ある利用者に起こった事故をきっかけに

介護施設は危険と隣り合わせ


高齢者介護を行う介護施設では、車イスを使用している利用者もたくさんいます。

そんな人が、ひとりで立ち上がろうものなら、足がもつれて転倒してしまうかも知れません。

また、ひとりで歩くことができる人でも、テーブルに置かれた熱いお茶の入ったカップを倒して火傷する可能性だって十分にあり得ます。

介護士は、あらゆるリスクを想定しながら、時にリスクを知ったうえで慎重に介助しなければいけないことも出てきます。

容認されたリスクが常習化すればするほど、いつか大きな事故へと繋がるでしょう。

安全性を確保したサービス提供


利用者と言っても、熱いお茶をゆっくりと飲むことができる人もいれば、熱くても気にせずに一気飲みしてしまう人だっています。

そうだとすれば、事故や危険のないサービスを提供しなければいけません。

その一つが、熱いお茶ではなく「温い温度に下げること」でしょう。

それなら、万が一の場合にも火傷することはありません。

ただ、実際問題としては、「熱いお茶を飲みたい!」と訴える利用者がいます。

単純に温度だけではなく、美味しいお茶を飲みたい人なので、出がらしだったり渋味の強くなったりしたものは望まれていません。

人間らしい暮らしを実現するには、ある意味で危険やリスクが伴います。

ただ、一般的にはそれを理解したうえで、生活の中に上手に取り入れることで成立します。

施設だからと言って、危険やリスクを「0」にするだけでは、満足度の高い介護サービスにはなりません。

だからこそ、安全性を確保したサービス提供が重要になります。

普段なら10分掛けてお茶入れするなら、やはり3分では同じようなは提供できないでしょう。

温度管理が甘かったり、味を気にせずに注いだりと、時短にはいろいろな妥協点が含まれています。

最近、仕事の早い先輩介護士を見ていて、その理由に気づきました。

もちろん、順序や手慣れていることもあるのですが、「コントロールできる範囲内」で作業しています。

もう少し具体的に言えば、熱くない温度だったり、味や食感まで意識した提供をしていません。

それは「現場を回す」ことを最優先した結果なのですが、確かに仕事が早い一方で、利用者とすれば楽しい1日ではないでしょう。

介護施設は、ホテルや民宿ではないと言ってしまえばそれまでです。

しかし、有料老人ホームや特養などは、そこで最期を迎える人もいます。

だとすれば、介護士の危険性を下げるためだけに、温くて不味いお茶で良いのかは大切な問題でしょう。

リスクを背負わない介護士がいる


1つの仕事しかしない介護士がいます。

慌てることもありませんし、他人への配慮も行いません。

それだけ危険は減るのですが、代わりに別の介護士は数名の利用者の間を行き来しながら介助しています。

当然ですが危険性は高まりますし、大きな事故にも繋がるでしょう。

誰かがアンバランスな状況に気づき、仕事の配分を指示できるといいのですが、それができる介護士は多くありません。

ある事情から、利用者のリネンを勤務している介護士たちで交換することになりました。

交換の内容によっても作業時間は変わりますが、一件1時間と言うのは想定外でしょう。

もしもそんな仕事の進め方をしてしまう介護士がいるなら、もう1人と一緒にするとか、別の担当にかえるなどの配慮が必要です。

1日かけて、8時間で8名分のリネン交換できたとしても、次の日は同じ作業を1時間とか2時間で終える人がいます。

残った7時間もの時間を別の仕事に使えれば、それだけ充実したサービス提供に繋がります。

しかし、そんな仕事ができない介護士もいて、時間ばかり掛かって仕事が進まないことも多いのです。

かと言って先輩介護士が頑張るとも限りません。

なんとなくサービス提供をして、介護士同士で仕事をした気分になっているようにも感じるのです。

利用者の悩みや不安感に向き合うこともせずに、介護士同士で相談して勝手にサービスを押し付けることもあります。

それを利用者に説明するなら分かりますが、嫌がる利用者をないがしろにしてしまっては問題でしょう。