良い介護士と悪い介護士
介護士の仕事に興味がある未経験者の人や、実際に介護士として働いたものの何となく辞めてしまった人は、「良い介護士と悪い介護士」をどこかで見たり聞いたりしたことはないでしょうか。
特にこれから介護士として働きたい人は、「良い介護士」を目指したいと思います。
しかし、良い介護士も悪い介護士も本当にいるとは限りません。
逆を言えば、「悪い介護士」は介護士として働く資格はないでしょうし、それこそ別の仕事を見つけるべきでしょう。
注意したいのは、実際に介護施設で働いている現役介護士の立場で言えば、「良い介護士」もいないということです。
「寄り添い」や「共感」と言ったフレーズは、初任者研修や実務者研修を受講した人なら何度も耳にしたはずです。
これから介護に関わる資格を取ろうとすれば、「寄り添い」の意味や目的についても考えることになるでしょう。
それでも、「良い介護士」と呼べる介護士はいません。
もっと端的に言えば、100点満点の介護など存在せず、74点の介護士と73点の介護士で優劣を決めるような争いなのです。
配点時代で両者の評価は異なるでしょうし、加点内容によって80点にも60点にもなるでしょう。
その中で、より良い介護サービスを提供するために、何を学び実践していけるかが介護士に問われています。
個人的な見解を示すとしたら、最高得点でも85点で、最低でも40点くらいはあるでしょう。
つまり、良い介護士と悪い介護士がいるのではなく、MAXでも85点、最低でも40点くらいはできる人が介護士として働いています。
新人介護士なら、まだ現場に馴染んでいないので、40点でも高得点かも知れません。
でも、5年続けても40点のままの人もいるし、1年後には70点や80点になる人もいます。
良い介護士になろうとはしないで、「仕事ができる介護士」を目指しましょう。
仕事ができる介護士の特徴
介護士として、入浴、排せつ、食事の支援が全てできる人は50点を超えるでしょう。
言い換えれば、その内のどれかが不得意なら、50点を超えるのは難しいことになります。
では、85点を取るような介護士は他の介護士とどこが違うのでしょうか。
ズバリ言うと、「現場を回せる」か否かに尽きます。
介護士の仕事として確かに入浴や排せつなどは重要なポイントではあります。
しかし、早い人なら3ヶ月でできるようになるでしょう。
じゃあ、3ヶ月で「良い介護士」になれるのかというと、そんなことはありません。
入浴や排せつができても、50点の介護士だからです。
ある時間帯、ある介護施設のあるフロアでは、利用者の一部が入浴の順番を持っていて、他の利用者はベッド上でオムツの交換を待っています。
別の利用者たちはテーブルでジュースやお茶を飲みながら雑談しているとしましょう。
そんな状況で、ある介護士が入浴支援をする時、利用者の一部を担当しているに過ぎません。
同時にオムツ交換をしても、同じことが言えます。
では、仕事ができる介護士はどんな行動をするのかというと、同時に3つのポジションを回してしまいます。
「身体は1つでしょう!? そんなことできるの??」
そう思う人もいるでしょう。
でも、1人で全てを行うなら難しいことですが、それぞれに担当者がいて、作業は進められています。
しかし、入浴支援でもサービス提供が困難な利用者はいますし、排せつ介助でも通常のオムツ交換では補えないケースも起こります。
そんな時に、現場を回すために必要な作業を見越せる介護士が「仕事ができる介護士」なのです。
一般的な介護士なら60分掛かる作業も、ポイントを押さえることで40分で終わらせられるでしょう。
単に20分早い人ではなく、その20分で別の担当の困難な作業をカバーしているのです。
だから、カバーされた担当者たちも、60分ではなく40分で終わることができて、効率的に仕事が回り始めます。
「オムツ交換なら〇〇分でできる!」と得意気に言う人がいます。
そんなタイプの介護士は、どんな作業ができたとしても50点以上にはなりません。
もちろん、まだ不慣れな作業がある介護士なら、その50点さえも獲得できないことになります。
しかし、50点しか取れない介護士ばかりの介護現場では、繋がりの悪い、非効率なサービス提供が目につきます。
「私は自分のノルマを果たした!」
そんな態度で自分のことしかしない介護士がいると、新人介護士やキャリアの浅い介護士は潰れて行きます。
中には頑張って50点以上を目指す人もいますが、少数派でしょう。
仕事ができない介護士に多い行動として、「二度三度同じこと」をします。
例えば、利用者がある訴えをした時、その場で話を聞いて適切な判断と行うべきサービスを決定しなければいけません。
ところが、話もそこそこに「あとでじっくり聞きますね!」と言って、聞くことすらその場で完結させない介護士もいます。
さらに、話を聞いて、別の介護士にその事実のまま伝えるだけとなれば、聞いた介護士が改めて判断しなければいけません。
場合によっては、また1から利用者に説明を受けることもあるでしょう。
そんな風に一回で終わる仕事を何度も何度も繰り返す介護士は、仕事ができない介護士です。
新人介護士は、自分だけでは判断できないはずで、どうしても「仕事ができない介護士」になってしまいます。
だからこそ、的確に判断できるようにするためにも、入浴や排せつなどの基本スキルで見通しが立てられるまでに熟知しなければいけません。
「やってできる」はあまり高い評価ではなく、「何分あれば終わらせられる」と自分のスキルを客観的に判断し、仕事を見通せることが求められます。
そんなタイプの介護士がたくさんいれば、突発的なアクシデントが起こっても、柔軟に対応できますし、全体として「破綻」しません。
応用が利かない介護士ばかりだと、担当する作業だけで手一杯になったり、誰かのサポートがないと終わらないことになったりします。
それを当たり前のようにカバーするのは、とても大変ですし、モチベーションも下がります。
その日のスケジュールを見て、「仕事ができる介護士がいる」と思った日はラッキーですが、「仕事ができない介護士ばかりだ」と思った日は胃まで痛くなります。
「自分でどうにかするしかない」
頼れないだけでなく、相手のできない部分も補うことが大きなプレッシャーなのです。
帰る時刻が近づいて、まだまだ元気に話している介護士と、疲れ切って無言の介護士がいます。
それは何故でしょうか?
どんな介護士も仕事はしています。
ただ、現場を回そうと気を使って動き回った介護士と、自分のことしか考えない介護士がいて、残した仕事ややり損ねた仕事を誰かが気づいてしてくれたことにも意識するべきでしょう。
「その仕事をしたのは私です!!」
それを聞いて、疲れがドッと出てきます。
中高年の体力は若い頃とは違います。それでも50点や60点を超えられるように頑張るのは、簡単ではありません。