答えがない「介護」だけに
いつも思うのは、「トイレ誘導」を拒む介護士があるということ。
拒む理由は、「さっき行った」とか「まだ飲んでいない」とか。
それで利用者が納得していれば理解できるのですが、騒ぎは延々と続きます。
当たり前ですが、尿意を訴えているのですから利用者も必死です。
別のケースでは、コールが鳴った時の対応。
トイレ誘導にも近いのですが、目の前の仕事をしているので、「コールを無視」するのです。
鳴ればスタッフ間で目配せでもできれば良いのですが、動かない人はテコでも動かないので、決まったスタッフがコール先に駆けつけます。
仕事量の不公平感。
こみちの勤める施設では、各食事の前に利用者と一緒に口腔体操を行なっています。
一方で、食事の際には配膳や介助、食後には口腔ケアやトイレ誘導が控えます。
多くのシフトで、口腔体操組みと食事、口腔ケア組みに分かれて担当するのですが、ここでもちょっとした問題が生じます。
単純に「口腔体操」をする方がスタッフの負担は少なくなります。
食事の介助は、それなりに経験も必要ですし、1つの作業だけをしていれば良いというものではないからです。
つまり、動きの悪いスタッフには口腔体操を担当してもらい、閉口して作業できるスタッフに食事や口腔ケアを担ってもらいます。
ところが、昼時の体操を担当したスタッフの中に、夕食時の体操を拒む人がいます。
もちろん、昼食時には別のスタッフが食事や口腔ケアを担っているのです。
夕食時に逆の担当ができれば不公平感も解消されますが、そうはいかないからストレスなのです。
仕方なく夕食の体操をしても、そのまま夕食の食事介助も担当することになり、苦労が解消されません。
そんなマイペースな介護スタッフにオムツ交換をお願いすれば、通常の2倍も掛かって作業します。
もちろんコールにも出ませんし、利用者からの呼びかけにも対応しません。
その間、フロアに残されたスタッフが全てをこなします。
時には数名の利用者が声を上げ、軽い認知症の利用者が立ち上がろうとモゾモゾしても、助けてくれることはないのです。
「オムツ交換をもう少し早くできませんか?」
「無理だね。作業が雑になるよ!」
その答えは正論でしょう。
一方で、職場のフロアーでは様々な出来事が起こります。
どこで誰がどう折り合いをつけるかに掛かっています。
何もオムツ交換を雑にして欲しいとは思いません。
しかし、「キレイにする」という意識を持つあまり、他のスタッフに負担が集まってしまうのも問題です。
何より、キチンとした手順でオムツ交換したのだからと、自分なりの達成感に浸ってしまうのは考えものです。
オムツ交換も早ければ良いということではありませんが、時間的な成果について考えることが不可欠でしょう。
それが、1分なのか、3分なのか、10分なのかは各スタッフの経験値によります。
こんな装着でよく「失禁」しなかったモノだという状態もあるので、スピード重視を強要することはできません。
とは言え、何分でも掛けて問題ないと思うのは誤解でしょう。
もっとも、「介護」の仕事は正確がないので、リーダーの裁量で支援の質や内容が大きく変化します。
「オムツ交換なんて急がなくても良い!」という人もいるでしょう。
「もう少し効率的にしましょう」という意見もあるはずです。
唯一の正解はないですが、「これくらい」という目安はあります。
長くても、挨拶に始まりオムツ交換と起こしまでを6分以内で終えたいところです。
夜間帯のオムツ交換なら、1人2分以内も可能でしょう。
それ以上の時間を掛けるのは、利用者との会話を楽しみながら作業することがあるからです。
一方で、スピード作業を目指すあまり、拭き取りや着脱が雑では意味がありません。
人に余裕があれば、それなりの時間を使うもの否定されるべきではありませんが、不用意に時間をかけ過ぎて、他のスタッフの支えに依存するにも本末転倒です。
それぞれにこだわりがある「介護」だけに、実はリーダーのまとめる力が問われてきます。
「もう少し手際良く作業するにはどうしたらいいでしょう?」
遅れがちな介護士に直接声を掛けて想いを聞き出し、今後の目標を一緒に決めるなどして人材育成につなげましょう。