大卒資格は必須なのか?

1990年代と「今」を比べる


我々中高年がまだ学生だった頃、大学進学はある意味で選ばれた人たちに許された選択肢でした。

特に地方出身者が、首都圏の大学に進学するのは学力だけでなく経済的な負担も大きいものです。

ある調査によると、1990年はちょうど団塊ジュニア世代で、同年代もたくさんいました。

高校時代には、旧帝大と呼ばれる大学をはじめとした有名校を目指していた同級生は、予備校や塾通いをしていたのを覚えています。

まだあるの頃は、終身雇用制度もあり、大手企業に就職できれば人生を送るうえでも安定した暮らしが見込めたはずです。

一方で「今」はというと、少子化に伴い大学そのものが学生集めに奔走する時代。

そこには、大学で何を学び、卒業後に実社会でどう生きて行くのかを問われるようになりました。

もちろん、かつて同様に優良企業はたくさんあります。

しかし、何処かの企業に入社したら、定年を迎える年齢まで会社の歯車となって働き続けようと思う人は、1990年代よりも減っているのではないでしょうか。

これもテレビ番組での情報ですが、現在小学生の子どもたちが大人になる頃は、「今はまだ存在しない職業」に半数以上が就くようになるそうです。

つまり、社会構造が大きく変化して、それによって仕事の淘汰も始まり、今の仕事の多くは消えてしまうことになります。

当然、1990年代と「今」とで働き方に違いがあったとしても不思議ではなく、むしろそのことを理解して我々も老後に備えることが大切です。

東京と地方の違い


地方出身者であるこみちにとって、「東京」はとても輝いた街に映ります。

1990年代を思い出せば、尚更、地方では体験できなかったことが、当たり前のように探せます。

物もそうですが、人やイベント、社会の動きが東京から始まっていると強く感じられました。

もちろん、今でも東京は日本を代表する都市ですが、インターネットの普及により商品に関しては随分と差が縮まったように思います。

「東京でなければ買えなかった」というケースが減り、巨大なネット通販サイトを巡れば欲しい商品がクリック1つで手に入ります。

また、働き方にも変化があり以前なら混み合う電車に揺られるのが当たり前でしたが、テレワークが常識となり、勤務地と生活圏の違いがあっても良くなってきました。

特にインターネット上で働ける職種であれば、以前には実現不可能だったライフスタイルを手に入れられます。

つまり、1990年代と「今」では、多くの常識が変化して、働き方についても意識を変えなければいけません。

大学卒業が与えてくれるもの


転職活動を考える時、資格取得も有効な方法です。

1990年代、受験生の約40%が進学先の大学が見つからなかったそうで、「今」の6%前後と比較すれば、「大卒」の価値も異なることが分かるでしょう。

約40%の不合格者がいた時代、「大卒」は自身の能力をアピールする方法になりました。

有名大学であれば、その評価もさらにアップされ、社会人となってから何かと大卒資格に助けられることでしょう。

一方で「今」になると、不合格者は数%しかいません。

「大学進学」は難しいことではなく、「大卒資格」もそれ自体に以前のようなアピール力は失われたでしょう。

つまり、大学卒業が当然となれば、「高卒だけ」の人は社会の数%に入ってしまいます。

有名大学か否かよりも前に、「大学卒業者」であることが未来を生き抜く条件になってきたのです。

資格取得の条件を比べると


医師や弁護士など、理系文系の頂点ともいえる資格を取得するには、「大学」が大きな役割を果たします。

また、理系分野では、薬剤師なども大学進学を前提としていますし、文系分野では公認会計士や税理士なども同様です。

つまり、生命や財産に深く関わる資格を取得するには「大卒資格」が受験条件に盛り込まれることがあります。

大学卒業資格を問わない資格になると、「実務経験」を求められるようになります。

大学卒業が原則4年なのに対し、実務経験の場合には2年から5年程度の実務経験が必要とされるので、大学のランキング以上に「大卒資格」が幅広く活躍するためにツールと言えます。

放送大学などを利用すれば、比較的リーズナブルに「大学卒業資格」を得ることができ、社会的に価値のある資格にも挑戦可能です。

ところが、介護系資格で言えば、介護福祉士やケアマネなどは「大学卒業資格」を問わないこともあり、ケアマネになるまで最短でも8年掛かるほどです。

社会からの支持に加え、時間を短縮してやりがいある仕事を見つけるには、「大学卒業資格」が最初のポイントとなります。

その意味では、大卒資格が取れないかを検討し、スケジュール的にも困難な場合に限って、実務経験重視の職種から探しましょう。

大学を卒業していない場合でも専門学校で学べば、手に職をつけられる作業療法士や栄養士、看護師などの資格を得られます。

無資格から始められる介護士と比較しても、時間給や仕事の進め方、やりがいや責任に至るまで専門学校に通う意義は大きいでしょう。

このように、当時は高嶺の花に思えた「大学卒業資格」ですが、今は持っているのが当たり前になって来ました。

自身のスキルアップを果たすためにも、「転職」や「就活」と同じ目線で「自身の学歴」も見直しましょう。

今後も幅広い活躍を目指すのなら、「大学」の活用が有効となります。