「利用者」の求めることを察した介護ケア

助けてくれる「介護士」と助けてくれない「介護士」


少し想像してください。

貴方が介護施設の利用者で、どんな介護士に声を掛けるでしょうか?

もちろん、あらゆる面において100点満点の介護士がいたら、その人一択で良いはずです。

しかし、24時間365日、その介護士がいるとは限りません。

やはり、どんな時に頼める介護士かを把握しておかないといけないでしょう。

これは実際に経験したことなのですが、こみちが利用者のオムツ交換をするために、居室を移動していました。

「ちょっと忙しいの! 待っていてください!!」

フロアで見守り業務をしていたある先輩介護士が利用者たちの要望に苛立ち、声を張り上げています。

忙しい時に利用者に言ってしまう「あるあるワード」ですが、その言い方がとても厳しいのです。

利用者が納得して静かになるのではなく、「なにこの人?」と引いてしまう雰囲気なのです。

面白いもので、別の介護士が見守りで複数の介護士からいろいろなことを言われている時、「あの人ってすぐにパニックになりますよね!?」と言っていたのは、その狼狽していた介護士本人です。

何が言いたいかというと、「こんな介護ではダメだ」ということを、誰もが客観的には理解しているということ。

特に単独での見守りでは、同時に複数のことはできません。

しかし、レンジで温めながら、食器を洗ったり、備品の補充をしたりすることはできるはずです。

もちろん、利用者の話し相手にもなれるでしょう。

介護士に求められることは、「自分スタイル」ではなく、「利用者スタイル」に合わせられること。

自分のやり方で手が早い人も、相手のペースやタイミングに合わせるのは難しかったりします。

でも、それさえも慣れの範疇で、日頃から意識して動いているかどうかで随分と「カバー力」が違ってきます。

助けられないタイプの「介護士」も気持ちよく働ける方法


助けられない「介護士」も、自分のペースなら仕事ができたりします。

そんなタイプの介護士には、やるべき仕事を事前に打ち合わせて、巡回形式で仕事をしてもらいましょう。

系統的には、事務仕事や薬の塗布、リネン交換や清掃などが適しています。

意外に感じるかも知れませんが、それだけできれば、特に日中の介護士として十分に働くことが可能です。

つまり、介護施設ではいろんなタイプの介護士が働いているので、一人が全ての仕事をこなせなくてもそれなりに回ります。

仕事ができる「介護士」とは?


こみちが思う「仕事のできる介護士」とは、利用者に安心を与えられる人です。

仕事が早いとか、手際がいいということも大切なのですが、それだけの人が介護現場にいても、複数の利用者から寄せられた要求に応えられずに殺伐とした空気が流れています。

利用者の表情に笑顔がなかったり、落ち着きを失ってソワソワしていたり、感情を抑えられずに大きな声を出したりと、フロアの雰囲気が悪いことに気づくでしょう。

施設に大切な家族を預けている家族にすれば、そんな様子を好ましく感じるでしょうか。

きっと自分の家族であれば、そんな施設に預けたいとは思わないでしょう。

だからと言って、「嫌なら施設を変えればいい!」という発想はご法度です。

なぜなら、介護士自身がちょっと意識を変えれば施設の雰囲気をよくできるからです。

思うに、「挨拶」の重要性も、意識変化させるきっかけなのでしょう。

だから、大きな声で挨拶することも大切ですが、利用者に対して働くスタッフに対して、声を掛ける目的を理解しなければ効果も半減するはずです。

フロアの様子をしっかり見守るには、「先読み」が大切です。

食後に新聞を読む人には、「新聞読みませんか?」と差し出してあげれば良いのです。

ただでさえ忙しい時間帯にと思うかもしれませんが、そうやって「積極的に行動する」ことで、それぞれの利用者も安心感を得られるようになります。

言われて動く。できないから大声を張り上げる。

介護士でも利用者でも、そうなると雰囲気は悪くなります。

だからこそ、言われる前に動き、大声を出さなくてもいい状況を自分から作るのです。

その際に必要なことは、「寄り添い」になります。

寄り添いというと、利用者の目線になってじっくりと話を聞くことを想像するかも知れません。

しかし、利用者と介護士は、昨日今日の知り合いではなく、長い人なら年単位での顔見知りです。

つまり、毎回長々と話さなくても、相手の性格やこだわりを理解することは十分にできていて、「あと5分で終わりますよ!」とか、「〇〇の後にしますからね!」と言ってあげれば、相手も放置されていないと分かります。

その際、声のトーンや伝えるべき情報量を判断して、相手が納得してくれる状況に努めるのです。

面白いことに、理解もできるし急ではない状況でも、「急いでくれ!」と言い出す利用者がいます。

「少し待っていてください!」

そう言っても聞き入れてくれません。

しかしさらに観察してみると意外なことに気づきます。

「悪かったよ。忙しかったんだろう」

後回しにされることが多かったことで、「待つ」とか「あとで」という言葉に嫌悪感を抱く利用者も多いのです。

だからこそ、先にしてもらえた時に嬉しそうに「ありがとう」ではなく、「悪かったね」と反省を含んだトーンで言われたりします。

そんな利用者に対してこそ、安心感を伝えられたら、フロアの雰囲気はもっと良くなるでしょう。

そのためには、一人の介護士でできない時には、他の介護士が良いタイミングでフォローしたいものです。