ローティションする介護士が少ない理由
介護現場で人材が不足しているという話は、介護未経験の方でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実際に介護士として働いて言えることは、確かに人手不足という面もありますが、人材育成のノウハウ不足もあるはずです。
このブログで数ヶ月前に紹介した新人介護士の場合、先々週くらいから先輩介護士に付いてオムツの交換に加わりました。
ところが、ある失敗で号泣し、最終的には施設長との面談という展開を迎えて、一気に研修もトーンダウンしました。
オムツ交換はもとより、先輩介護士もどこか腫れ物を触るような態度で、新人介護士は勤務中ずっと「フリー」な存在になってしまったのです。
実は以前にも同じような経緯でオムツ交換で躓き、お茶くみなどの雑務だけを担当している人がいます。
新人介護士が入職した数日後、こみちは教育担当から外されました。
というのも、先輩介護士が「自分で育てるから!」と明言したことで、こみちを含む他の介護士は手を引いたからです。
その後、数名の介護士は再び教育係を担っているようですが、こみちには声が掛からないので、その新人介護士とは同じ時間帯でも「連絡や確認」はあっても「直接的な指示」は控えています。
ただ現状を言えば、改めて仕切り直さないと新人育成は失敗に終わるでしょう。
つまり、施設の教育プログラムがしっかりしていないことで、必要な人材が育成されず、いつまでも既存のスタッフが無理をして現場を回しているのです。
そのなれば、利用者と話すこともままならず、気づけば仕事を持たない新人介護士たちが利用者の遊び相手になっています。
例えば、レクリエーションの部分でも良いので、これなら人並みにできる作業を作ってあげるのも方法でしょう。
レクリエーションの時間にはメインを任せることはなく、隅で手を叩くだけになっているのも、もったいない時間の使い方だと思うのです。
先輩介護士の仕事ぶりに疑問あり!?
こみちと同じ時間帯に入った先輩介護士が、「することがなくなった」と言い出しました。
思いつく作業をいくつか挙げると、どれも「終わっている」と言います。
「早いですね!」
介護士同士の誉め言葉を伝えると、素直に嬉しそうな表情でした。
ただ、ここで確認しておきたいのは、どんな作業で時間が掛かるのかということです。
よくあるものとして、利用者自身に口腔ケアを促すなど、利用者のペースで行う場合は3分の作業も10分掛かったりします。
しかし、作業の効率を優先すれば、利用者は段々と作業ができなくなるので、「自立支援」という観点に立場、時間が掛かっても本人に任せるべきなのです。
また、食器洗いなどで、ほとんど水洗いしかしなければ簡単に洗えます。
しかしながら、汚れは落ちていませんし、再び使う時には「確認」と「洗い直し」があります。
ところが、介護現場の作業で、一部の作業については誰がしたのか記録に残りません。
「誰が洗ったんだ!?」
そう思いながら、汚れに気づけば洗い直ししています。
また、フロアーに立ち上がりや転倒予防が必要な利用者がいる時は、誰かがフロアーにいないとその場を離れることもできません。
つまり、それを見越して誰かが見守りしてくれなければ、時間があっても作業できない状況が続きます。
そこで、ルーティンワークとなった作業の場合、自由度の高い時にフロアーを離れる作業を済ませて、見守りが必要な状況にはフロアーでの作業を中心に行います。
時に先輩介護士の中には、「なぜ、一緒に済ませないの? 非効率でしょう!」とアドバイスしてくれる人がいます。
しかし、単純な効率ではなく、時間帯によって行動範囲が変化することに気づいていないのでしょう。
つまり、誰かがフロアーの見守りをしているからこそ、思いついた順番で仕事を進められたことが分かっていないのです。
それもチーム連携や人材育成の重要な部分で、思いつきでの作業はどこかに大きな負担を強いています。
利用者との触れ合いは本当に楽しい!
実際に利用者と接してみれば、「人生の先輩」と言われる理由が分かるでしょう。
もちろん、こだわりや主張が強くなることもありますが、年齢を考えればそれだけ個人的な範囲ならその人の自由でも良いはずです。
歌が嫌いという人でも、傍で歌って聞かせると小声で口ずさんだり、うなづきながら歌詞を聞いていたりと反応はあります。
「この曲、知っていますか?」
「知っているよ! 〇〇が映画で主役だったんだ!」
嬉しそうに話してくれる利用者も多いのです。
では介護士の何がそんなに詰まらないのでしょうか。
多分、答えは簡単で、施設や施設長、現場リーダーなど、管理職と言われる人たちが「機能していない」ことです。
別の記事にも書きましたが、介護業界は一般の民間企業とは売上のシステムが違います。
より上質なサービスに報酬を支払われるのではなく、定められたサービスを満たしていれば売上になるのです。
つまり、介護士の誰かが無理をして現場を回しても、みんなで和気藹々と働いていても、サービスを提供している意味では同じ評価になります。
ともすれば、「なんでいつも私だけが大変なの?」と思っている介護士がいても、施設が取り組んでくれなければ改善はされません。
つまり施設長が見ないふり、気づかないふり、気づけないなど、改善する意識が薄いと介護士はどんどん追い込まれて行くのです。
「辞めるって!? いきなり!?」
そんな風に驚く姿に辞職を決意した介護士たちは止めを刺された思いでしょう。
「この施設は本当に何も分かっていないんだ!」
「もっと早く辞めても良かったのかも…」とさえ感じるかも知れません。
しかしながら、限界まで勤務するのは、利用者との触れ合いに癒されて来たからです。
もしも利用者に癒されないなら、もっと早々と去っていたでしょう。
それくらい気になる利用者が何人もいて、勤務中に挨拶をして、元気な様子を見ることで励まされるのです。
例えば、こみちの場合でも、気になる利用者が退所してしまえば、もっとドライに今後のことを考えるかも知れません。
美味しいと言ってくれる利用者の食事介助をしていたり、満足そうに湯船に浸かっている姿を見たりすると、介護をしてよかったと思います。
しかしながら、介護業界に関わっている人たちでも、みんなが人の喜ぶ顔を見たいとは限りません。
面倒なことは見ないふりだったり、手間の掛かることは先延ばしにする人も介護業界にはいます。
もしもそんなタイプが上司や施設長だったら、どんな職場環境になるか想像できるでしょう。
辞めたくて辞める人もいますが、辞めたくないけれど辞めるしかない人もいるわけです。
身体がボロボロになるくらい頑張っている介護士を見つけたら、「いつもありがとう。でも無理はしないでくださいね」と言ってあげましょう。
それさえできない人が管理職として居座ると、施設は段々と雰囲気が変わってしまいます。
利用者に生き生きとした輝きがなくなり、介護士もどこか疲れた顔をしている。
そんな施設を訪れた利用者家族は、「大丈夫かなぁ?」と思うでしょうし、介護施設を見学に来た未来のスタッフも、「ココはちょっと違う」と踏み込んだ話もせずに帰って行くでしょう。
つまり、人材不足が起きるのも、辞職者が多いのも、報酬額だけの話ではありません。
そこに気付けることが不可欠なのですが、実際には自分の働く目的だけを全うするために職場に足を運んでいます。
それはつまり、施設に良いところもあるけれど、根本的に改善されていない部分も多いということです。
新人介護士がなぜ育たないのか。
それはヤル気だけの問題ではありません。
でも、同じパターンでミスを繰り返し、だけど表面的な取り繕いを別の誰かが行っているのです。
本当にもったいないなと感じてしまいます。