介護職とホテルマンの話

介護とはなんだろう?


こみちが介護士を選んだ理由は、「中高年からでも採用されやすいこと」と、「過去の経歴に関わらないやり直しができること」でした。

しかしながら、実際に介護施設で働いてみて、分かったことや感じたこともたくさんあります。

まず、中高年「だから」採用されやすいのではなく、中高年「でも」採用してくれるという点です。

こみちのように40代や50代になると、全くの未経験者はどうしても苦労します。

それは新しく仕事を覚えることもそうですが、ある程度できるようになるまで誰かが指導しなければいけないからです。

若い世代のように、「これをしてください!」「次はこれを!」と指示されると、人によっては気分を損ねてしまう中高年も多く、ある程度のプライドや自尊心に配慮しなければいけません。

現場優先で考えると、一刻も早く仕事を覚えて欲しいのですが、命令口調では気を悪くするのではないかと、教育係の方も苦労しています。

「仕事を覚えたいので、厳しくご指導ください!」

そんな風に宣言でもしてくれれば違うのですが、こみちが入職した時もそこまで気持ちを伝えることは出来ずに、苦労を掛けたと思います。

その分、教えられた仕事はしっかりとメモを取り、分からない部分は聞き直したり自分でも調べたりしましたが、教育係の立場を考えると「当然」のことでしょう。

また、過去の経歴についても、現場で1から覚えることは可能です。

しかしながら、介護現場では即戦力ほど重宝する存在はないだけに、教えられなくてもできることに越したことはありません。

その意味では、介護職が行うオムツ交換や食事介助なども子育て経験者が理想ですし、飲み会などでもてなしができる人ならレクリエーションにも早く馴染めるでしょう。

その点からすると、これまで「オムツ」に触れたことがない人や、人前で歌うこと、ダンスすることがなかった人は、入職して覚える覚悟が必要です。

ある意味、すべてが出来なくても介護現場は回るのですが、一通りできる人ほど重宝な存在はないので、「これはできない」「あれもできない」という介護士は扱いに苦労を掛けます。

もちろん、未経験者で入職すれば、みんなからの指示やアドバイスを受けて成長するのですが、教えてもらって当たり前というスタンスでは、入職してくれて楽にならず、仕事が増えるという現実も知っておくべきでしょう。

似て非なるホテルマンと介護職


こみちが介護職に早く慣れるために、どんな心がけで利用者と接すればいいのかいろいろ考えました。

その一つが、ホテルの現場を切り盛りするホテルマンの存在です。

一説には、彼らの年収は約 300万円だそうです。

金額だけを比べれば、介護職のそれと大きく異なりません。

つまり、客である利用者をもてなすサービス業は、「年収 300万円」くらいと推測できるのです。

何が言いたいかというと、介護職だから年収が安いとは言えないという点です。

まして、中高年からでも採用されやすいなら、介護職が狙い目だと言えるでしょう。

しかし、もう少し詳しくホテルマンのお金事情を調べると、大手のホテルや外資系ホテルの場合には、年収1000万円というケースもあるそうです。

そして、例えば英語会話が堪能など、ハイクラスの客をもてなすためのサポート力が求められます。

言いかえれば、年収 300万円代のホテルマンは、そのホテルの質に合ったサービスを提供できる人であって、さらに上質なサービスを身につけることで国内大手や海外を含めたホテルなどで活躍できる可能性を秘めているのです。

介護職の場合、実務経験3年以上で介護福祉士の受験が可能になり、さらに5年後にケアマネも目指せます。

しかし、ケアマネになったら1000万円ということはなく、努力や志が報酬に比例するとは言えないこともポイントです。

こみちとしては、中高年こそ介護をベースに次の展開を視野に入れるべきだと考えています。

その理由として、入職して3年を境に介護福祉士に合格した後は日々同じ業務を繰り返すことになるからです。

本来なら、館内のイベントで、新しい催し物を企画運営したら利用者も喜んでくれるでしょう。

しかしながら、日常業務を抱える介護職は、新規事業も隙間時間や余暇を使って行うことが多くなります。

ホテルマンのようにスキルを身につけて超高級ホテルに転職できる可能性が極めて乏しいことも、介護職の悩みでしょう。

これは憶測であり、裏付けのあることではありませんが、例えば入居金が億を超えるような有料老人ホームが、日々の食事でどんなメニューを提供しているのか気になります。

一食あたりの予算をどれくらいと想定して、だからどんな食材をどんな環境で調理しているのか気になるのです。

つまり、一般的な食事と大きく変化がないとすれば、「高級ホテル」のような待遇を従業員にも提示できないと思うのです。

多くの介護施設が、介護報酬を主な利益とする限り、介護職の質は頭打ちになっても仕方ないでしょう。

介護職を選ぶという意味は、雇用され易い一方で、将来的な可能性や限界値を事前に定めることにもなりかねません。

「報酬の高い夜勤の回数を増やす」という発想ではなく、より高い質の介護には十分な報酬が得られるとなれば、もっと多くの人にも介護職の魅力を伝えられると感じます。

新人介護職が、なかなか仕事を覚えずに、メモも取らない姿をみて驚きもありました。

しかし、ある意味では介護職とはどんな仕事で将来性はどれくらいあると知っている若い年代なら、ある程度の覚悟がないとなかなか介護職に進まないのかも知れません。

事実、こみちが若い年代で入職するなら、作業療法士や理学療法士、または看護師などの専門知識を身につけると思います。

なぜなら、年数を重ねることで報酬も上がりますし、達成感ややりがいを得やすいからです。

もちろん、利用者のために「適温でお茶を出すこと」も大切な業務なのですが、そこにしっかりとした評価がないのは残念なことです。