中高年からの仕事探し「時間の値段」

すべての行動を「時給」で考える


今や、インターネットを使えば、物の値段を調べることなど簡単です。

ひとつには、どこで購入すれば安く手に入るのか分かるでしょう。

一方で、「マスク不足」のように、欲しくても手に入らない物もあって、「値段」だけが物の価値を決める尺度とは限りません。

実生活でも、店までの移動手段や時間を考えると、少し割高でも近場での購入が最適な場合だってあるでしょう。

つまり、価格を比較する場合、単純にその数値の大小だけが重要なのではなく、再現性や利便性なども関係してくるのです。

今、自分の1時間がいくらか知っていますか?


例えば、一回の勤務が8時間労働で月に20日勤務して、月給20万円を稼ぐ人がいたとします。

時給を単純計算すれば、一回の勤務で1万円稼ぐので、時給は1250円になるはずです。

通勤時間や、起きてからの身支度、さらにはカウントされないサービス残業まで含めると、もっと時給は下がります。

仕事というのは、確かに稼ぐことが目的ですが、経験やスキルの向上、人生における満足度など、様々な欲求も満たしてくれます。

つまり、報酬は良いけれどやりたくない仕事を選ぶのか、報酬は下がっても満足度の高い仕事を選ぶのかは、個人の考え方によるでしょう。

それらも含めたうえで、「今の自分の価値」として「時給単価」を知っておくことは大切です。

例えば、時給単価が1000円の人は、500円得するために30分までなら掛けてもいいことになります。

逆に500円得するために数時間も時間を使うくらいなら、もっと手軽な選択肢を選ぶべきでしょう。

問題に遭遇してから、結論を見出すまでにどれくらい時間を掛けられるのかを知っていれば、何を優先して検討しなければいけないのかも分かるからです。

介護職の給料は安いのか?


異業種と単純に比較して、安いかどうかを決めるのは適した判断とは言えません。

なぜなら、そこで得られる経験やスキルが異なるからです。

介護職の時給が1000円だとして、異業種なら2000円もらえる人がいた時、介護の仕事がとても楽しくやりがいに満ちているなら、それは悪い選択肢ではありません。

一方で、割り切って稼ぎたいなら、2000円の報酬が得られる仕事を選ぶのも方法です。

つまり、そんな人の時給は、1000円から2000円の間で変動することになります。

介護職をイヤイヤする人にとっては、時給2000円の仕事が良い選択肢ですし、そんな選択肢を選べないなら介護職で頑張るしかありません。

かつては、一流企業入社できれば、自身の価値以上の報酬を得ることができました。

30代そこそこで年収1000万円オーバーなのに、楽な仕事をゆったりとこなせば良かったりしたのです。

終身雇用が約束されているなら、定年まで勤め上げて、手厚い企業年金で老後も安泰という計算ができたでしょう。

ところが、仕事では難しい案件を持つこともなく、スキルを積極的に身につけなかったまま、転職してしまうと、一気に生活が一変することだってあるわけです。

そもそも自身の価値以上の時給単価だったので、その後の評価額に驚くでしょう。

しかしながら、その価格こそが本当の自身の時給単価なのです。

あれもできる。これもできる。と経歴書には書けるかもしれませんが、大切なのは「今の自分の正当な評価」です。

ある職種では専門家レベルでも、異業種になれば新人レベルになってしまうのは仕方ありません。

ただ、以前の経験を使って、一度新人レベルに戻ったとしても、2度目はもっと早く上達し、評価されるために必要なポイントを見つけるでしょう。

「教えてもらえたらできる」というスタンスでは、過去の経歴が全くと言っていいほど活かせていません。

冷静に今の評価を受け止めつつ、何をどう学べば良いのを見据えることが中高年の再起には不可欠です。

一方で、介護職の昇給について記事を書きましたが、介護職の昇給は異業種よりも厳しいと感じます。

つまり現場で作業できることが評価対象ではなく、横並びで昇給する部分があり、どうやりがいに結びつければ良いのか再検討したいと思うほどです。

その意味では、介護職として介護現場だけが働き先ではないことも視野に入れるべきでしょう。

逆にそれができないなら、介護職を選ぶメリットは極端に少なくなってしまいます。

自宅での介護が予定されている人や、根っからの世話焼きな人など、介護職に適していれば良い選択肢ですが、他にもっと自身に合った選択肢も検討するべきでしょう。

時給1000円と3000円の違い


単純に時給単価が3倍違うとどんなことが起こるでしょうか。

物を3倍買えると思った人は、早合点です。

人によっても異なりますが、独身者でも家賃や光熱費、食費などを合計すれば10万円くらいはすぐに使ってしまいます。

つまり、生活費を差し引くと残り金額は、時給単価以上に差が生じます。

時給1000円で、月に200時間勤めたとして、月給は20万です。

一方で、3000円なら月給は60万円になります。

生活費がどちらも10万円とすれば、10万円残せる人と50万円残せる人となるのです。

この違いは、次の一手を打つ数や方向性にも大きく関係してくるので、少しでも自身の時給単価を上げるように意識することが大切なのです。

中高年が仕事探しをする際、長時間の拘束を強いられ、しかも単価が安いであろう職種を選ぶのは慎重になるべきです。

一方で、ある程度の資金に余裕が見込め、程度に挑戦できる環境を構築している人が、やりがいを求めて仕事探しをする場合には、自身の生きがいにリンクするものも選択するのもありでしょう。

1日は24時間しかないので、時間を掛けなければいけないものほど、実は非効率なのだと考えましょう。

通勤時間が片道2時間も掛けるなら、もっと側に引越しべきですし、近場で条件の良い場所があるならそれを選ぶのも方法です。

テレワークのように、ネット環境さえあれば、どこでも働ける仕事というのも、これからの仕事探しでは注目かも知れません。