実際の介護現場で感じること
介護未経験だったこみちですが、実際に経験してみて異業種と変わらないのだと分かりました。
つまり、「点」となる作業を作るところから始まり、それを「線」として、「面」とすることで、あるボリュームの「塊」となります。
介護職で言えば、「オムツ交換」などの作業が「点」にあたるでしょう。
そこから、数名いる利用者をどんな順番で、どこまで作業を進めるのか考えることが「線」にあたります。
さらに、他の介護士との連携や、オムツ交換に付随する作業まで行うことで、「面」にすることもできるでしょう。
しかし、「点」にあたる作業が大変に感じる人にとって、「線」や「面」を期待するのは難しいかもしれません。
実際、自分なりのパターンを作っている介護士でも、職場が変わればその流れに慣れるまでそれなりの時間が掛かるのは、「点」から「線」に変換するには必要となるハードルが異なるからです。
視覚化する取り組み
介護職の難しさは、利用者のすべてを支えることができない以上、介護士によって取り組み方に差が生じてしまうことです。
どんなに経験豊富な介護士であっても、100%ではないのですから、取りこぼした数パーセントをほぼ未経験の介護士が補えることだって理論上はあり得る話です。
しかし、ベテランになると、「介護職とはこうあるべきだ!」というスタイルが出来上がっていて、時に新人介護士の良いところさえも否定してしまうことがあります。
「利用者の言うことを聞き過ぎてもいけない!」
その理由は、介護士が主導権を保てなかったり、利用者からの要求が膨れ上がり対応できなくなるからというものです。
不満を口にしなければ、利用者への支援は介護士からの一方的なものになるでしょう。
本当ならこうして欲しいということさえも言えない、言わせない「介護」に意味はあるのでしょうか。
こみちは介護士の報酬が安いままの原因は、提供するサービスの向上が進まないからだと感じています。
そこで、介護サービスを視覚化し、誰に何をしなければいけないのかを目で見て分かるようにしたいのです。
「朝、午前9時には大きく3つの作業がある」
1つは食事の介助や提供で、もう1つが食器類の後片付け、さらにもう1つは歯磨きやベッドに寝かしつける行為だと書き出してしまうのです。
さらには、食事介助が必要な人は誰と誰で、下膳する前に食事量と水分摂取量を確認して、不足している場合の対処法も記載します。
そんな感じで、新人介護士でも何をしなければいけないのかを理解できるような「虎の巻」を作るのです。
実は、こみち自身、入職して早々にそんな虎の巻を自分仕様で作りました。
そして、最初の頃は時折それをポケットから取り出して、「今何をするべきか?」の確認をしていました。
時に、重要だと思っていたことが必ずしも優先項目でなかったり、気づかなかったことが実はとても必要だったりすることに気づく度に「虎の巻」をバージョンアップしていったのです。
そうする中で、「1人しかいない」こみちが同時にできる作業には限界があり、タイムテーブルで求められるすべての作業をカバーできないことにも気づきます。
そして、同じ時間帯のメンバーによって、自分が担うべき作業を変換させれば、さらに全体として効率的になることも分かりました。
介護職だからではなく、どんな職場でも同じようなことが行われているのですが、すべての人がそんな働き方に慣れているとは限りません。
実際、何をしていいのか変わらずに、5分で完了したい作業を10分も20分も誰かに指摘されるまで続ける新人がいます。
きっと、その時間帯にしなければいけない作業が分からないので、ペースを調整できないのでしょう。
また、どうしても経験の少ない新人が行うと、それを確認する先輩も必要で、時間も掛かってしまいます。
時間に追われることが多いだけに、その手間を省きたい現場の声もあるのです。
自分から積極的に「何をすれば良いですか?」と言える新人介護士なら心配ありませんが、聞くにも躊躇うタイプの人は、周りがヤキモキしているのも気づかないで、緊急性の低い作業に時間を掛けてしまいます。
教えてもらうのだから、聞いてくるのが当たり前。
教えてくれないから、この職場では成長できない。
どちらが正しいというものではなく、そんな考えにならないような対策が必要です。
それが視覚化の目的です。
視覚化しないのは誰の為?
視覚化しない理由の1つは、先輩の仕事量も浮き彫りになるからです。
必要とされる仕事が何個あって、誰がどれをどれだけの時間で終えたのかが明確になると、あの先輩は3つだったけど、あっちの先輩は1つしかしなかった。
というような見方もできます。
そうなると手を抜いていたとか、忙しいふりをしていた先輩ほど、「視覚化」には消極的でしょう。
介護の仕事が流れ作業に向かないのは、利用者の満足度にも配慮が必要だからです。
介護士の都合だけで言えば1時間に10個できる作業も、利用者のことを考えて半分にすることもあり得ます。
つまり、速いから質が高いとは言えませんし、半分にしたならそれ以上に満足度を上げる必要があります。
そして、介護施設の種類や介護方針によって、やり方が大きく異なるのも介護職の特徴で、画一的な視覚化では対応が難しい場合も出てきます。
それでも視覚化に取り組む必要性は大きい!
こみちは介護現場のリーダーや施設長の介護方針が大切だと思っています。
その理由は、それ次第で介護士の働きやすさも仕事の愉しさも変化するからです。
例えば誰よりも早くオムツ交換できることで、「介護のプロ」と呼べるのかは疑問です。
同様に、短時間で食事を食べさせる術が介護技術なのかも答え難い部分でしょう。
現実としては、介護現場で重宝させるテクニックなのですが、利用者にすればそんな支援を受けても嬉しくはありません。
「自分はモノになったのだろうか?」
もしかすると、そんな気分になるかもしれません。
「介護士だって大変なんだから仕方ない」という意見もありますし、「利用者にどう寄り添いながらサービスしていけるのか?」に取り組む施設もあるでしょう。
介護士の報酬が安いままなのは、やはりまだ現場が「仕方ない」という流れで動いているからです。
介護のプロだから、利用者も満足しながら暮らしていけるということに評価を得られていないのです。
効率的に進めることでしか報酬を受けられない以上は、満足度の高さにこだわれない実情も見えてきます。
何をしていいのか分からずにフロアをウロウロする介護士がいられる以上、そんな介護職に高い専門を認めることはできないでしょう。
いずれにしても、視覚化することで、どんな仕事の進め方を目指して行くのかが見えてきます。
そこに結論を見出すには、施設ごとで介護サービスへの取り組み方を検討しなけれないけません。
しかし、無駄の中に満足が隠れていたり、失敗によって新しい気づきもあるでしょう。
そこにどれだけ取り組めるかは、施設や施設長、リーダーをトップに、介護士それぞれの意識改革も必要になります。
なぜ視覚化できないままなのでしょうか。
視覚化の意味はもちろん、視覚化する方法に気づいていない場合もあります。