基本業務がゴールになった介護士たち

 介護現場の質を上げるために欠かせないこと

こみちの勤める介護施設にも、認知機能が低下して支離滅裂な会話をする利用者がいます。

程度や種類こと異なりますが、別の利用者の場合にはその方の思考が分かるので、どうしてそんな行動をしたのか察することができます。

そんな時は、介護士の方で対策すれば、利用者も落ち着いて過ごせます。

しかし、支離滅裂に思える利用者の場合には、いきなり怒り出したり、暴れ出したりで、どうしてそんな行動をしてしまうのかこみちには理解できていません。

もしも、100%分からない場合には対応もないでしょうが、部分的に理解できるからこそ、その領域を広げるようにしながら利用者の心情を探っています。

例えば、今は半身麻痺で歩行意欲の高い利用者に、介護リハビリを実施しています。

こみちなりに「歩行」を分析し、作業療法士や理学療法士からもアドバイスをもらい「効果的なメニュー」を考案し、それを行なっている状況です。

認知症の場合でも、介護リハビリを行う時でも、介護士の場合には日常の業務が必ずあります。

作業療法士のように「リハビリ」が仕事ではないからです。

スタッフの介護スキル

介護士のスキルにはかなりの差があります。

大柄な利用者や、立位が不安定な利用者の対応は、限られた介護士が行います。

また、繰り返し訴えてくる利用者の応対もまた、介護士が決まっていたりします。

つまり、いろんな作業が介護現場にはあって、介護スキルが求められているのですが、1つのスキルを持つ人は別のスキルも持っています。

言い換えると、介護に積極的な介護士ほど、いろいろな作業に対応できるのですが、「仕事」として働く人ほど努力して介護スキルを身につけようとはしていません。

フロアにスタッフはいるのに、対応可能なスタッフは限られていて、忙しさが全く異なるのです。

スキルを身につけたい介護士にとって

日常業務をいかに手早くこなせるかが課題です。

時にはどうしてこんなに仕事を抱えなければいけないのかとも思います。

もしもそこで、日常業務をこなすことをゴールにしてしまうと、利用者の個別対応はできません。

認知症の利用者と向き合うことも、歩行意欲の高い利用者とリハビリすることも、まずは介護士全員に課せられたスケジュールを終えての話だからです。

本来なら、「個別介護」にもっと積極的でもいいはずですが、それでは現場が回らなくなってしまいます。

つまり、もうワンステップ高い介護サービスを行うには、「介護士の介護スキル向上」が不可欠です。

でも、それが難しいのが、今の介護現場でしょう。

初任者研修を終えて「正規スタッフ」になった介護士

別の部署に配属されていた中高年の人が、初任者研修を修了して「正規スタッフ」になりました。

これまではパートだったので、嬉しい本採用だと周囲は思っていたのです。

ところが、「この施設は給料が安いですよね!」といいだして、みんなの顔が一気に強張りました。

こみち自身も、介護士の報酬はもっと高くても良いと感じています。

しかしそれは、看護師にも負けない専門性を確立させ、利用者の寄り添いにどこまでプロフェッショナルになれるかが問われます。

「オムツ交換ができること」はそれほど重要では無く、「介護サービスとは何か?」を理解しなければ始まりません。

そのためには、自分のできることではなく、利用者のして欲しいことを察することが大切です。

つまりケアプランに戻ってくるのですが、そうなればスタッフの連携や情報交換も欠かせないでしょう。

そこまで意識して、現場が活気付いているのに、施設では報酬アップに腰が重いならその発言に対して納得もできます。

しかし、日常のルーティンができることで「給料が安い」と言われてしまうと、経営陣は頭を抱えるでしょう。

特に中高年で正規スタッフに採用される人は、恵まれた逸材です。

未来ある若いスタッフとは異なり、中高年の採用はこみちの働く施設でも厳しくなっているからです。

そんな背景を理解していれば、「給料が安い」とは発言しないでしょう。

時給換算で1000円だとしても、その1000円分に見合った仕事をしている自負を持った介護士がどれだけいるでしょうか。

きっと、1000円分働く人は1500円の稼ぎ方も理解しているはずです。

しかし、「1時間でいくら?」と考える人ほど、金額に見合った仕事をしているでしょうか。

本当なら試してみたい介護があっても、こなすべき日常業務が多過ぎて、懸命に働いても行きつかないのが現状です。

それは、介護士の役割をどこに設定しているかも重要です。

同じ時給で働くのはイヤになるスタッフも出てきます。

でもそれがイヤなら、介護士は続けられません。

好きでなった仕事ではないかも知れませんが、それでも役立つ介護士になって欲しいと思いますし、そんな人が介護業界に増えたらと願っています。