人生の別れ道
コロナウイルスもあって、施設でもいろんなスケジュールが停滞していました。
その一つが、利用者の入所と退所です。
こみちが配属されているのは、施設内でも少し手厚いサービスが受けられる「ユニット」と呼ばれる個室を主体とした場所。
例えば、別の配属にいる利用者の中にも、「ユニット希望」が叶わずに入所待ちしている人もいます。
また、ユニットに居る方でも、家族の引き取りが可能になったり、別の施設への入所が許可されたりすれば、「退所」して行きます。
実際、別の施設を希望している利用者も多く、その施設は特養や有料などの「終の住処」となる場所です。
割と「ユニット」は利用者と介護士の距離が近く、サービスの提供だけでなく談笑したり歌や運動をこまめに取り入れるなど、アットホームとはまた異なる距離感で交流があります。
例えば、日中にコールが鳴り利用者の居室を訪れると、そこで絵やビーズの制作をしていて、「どうかなぁ?」などと感想を求められます。
利用者の中には、かつて本職としてアパレルのデザイナーだった人や有名な講師だったりする人もいて、にわかのこみちなど足元にも及びません。
経営者だった人も多く、「人間とは?」「人とは?」などの話を聞かせてもらえると、もっと聞きたくなることも多いのです。
そんな方々だけに、「介護」だからといって介護士が「上から目線で」接することはしません。
ルールとしてではなく、人としてこみちにはできません。
でも、やはりいろんな意味で別れというものはあります。
加齢により急変し、病院に搬送されることもあれば、新しい場所へと向かう人もいます。
ある意味で、介護士にとっては永遠の別れと同じことでしょう。
「元気にしているかなぁ?」と思い出す人も多いですし、新しく入所される人を見えれば緊張や期待もします。
今回、ある利用者が退所となりました。
もう数年ほど、この施設で暮らしていた方で、いろんな話をさせてもらったことを覚えています。
また、新たに入所される方も内定したようで、どんな人なのか、どんな出会いとなるのか今からワクワクしています。
介護士だけに限ったことではありませんが、人と人は何らかの縁で出会います。
少しタイミングがズレていれば、見ることも触れることもないわけで、出会いというのはそれだけでも大きな意味があるのでしょう。
寂しい気持ちもありますが、退所される方に今後も多くの幸せが訪れますように、そして入所される方とは多くの幸せを共有できるようになりたいと思います。