基本は家族だけれど
仕事探しというのは、実に奥深い作業だと思う。
特に中高年になると「世間」との距離感も見えて来て、改めて自分自身を振り返ることになる。
若い頃、同世代も恋人ができたり、結婚したり、子どもやマイホームと言った「人生の節目」がいくつもある。
だからこそ、そこに夢ややりがいを向けることができた。
ところが、それらもある程度落ち着いてくると、60代70代になった時に自分はどんな風に暮らしているのかと考えるようになる。
「生きがい」を作ることがとても大切なのだ。
介護施設に勤務していると
他人はどう感じるのか分からないけれど、「介護施設」はとても利用者の生活を豊かにしていると感じます。
少なくとも、こみちが介護士として働く時は、利用者のニーズを可能な限り拾いあげて、できない時はその理由を説明するように心がけています。
時には「やり過ぎではないのか?」という視線を別の介護士から感じることもあります。
しかしながら、スケジュールに従うあまり事務的な介護を提供するのであれば、コストダウンをウリにした「施設」で働くべきだと思っています。
具体的な価格は控えますが、相場よりも高額な利用料金を支払ってくれる利用者やその家族の意図を汲み取ろうとすれば、「やり過ぎ」というサービスは存在しないでしょう。
もちろん、何でもしてあげるということではありません。
時間が限られているからこそ「モノ」のような扱いをしてしまう介護現場があるとすれば、今の職場ではいかに利用者の気持ちに立って、「自立支援」を実現させるかに力を注いでいるだけです。
実際、利用者の物理的な視野は狭くなって来ます。
物事の前後関係や相手の意図を察して行動することが難しくなるとも言えます。
ある意味で、それらは他人とのコミュニケーション能力ともいえますが、「物理的広さ」だけが求められる訳ではありません。
例えば認知機能が低下すると、我々が普段は考えない領域にまで配慮が広がります。
「昨日、魚屋さんに舟盛りをお願いしたんだ!」という話も、彼らだからこその視野でしょう。
つまり、物理的には狭まったように見えても、実は内部がより細かく、そして深く鮮明になっているとも考えられます。
だからこそ、現実にプラスした発想が出てくるのではないでしょうか。
そして、そこに彼らなりの「生きがい」も生まれてきます。
施設での暮らしを、制限された環境という見ることができる反面、より安心して快適に自分の思うままに暮らせる場所と考えることもできるのです。
我々中高年が「生きがい」を作るためには
体力的な面で、若い頃との違いを感じることも増えてきます。
老化に伴う集中力の低下も少なくありません。
「年を取ったからなぁ」と思ってしまう人がいますが、それは「物理的」な部分に目を向けているからでしょう。
1つひとつのことがらについて、理解を深めるという習慣を持つだけでも、視野を広げることができます。
コンパクトカメラを首からぶら下げて、散歩することでも新しい景色に出会えるでしょう。
つまり、全くない場所を探すのは大変ですが、今ある場所の見方や感じ方を変えることなら容易にできるはずです。
「読書量が幸福度に関係する」という話も、ある意味で、深掘りのヒントが得られるからだと思います。
作品のメッセージをきっかけにすれば、今までの日常がちょっと変化して感じられるでしょう。
こみち自身の「生きがい」
以前、入職したばかりの介護職に「やりがい」があるのかと考えたことがありました。
どちらかと言えば、全く知らない世界だったので、すべてが新しい経験でした。
そして、今は自分の内にあるものを組み替えることで、個々の利用者が持つ「世界観」に近づこうとしています。
ただ、絵を描く時でも、ギターを演奏する時でも、バイクで旅をしている時でも、こみちの中では同じような作業が行われていて、自分のためにアウトプットするのか、利用者のためにアウトプットするのかが異なるに過ぎません。
例えば、故郷の話をしてくれる利用者に関しては、一緒にその地まで訪ねることが出来たらと思うことはあります。
しかしながら、年齢や体調を考えると理解されない部分もありますし、「介護士」の仕事からは大きく離れてしまうと思います。
別の言い方をすれば、そんなサービスを請け負う会社を立ち上げることはできるでしょう。
福祉系の専門家とツアーコンダクターがタッグを組んで、「もう一度、見たい景色を訪れる」というサービスです。
可能性としてはアリかも知れませんが、現実的な部分では商売として成立するかは微妙でしょう。
ただ、介護士を経験したからこそ、そんなサービスが思いついたのであり、「生きがい」の形にもなり得るのです。
そう考えると、施設介護というのは、とても物理的に制限された環境で、内部に意識を向けないと利用者の「生きがい」は失われてしまいます。
その意味では、介護士として働く時には、利用者とのコミュニケーションを楽しみながら仕事をしたいと思います。
そして、介護が「生きがい」にもなっているのは事実でしょう。