現役介護士が考える「介護士の育て方」

 介護士の役割

介護士の仕事は、とても幅広いと感じます。

その理由は、支援が必要になった利用者の要求が様々だからでしょう。

生活支援という意味では、料理や洗濯、買い物などの家事全般が含まれます。

さらに身体介護という意味では、入浴や排せつ、食事の支援があるでしょう。

また、介護予防という視点では、体操や音楽、ダンスに加えて、趣味や社会活動も含まれてきます。

そう考えると、すべてを網羅できる介護士を目指すことは不可能でしょう。

また、仕事として介護士を選ぶ際に、「何でもできる」を目指すよりも、「これが得意」を心がける方が活躍できると感じます。

介護士の基本スキル

そうは言っても、介護士として働く際に身につけておきたい「基本スキル」があります。

それは「食事、排せつ、入浴」の介助が安全に衛生的に行えることでしょう。

というのも、基本として挙げた3つがマスターできていないと、介護士というよりも社会活動家に近くなるからです。

ここで言う社会活動家とは、自身が居住している街や地域のために、安全性や発展性に結びつくような活動に参加することを指しています。

具体的には、清掃活動や祭り事など、人々の集まりに一員として参加し、サポートするようなことです。

もちろん、介護施設によっては地域住民との交流を目的として、利用者と住民が一緒に楽しめるようなイベントを開催することがあります。

そこには「地域で生きる」という意味もあり、隔離された環境で生活することがないように、介護施設の利用者にとっても地域住民との交流が、刺激や活性化につながります。

そう考えると、介護士が身につけるべきスキルとして、「オムツ交換など」の他に、「人々の役に立ちたい」という思いもまた不可欠なものでしょう。

実際、こみち自身も介護施設で働くようになり、マイクを持って、または大きな声で群衆に向かって話す機会が増えました。

それも、簡単な自己紹介のような類いではなく、時事ネタなどを使いながら、聴衆に話しかけることも珍しくありません。

言い換えれば、介護支援は「エビデンス=根拠」を大切にしていて、「なぜ、そうしたのか?」を介護士ならしっかりと説明できなければいけないからです。

「言われたから」ではなく、利用者の何をどうするために、その作業を行ったと意識する必要性が問われます。

こみちが思う「介護士の育て方」

ポイントは、利用者目線を徹底することでしょう。

そのためにも、入職して1ヶ月くらいは「利用者の傾聴」に時間を割くべきです。

利用者から存在を認められ、顔を見れば手招きされたり、声を掛けてもらえるようになるのが目的です。

そのためには、自分がどんな人間であるのかを説明する必要がありますし、相手の立場や状況に合わせた話題選びも求められます。

それはつまり、利用者が興味を持ちそうなニュースや時事ネタを自分で調べたり、学んだりすることが大切です。

そこまでのベースができたら、「配茶」に挑戦してみましょう。

例えば、お茶を届けるというのも、一般的なウエイターやウエイトレスが行うような、スマートで上品な作法も参考になります。

しかしながら、それがすべてとは限りません。

というのも、利用者の日常生活は旅行先ではありませんし、場合によっては「自宅で過ごしているような」当たり前が必要だからです。

「お客様、お茶をお持ちしました!」

だけでなく、「〇〇さん、お茶が入りました。少し熱いのでゆっくりお飲みください」というような距離感も心がけましょう。

また、実際にはお茶を配られたからと言って、今すぐに飲みたいとは限りません。

介護士として働いてみると、「水分管理」をあって、利用者に水分摂取を促すように教えられることも多いでしょう。

「片付かないので、飲んでください!」

というような声掛けをしている介護士を見かけますが、利用者の気持ちに寄り添った介護とは言えないでしょう。

冷たい飲み物を求めている場合もあるでしょうし、お茶以外の飲み物をイメージしていたかもしれません。

意外に思うかも知れませんが、トイレに行きたくないから飲まないという利用者も多いのです。

飲んで欲しいと伝えることと同時に、「トイレ誘導」もセットなのだと利用者に知ってもらえることで、「お茶をどうぞ!」も効果を発揮するのです。

利用者目線を知るという意味では、利用者と同じ生活を介護士も体験してみればいいでしょう。

朝起こされて、朝食を食べるところから、入浴や排せつの介助を受けて、昼や夕飯を食べてみれば、「残さず食べてください!」と一方的な声掛けなどできないと分かります。

絶対に取り入れたい「ミーティング」

入職者を介護士として育てる過程で、「ミーティング」は不可欠です。

特に施設の生活を実際に知ることで、施設介護の問題点が見つかるからです。

その中で、現役介護士でも気づかないポイントがたくさん出てくるでしょう。

当たり前に感じていることや、それ以外に方法がないと思い込んでいることも、見方を変えれば固執する必要もなく、改善できることもあるはずです。

最初に指摘されるのは、介護士の行動や声のトーンではないでしょうか。

忙しいが当たり前になり、利用者から声掛けされた時に「何ですか!!」と迷惑そうな答え方をすれば、利用者はその先を言うこともできません。

仕事が増えるからと言う理由で、利用者からの要望を無視した介助は、そもそも「介護」ではないのです。

だからこそ、介護士として慣れてしまう前に、利用者の気持ちを知り、ミーティングでしっかりと意見交換する必要があります。

基本スキル「オムツ交換」をマスターする

オムツ交換をマスターする時、その手順にばかり気を取られてしまいます。

特に上手な先輩の手さばきを見ていると、流ればかり気になるでしょう。

しかし、実際に介護現場を経験してみると、「流れ」よりも「どうされると不快」なのかを知ることです。

と言うのも、利用者によっては手足が自由に言うことを聞かないだけでなく、少し動かすだけでも強い痛みを伴うこともあって、手順だからと無理やり行えば、悲鳴や反撃に会うことも十分に考えられます。

しかしそれは、利用者が乱暴なのではなく、単純に介助方法が不適切なのです。

ズボンを下げるために必要なポイントが何かと言う具合に、手順のポイントを利用者の立場になりながら、理解していきましょう。

つまり、利用者の対位変換を不快なく行うには、声掛けも重要ですし、体への力の入れ方もポイントです。

その先に清潔維持の作業があって、オムツ交換も利用者の身体を動かすことができなければ、不快感の強い介助になってしまいます。