休日明けの利用者たち
実はこみち、とても働きに行きたくありませんでした。
以前の仕事では、フレックス勤務が認めてもらえたり、出社後に届け出れば社屋以外の場所で仕事できたりと、与えられた「ノルマ」さえクリアできれば良かったのです。
例えば1週間の勤務中、月曜日と火曜日に事務的な仕事をして、水曜日に資料集め、木曜日は外でアイデアを練る。そして金曜日に1週間分の仕事をまとめると言った具合です。
そんな働き方の良さは、自分で体調をコントロールしながら目標に向かって突き進めます。
必要なら知り合いから参考になる情報を求めたり、グループで手分けしてデータを打ち込んだりします。
デメリットというかそんな仕事の大変さは、休日も解放されることのないプレッシャーです。
クライアントも上司も、さらに良い結果を期待するので、それに応えなければという焦りは、時間的、空間的な自由だけでは解決できません。
「よろしくお願いします!!」
こみちの担当するフロアーに入る時、いつも同じタイミングであいさつをしています。
利用者がいるテーブルに近づけば、こみちに気付いて「おはよう」と言ってくれたり、「よろしくね!」といってくれたり、手を伸ばしてユニフォームの掴んでくる利用者もいます。
「よろしくね!」
ユニフォームを掴んだ手を握り返せば、反対の手まで伸びてきます。
「ありがとうね。でもちょっと待っていてね!」
利用者に笑顔で伝えると、ガッチリと掴んだ手を放してくれます。
微かに光を感じられる利用者は、もちろんですがこみちの顔を見たことがありません。
しかし、声や足音には敏感で、あいさつをすると「こみちさん!?」と言ってくれます。
「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね。昨日は休みだったの?」
「そうなんです。今日からまたよろしくお願いします」
「よろしくね」
フロアーに来て数分のことですが、こみちの介護士としての仕事はいつもこんな感じで始まります。
備品が補充されていない!?
休日明け、何かをしようと思うと、備品が補充されていないことがあります。
飲料水のボトルが空になっていたり、お茶の葉が入った缶が空だったりします。
裏の備品庫にある物なら良いのですが、事務所近くの大きな倉庫にまで行く時はちょっとがっかりです。
特に忙しい時間帯に重なる時は、そのひと手間が憂うつです。
そんな時こそ迷わずに「原点」に帰る!
こみちの原点は、「繋ぐ」という想いです。
以前の仕事をしていた時には、「これを使った人が喜んでくれたら」と思いながら働いていました。
そして、介護士になってからは、「利用者が今日を幸せに暮らせるサポートをする」ことです。
「幸せ」というと、特別な非日常を連想するかもしれませんが、こみちは「平凡な1日」こそが幸せだと思っています。
朝昼晩の食事があって、風呂に入り、トイレにも行って、気づけば近くにいる人とたわいない会話を楽しんで、ちょっと疲れた時はうたた寝もして、気づけば夕方でまた明日も元気に過ごそうと思って眠りにつく。
しかし実際は、仕事のことや生きることに必死で、どうにか結果を出さなければと焦ったり、苛立ったりする方がもっとこみちの日常に近いかもしれません。
現役を退き、施設で暮らす利用者は、とても幸せそうな笑顔をしています。
「何があったんですか?」
思わず気になって確かめてみれば、「ウフフ」とさらに顔をくちゃくちゃにして笑っています。
利用者の笑いのツボは、時にこみちと異なります。
詳細な理由など分からなくてもいいので、愉しげに微笑んでいてくれたらそれで十分です。
もしもそこに、こみちがいることで楽しいことや嬉しいことが始まったのなら、喜ばしいことです。
時に悩みや不安が解消されたのなら、それに関われたことは嬉しいことです。
結局、こみちは誰かの「一歩」を手伝えることを望んでいます。
仕事が変わったとしても、目指す目標は変わっていません。むしろ、その部分がより鮮明になりました。
何のためにここまで歩いて来たのかを再確認すれば、目的や動機が不鮮明になった時でも、余計な心配に押し潰されることもないでしょう。
今日は何だか、こみちの「原点」に立ち返りたくなった1日でした。
生涯を通して、介護士となって、いろんなポジションから考えることができますが、余計なことは一度横に置いて、シンプルに「原点」を探していました。