には、現場仕事の大半を熟せるようになっているでしょう。
オムツ交換でも、作業スピードが先輩介護士よりも早くなっているかも知れません。
そして、その頃には、オムツ交換などの介護技術よりも、利用者との信頼関係が重要になって来ることにも気づくでしょう。
その時、利用者の訴えや要求する真意を察することができるか否かが介護士としての成長に繋がります。
先輩介護士にも、自身の考え方に固執して、利用者の訴えに耳を傾けられない人がいます。
利用者にすれば、そんな介護士に当たると、言い訳ばかりされて、何もしてくれないという事態に直面するでしょう。
ある意味でこみちもその分岐点に来ていて、「無視することが介護なのか?」と感じる一方で、利用者の訴えに応じることも容易ではないと気づきます。
そこまで来ると現場判断では難しく、施設の幹部による検討事項なるでしょう。
とは言え、最終的に「介護は人間力」です。
利用者といかに心通わせることができるかで、施設介護の質が決定されるでしょう。
また、現場で働く時も、人間力に溢れるスタッフが多い職場ほど、自由度が高くて満足度の高い介護サービスを提供しているはずです。
規則や方針がスタッフを縛るのは、それだけ自由度や裁量を与えても、利用者の満足度に繋がらない独自判断に走ってしまうスタッフが多いからでしょう。
施設として成長するためにも、スタッフに裁量を与えるべきですが、そのためには「介護」をスタッフ一丸となって考えることがポイントです。