介護の仕事とコーチング

傾聴の方法


一般的な意味での「聞く」よりも、もっと意図的な意味合いを含んだ聞き方が「傾聴」です。

「ヘェ〜。そうなんだ〜」

聞いているのかいないのか、でも時々相づちを打ってもらえると、聞いてくれているように感じるでしょう。

「それからどうなったのですか?」
「それでそれで??」

あまり身構えられると話づらいこともあります。

「傾聴」だからといって、真面目に聞けば良いというのは誤解です。

こみちの感覚では、「話してもらう」を大切にしています。

では、どんな雰囲気が話しやすいかということです。

子どもとの会話が、車の運転中ということってないでしょうか。

2人きりの手ごろな広さの空間が、話しやすかったりします。

また、構造上、自動車って横に並んで座るので、視線がぶつかるのは顔を見合わせた時だけです。

あまり見つめられると、何だか見透かされているような気がして、話にくいものなんですね。

つまり、上司と部下の仕事の悩みを傾聴する場合も、広過ぎる会議室を使うよりも、会社から少し離れた喫茶店などを使うのもアリです。

多少の騒音が、話し手の気持ちをリラックスさせますし、「改まった感」が少ないからです。

店でコーヒーなどをすすりながら、「最近、ゴルフどうなの?」などと仕事とは関係ない話題から取り上げます。

「パットがイマイチですね。課長はどうですか?」

「こっちもボチボチだよ。そうだ、〇〇会社の〇〇さん、新しいドライバーを手に入れたらしいよ!」

「そうなんですか? あの人、この前もシャフトを換えたとか…」

これくらい話をすれば、かなり雰囲気も温まって来た頃でしょう。

「例の案件、大変じゃなかったかなぁ? 丸投げで心配していたんだよ」

「正直、先方の意向が見えなくて大変でした。でも、なんとか…」

「ああそう。やっぱり大変だったかなぁ。悪いことをしたな。〇〇くんの任せて良かったよ」

「イヤイヤ…」

コーチングというのは、問題解決を話し手主導で行ってもらう手法です。

「こうしなさい!」と命令する方法ではありません。

そこで、「ラポール(信頼関係)」がコーチングの成果を左右するようです。

一般的に、上司と部下の関係で「コーチング」をすると、問題解決の中に会社上のしがらみや利害関係が含まれてしまい、成果が出にくいとも言われます。

それだけに、両者の間柄を良好に保ち必要があるのです。

聞き手である上司は、部下に多くの話をしてもらう工夫をします。

そのためには、自論を語る時間は少なくするのが鉄則です。

そして、笑顔を基本としながら、時折うなづきを交えて、話への興味や承認を示すようにします。

「なるほどねぇ〜」

時には少し溜めてからの「ひと言」も効果的でしょう。

「上手くやったなぁ〜。思いつかなかったよ!」

しかし、調子に乗って来た時には、トーンを変えて話の流れを誘導することも大切です。

「それで? 〇〇はどうしたの?」

場合によっては、配慮に欠けていた部分をさり気なく指摘することで、部下に考えるべき問題を投げかけます。

「それも方法だね。他にはどうかな?」

そんな感じで部下自身が考えを整理できるようにすることで、コーチングは終わります。

経験豊富な上司ほど、部下の考えをすぐに指摘してしまいそうですが、「部下目線」を守ることで、コーチングは成果を生み出します。

時には、「ウチの部署では〇〇という方針なんだが、それについてはどう思う?」と具体例に感じで意見を求めることもありでしょう。

それは、部下の思考をあえて制限することで、より考えるべきことが具体化するからです。

例えば、結果さえ出れば良いと思っていたり、チームワークを尊重しなかったりする部下に意見を求めることになります。

「もしも、〇〇の立場ならどうだろう?」

第三者の立場になってもらうことで、視点を移動させることも可能です。

介護の仕事とコーチング


介護の仕事は現場作業が多いのですが、その本質は「傾聴」だと思っています。

特に利用者に対してどれだけしっかり「傾聴」できるかは、より快適に暮らしてもらうための条件です。

「トイレに行ったでしょう!!」

正直言って、もうそんなやりとりは不用です。

「もう少し我慢できそう!?」

本質は同じても、アプローチ方法を変えるだけで印象が変わります。

「何分くらい?」と問い掛けられたら、利用者自身が尿意を強く感じていると分かります。

「まだ大丈夫」と言ってもらえたら、「本当に行きたい時に教えてくれる?」と伝えればいいのです。

「行ったでしょう!」には、介護士の都合が見え見えです。

利用者にすれば、納得できる余地はありません。

でも、「行きたい時に教えて」と言われれば、本当に行きたい時まで静かにしてくれるかも知れません。

接し方一つで、介護現場の雰囲気は変えられます。

特に「なぜ?」が分かれば、利用者の要求も解決策が見つかります。

いつかの記事で、介護福祉士の先に「コーチング講師」という選択肢もあるとお伝えしたことがありますが、両者はとても似ています。

特に介護現場での経験は、貴重なニーズを蓄えることにもつながり、「コーチング」に触れた時に「その効果」を活かせる場面を思い出すでしょう。

その意味でも、いきなり「コーチング」を学ぶよりも介護現場で働いてみて、利用者とのラポールが大切だと感じた時に学んだ方が交換的です。