介護施設に存在する「格差」

介護施設にも存在している「格差」


介護士として稼ぎたいなら、「資格手当て」を最大限にすることです。

一般的には、無資格からスタートし、初任者研修、実務者研修、そして介護福祉士と続きます。

逆を言えば、「介護福祉士」になってしまうと、その先を見つけるのはとても困難なのです。

同時に稼ぐ方法として、「夜勤専従」と言うのがあります。

法的な賃金の上乗せもあり、夜間帯の勤務は日中に比べて歩合が良いのです。

けれども注意点があって、日中よりもスタッフが少なく、幅広い業務をこなせるだけのスキルを身につけていないとできません。

もっとも、早ければ半年くらいでも、夜勤デビューできるでしょう。

例えば、日中にある入浴介助やレクリエーションもないので、慣れれば働きやすいかも知れません。

一方で日中では、さまざまなスキルや意気込みの人たちが同じ介護士として働いています。

介護士が最初に覚えると言っても良いのがトイレ誘導になります。

利用者をトイレまで案内して、用を済ませてまた戻って来るまでのサポートです。

しかし、利用者もいろんな人がいて、歩ける人もいれば、車いすの人、立つとふらふらしてしまう人や手順が分からなくなる人と本当にワンパターンではありません。

介護士は、それぞれの利用者に応じた介助を覚えないと、あの人はできるけれど、この人はできないということになります。

例えば、同じ時間帯にそんな介護士が働いていれば、別の介護士は仕事を分担できません。

コールが鳴る度に駆けつけて、フロアー内を走り回ることになります。

誰もが未経験から始まるので、できないことは恥ずかしいことではありません。

ただ、周りにフォローされているという自覚を失うと、いつまで経っても「数に入らないスタッフ」となってしまいます。

「格差」という意味では、仕事ができないスタッフよりも、仕事を回すしかないスタッフの方が「形見の狭さ」を感じるでしょう。

一日中走り回って、体力も気力も底を尽きるほど働いて、ふと隣を見た時に元気そうな介護士をみると、「自分が介護士を選んだ理由」を再考したくなります。

中高年の場合、仕事を見つけるのも簡単ではありませんが、それでもこれだけ頑張って働いて、でも脇では涼しい顔をした同僚もいるのです。

働いても働いても、介護士の個人評価はほとんど上がりません。

サラリーマンと比べると、かなりシビアに感じるでしょう。

なぜなら、給料を上げるには「資格手当て」を見直すか、夜勤デビューするしかないからです。

利用者との寄り添いが上手くても、それ自体には評価ポイントは付きません。

介護士として質の高いケアをマスターするよりも、「夜勤」なのです。

評価体制が異業種とは違う


ある利用者に対して、その方の将来を見据えた計画書が作られます。

ケアプランとも言われます。

しかしそれは、民間企業が想像する契約書のように、契約内容を達成すれば「報酬」を受けられるというものではありません。

つまり、もしも到達できなければ、定期的に見直しを掛けて、次回の計画書で修正されるのです。

そして、到達するか否かに関わらず、期間が経過すればそれに合わせて「報酬」を受けられます。

できなかったことへのペナルティーはないのでしょうか。

例えば、ある利用者がいて、それぞれの施設でケアプランを作り、自分の施設でどんなケアサービスを提供し、どんな成果を上げられるかをアピールするようなことはありません。

そこにも、介護士が効率的に働くための注意点が隠れています。

つまり、質の高さで報酬が決まるのではなく、「期間」だということです。

それは、時間数とも言え、長時間働けばより報酬も増えるという意味なのです。

経験値を上げ、より高い成果をあげても給料が上がらないとなれば、介護士の働き方はこれまでの職種とかなり異なっていると気づきます。

だからこそ、介護士として働くなら、少しでも資格手当ての高いものを取ることです。

また、スキルアップを活かしたいなら、介護士よりも異業種を選ぶべきですし、同じ福祉系でも看護師や作業療法士などの方がやりがいも高いでしょう。

1時間以上掛けて、1人の利用者の爪切りをしている介護士がいて、「こっちはこんなに忙しいのに…」とそんな気持ちになりました。

しかし、その介護士はトイレ誘導も許可されていない人で、介護士というよりも「手伝い」という感じです。

でも時給では初任者研修修了した介護士と50円も違いません。

小さな話ですが、トイレ誘導からオムツ交換、入浴介助までしている介護士との差額なのかと思えるほどです。

のんびりとマイペースで仕事している様を見ると、中高年が介護士になるよりも「お手伝いさん」でも良いのではないかと考えてしまいます。

もっとも、常勤スタッフにはなれないでしょうし、夜勤デビューもないでしょう。

稼ぐという意味では、「お手伝いさん」は早々に頭打ちとなってしまいます。

それでも、介護士だって技術を身につけても、仕事が増えるだけで報酬が上がったという話も聞こえて来ません。

IT系の会社なら、たとえアルバイトで入ったとしても、その後の実績次第で給料が2倍や3倍ということも珍しくなかった時代がありました。

YouTubeの世界でも、月に数百万円を稼ぐ人がいる一方で、こみちのようにほとんど誰も見てくれない人もいるのです。

「結果」にこだわるならそんな世界があっていますし、「時間」で考えたい人なら介護士という選択もあります。

こみちが介護士として働きながらも「夢」を見るのは、「現実」があまりに過酷だからでしょう。

未経験で入職した介護士の報酬は、異業種のアルバイトと変わりません。

「常勤スタッフ」となるためにスキルを認められたら、「事務職員」くらいになります。

さらに、介護福祉士を取れば、大卒の新入社員くらいと言った具合です。

夜勤もこなす介護士で、年収ベース「400万円」を超えたらかなり評価されている人ではないかと思います。

しかも、4週での休暇が8日と7日でも異なります。

朝、5時に家を出て、6時には施設で働き出す日もあれば、夕方4時から翌朝9時まで働く日もある。

中高年の方にとっては、シフト勤務にも慣れないと厳しいでしょう。

生活リズムがまるで違うので、一般的なサラリーマンと頃以上に身体が疲れます。

求められるのは、指定された時間帯を安全に運行してくれる介護士です。

遅刻や急な休みはご法度です。

雨や台風でも、穴は空けられないと考えましょう。

実際、常勤スタッフの方で、ある台風が接近し交通機関が止まるという事態を受けて、施設に3日くらい寝泊まりした人がいます。

しかし、それでも3日分の賃金を得られるに過ぎません。

本当に好きでなければ、務まらない仕事とも言えます。

どう介護士からステップアップできるか。

どっぷりと常勤スタッフとして夜勤をしても良いですし、副業を持ちながら二足のワラジを履くのも良いでしょう。