介護現場で起こっていること
こみちの介護施設では、入職して間もない新人だけでなく、中堅、ベテラン介護士の退職も少なくありません。
その理由は、仕事上のことばかりではなく、家庭の事情や、コロナウイルスなどの社会的背景も考えられます。
こみちの所属する部署から、5月付で一人のベテラン介護士が異動となりました。
新人時代に、オムツ交換の手ほどきもしてくれ、公に聞けない些細な質問にも嫌な顔をしないで答えてくれる「頼れる介護士」です。
こみちの所属部署に新人介護士が入ったのは以前にもお伝えした通りです。
最近は、先輩方のアシスタントとして、オムツ交換にも挑戦しています。
ただ、言われて動くスタイルに変わりがなく、先日は就業時間の5分も前に手を洗い出し、現場に残った仕事を放置していたのは驚きました。
単純に「この施設での仕事が嫌い」になっていなければ良いのですが。
こみちにも新人時代があります。
就業時間時間が迫った頃になると、どこまで自分が終わらせるべきか気になります。
というのも、先に紹介した先輩だけが「時間だから」と言って帰してくれましたが、他の先輩方は作業を続けていれば「10分くらいのサービス残業」は当然だからです。
それだけ現場仕事がたくさんあるからなのですが、仕事が好きでないと苦痛の原因になるかも知れません。
どうして新人介護士を育てるのか?
これから介護士として働きたい人は、安定した職場で働き続けたいと思うでしょう。
介護業界は、比較的中高年からでも入職しやすく、一定のスキルを身につければ繰り返し部分も多く、親しみやすい職種とも言えます。
何より、利用者との触れ合いは楽しく、いろんな人生経験を経た人生の先輩方が我々介護士を待っていてくれます。
本当の理由は定かではありませんが、先の先輩介護士が別の部署に異動となったのは「夜勤者」の補充ということでした。
夜勤者とは、夕方から朝までの時間帯をカバーする介護士のことで、誘導や移乗、オムツ交換などの基本スキルがないとできません。
全くの未経験者だと早くて3ヶ月くらいは掛かるでしょう。
因みにオムツ交換にトライしている新人介護士もひと月は経っているので、後一二ヶ月でどこまでスキルアップできるかが注目ポイントです。
初めてのことや苦手で難しいことに直面し、自分で解決できるのが理想ではありますが、みんながみんなできるとは限りません。
むしろ、人に教えられてできるようになる人も多いはずです。
夜勤者を増やすには、新人介護士の悩みや働きやすさを施設だけでなく、「現場」でも考えなければいけません。
それは単純に優しく接するというものではなく、「苦労」の目的や将来性を説明するべきでしょう。
そのためにも先輩介護士が楽な仕事を率先して取るのではなく、この瞬間にどんな行動が必要なのかを背中で見せながら、新人介護士にも理解してもらうことです。
家庭の事情で退職するのは仕方ないとして、職場環境に不満で辞めてしまう場合には、現職介護士たちにも改善の余地はあるでしょう。
他部署で夜勤者が不足した理由が、社内環境の不備だとしたら、足りないから「どこかから補充する」という考え方は危険です。
なぜなら、先にも触れましたが、先輩介護士の都合だけで現場を動かせば、そこにどんな合理的理由があったとしても「新人介護士」にとっては働きにくい場合があるからです。
「先輩に怒られないように時間を過ごそう!」
少なくともそんな気持ちで働いていたら、利用者に寄り添える時間も取れません。
こみちとしては、中高年からの転職組には、「大人の事情」や「自身の可能性」を見据えて頑張って欲しいのですが、「教えてくれない!」と辞めてしまう方も多いのは事実です。
異業種ではどうか?
過去、あるデザイン事務所を出入りしていた頃、デザイナーさんとも親しくなり、それぞれの仕事の進め方や、得意とするデザインも掴めてきて、「仕事って教えてもらうんですか?」と聞いたことがありました。
その事務所に所属している方の多くは、大学や専門学校など技術を学んだ人たちで、入職時点である水準までの実力を身につけていたそうです。
というのも、入職時に「作品サンプル」を持参するなど、自身のプロフィールを持ち歩くのは業界の基本になっているのでしょう。
しかし、これをそのまま介護業界に適応させるのは難しい話です。
デザイン事務所で働くデザイナーの場合、近所の商店から依頼させる「広告チラシ」の作成もあれば、大手企業のキャンペーンイベントで使用する販促品など、スキルや経験で仕事の規模や予算、報酬に大きな差があるからです。
月10万円で働くデザイナーもいれば、50万、100万と稼ぐデザイナーもいるでしょう。
そして、稼ぐデザイナーは、新たな経験を自分磨きと称して行うので、さらに多くのスキルや体験を仕事にフィードバックさせることで仕事の質を向上させていきます。
実際の所、介護士の場合にはこのような仕組みがないので、頑張って可能性を増やせるのは限界も感じます。
こみちが知っているのはもう何十年も昔のことなので、今はそんなことないということもあるとは思いますが、学生時代に基本スキルを身につけて社会人になるのがもっとも負担の少ない流れでしょう。
つまり、転職組は、これまでの経験やスキルをベースに、新たな分野でどんなことができるのかを自分なりにアピールするのが基本です。
不足部分は事前に補うべきですし、時には新しい職場で経験させてもらえたらラッキーです。
「職場でメモを取らない」という新人が集まる理由は別の機会にするとしても、そんな新人をどう育てるのかが施設サイドの役割でしょう。
だとすれば、施設長はじめ、各担当者が人材育成とは何かを共有化して、取り組んでいかないといけません。
ある意味「メモを取ること」に似ている話で、「どうして育たないのだろう?」と思っているのなら自身の振る舞いを見直すべきです。
「そのポジションで、その仕事だけをしている」というスタンスでは、どうしても人が育ちません。
こみちとしては、「あまりその辺のことを考えるの好きじゃないんだなぁ」と思ってしまいます。
出世望む人ほど、人を育てる楽しさに気づいて欲しいのですが、介護業界だからと言ってそうとは限らないみたいです。
なぜ、人材が不足するのか?
それは人材育成の意識と方法を間違えているからです。
介護で傾聴や寄り添いを何度も耳にしているのに、組織として介護士がまとまらないのは、「介護」だけでなく「育成」さえも根本的に理解が不十分だという証でしょう。
介護だからといって、オムツ交換などは象徴的な作業に過ぎず、相手のために働かないと仕事ではありません。
そのために技術や知識が必要になるのです。
現場仕事が嫌いな介護士になってしまう理由は、介護の面白さも伝わっていないからで、苦労や大変という感情が先に来てしまうのでしょう。
そうだとしたら、別の業界に移ればいいのにとも思います。
こみち自身の少ない経験ではありますが、異業種と比べると介護業界はまだまだ発展の余地が残っていて、改良や改善の楽しさがあります。
中高年からの転職でも、そのあたりのアットホームな職場でやりがいを見つけられたら面白くなるのではないでしょうか。