目指すのはベテラン介護士?それともケアマネ?それとも…

未経験から介護職に飛び込んでみて


介護の仕事が、とても守備範囲の広い業務なのは、これまでにも紹介してきた通りです。

利用者の生活面をサポートするのですから、未経験の方でも何となく想像できるでしょう。

例えば、食事について考える時、一般人を対象とするのであれば、魅力的なプライスと満足度の高い品揃えが問われます。

さらに言えば、店内の雰囲気や店員の対応も他店との違いを示すことになります。

というのも、お客様はどこの店を利用しても良いのですから、自分なりの価値基準で納得した店に出掛けることでしょう。

介護の場合、利用者の中には食べる行為そのものが困難になっている人がいて、一般的な硬さの食事だけでなく、力の弱い噛み方でも問題なく食べられる料理や、噛まなくても食べられる加工食品など、調理そのものが何種類も必要です。

さらには、食べられない食材もあるので、どうしても個別対応になってしまいます。

そう考えると、料理人として一般客に料理を提供することと、介護の利用者に食事を提供するのでは、根本的な部分から異なることが分かるでしょう。

サービスを紹介する業務と言えば、営業マンを思い出します。

車の販売店にいる営業マンは、自社の製造した車の魅力を熟知し、ライバル車種との違いなどもよく調査しています。

販売店を訪れた客に接する時も、年代や家族構成、車の好みなどを雑談の中から聞き取り、自社の製品を紹介していくでしょう。

時に試乗車を使って、カタログだけでは分からない使い勝手や、価格とのバランスなど、車の魅力をより具体的にアピールします。

現実にすることで、そのあとの話も明確になり、販売するという営業マンにとっての結果が得られるからです。

介護において、営業マンのような役割をするのは「ケアマネ」と呼ばれる専門家です。

現在では、未経験から最短でも現場経験を8年以上重ねないと受験できない資格となっています。

ケアマネの役割は、担当することになった利用者に対して、必要なサービスや希望するサービスを聞き出し、「ケアプラン」として計画書を作成することです。

もちろん、計画して終わるのではなく、どこの施設でどんな風にサービスを受ければ良いのか、利用者の様子を確認しながら継続的に調整も行います。

そして、1人のケアマネが担当するのは概ね35名の利用者。

つまり、毎日1人ずつ見ていくと、利用者全員を回るだけで1ヶ月以上掛かる計算です。

因みに月に一回以上の自宅訪問が課せられる場合、ケアマネがどれだけ忙しいのか分かります。

自動車の販売のように、契約までをいくつかのステップに分けて、例えば1回目は現車をショールームで見てもらいながら、内外装の様子を紹介したり、質感やおおよその価格帯などに触れるという方法もあります。

そんな感じで、回数を重ねながら、ライバル車種との違いを段々と詰めて行くことも販売方法なのです。

であれば、来客数が1日に30人だとしても、契約までの様子を見て売り込み方にアレンジを加えることも可能です。

一方でケアマネが利用者1人を担当する場合、訪問介護では自宅にも足を運びます。

そこでどんな暮らしをしているのかを確認しながら、より必要となる介護サービスを選んで行く必要があります。

制度の仕組みを理解してもらうのも重要ですが、利用者それぞれに合ったサービスを見つけ出すのは容易ではありません。

「軽い介護支援だからデイサービス何回!」

「食事で困っているなら宅配サービス!」

そんな風に機会的に決められるものではないからです。

家族からのサポートがどれくらいあって、配偶者の健康状態や経済的な余裕も考慮しなければいけません。

だからといって決めるのはケアマネではありませんから、利用者に納得してもらえるように説明も噛み砕いたものになります。

実際、介護士として利用者に接していると、質の高い介護がいかに利用者を生き生きさせるかが分かります。

同時に介護士としての負担も増えますし、現場のモチベーションも維持するのは容易ではありません。

ケアマネが作成したケアプランが、あまりに高い要求であれば、介護士は疲弊しやる気を失せてしまうこともあるでしょう。

自動車販売の場合、グレードの高い車種やオプションをたくさんつけると販売価格も高くなり、利益も見込めます。

しかし、介護の場合、多少の違いはありますが、介護士目線で言えば1時間いくらの世界なのです。

利用者のために頑張ったからいくらという計算ではないので、介護士によっては困難な仕事や負担の重い業務を敬遠することも少なくありません。

その意味では、どう質の高い介護を確保して行くのかも問題となってくるでしょう。

一般に介護の業務は介護保険制度に従うので、施設ごとで極端に異なる給料にならないのも頷けます。

これから介護士を選ぶ際、もしも自動車販売のように自分なりに成果を出してより報酬を得たいと考えるならば、介護以外の仕事ではダメなのかも考える必要がありそうです。

介護士として数年働けば、ある程度の業務を淡々とこなせるはずなので、勤務時間の変更に体力が追いつくのであれば、中高年からでも働きやすい職場となります。

ただし、年数が長いからと言って、ベースアップが期待できるかはその施設で異なるので、長く勤務したい思うなら、月給や休暇日数同様に面接段階で確認しておくべきでしょう。

さらに、介護士からケアマネへと目指す場合、どこにやりがいを感じるのかもしっかりと再確認しましょう。

ケアマネに似た相談業務は、社会福祉士も行うので、その業務の違いや役割についても知っておくことが大切です。

社会福祉士の場合、専門的な教育を受講しなければいけない他、介護士福祉士以上に難易度の高い試験があるので、その対策にも準備が必要です。

現役介護士のこみちがオススメするのは、介護士なら副業を持つこと。

介護にどっぷり浸かりたいなら、作業療法士や社会福祉士、看護師などの他職種との比較をして、介護福祉士やケアマネを考えることが大切です。

なぜなら、想像以上に時間がなく、思うように利用者に関われないことが多いと感じるからです。

介護士としてそうなので、ケアマネとなれば尚更感じるでしょう。

そんな中で利用者に合ったケアプランを作るとなれば、時間外労働も視野に入れないとなかなか満足できる仕事はできないでしょう。

それだけにケアマネとして頑張るんだという意気込みが重要です。