介護士の働き方
多くの介護施設では、シフト制勤務を採用していて、所属する介護士が流動的に組み合わさって仕事に携わります。
また、時間帯毎にこなすべき課題が割り振られていて、何時までに何をしなければいけないのか、それぞれの介護士が連携を取りながら仕事を進めて行きます。
その際、多岐に渡る仕事の中でも、担当できるできないという割り振りもあるので注意が必要となります。
仕事を効率的にこなすには
介護に限ったことではありませんが、仕事を効率的に進めるには同じ種類の仕事をまとめて処理することが重要です。
オムツ交換をして、お茶を配って、お風呂の介助に行って、またオムツ交換に戻るという働き方は、体力を消耗する割に「成果」が上がらないのでオススメしません。
ただ、それは極端なケースであって、オムツ交換の後にトランスをしてフロアまで誘導するという一連の作業も、効率という面で見れば「ロス」があるでしょう。
どこまで同じ種類の仕事に専念できるかがポイントにはなりますが、介護の仕事は特殊で、利用者の様子を見ながらその時間帯に合わせた課題に取り掛かるのが基本です。
まず大前提として、できない作業を無くすことが重要です。
新米介護士と呼ばれる人が、移乗などのトランスを覚えてトイレ誘導ができるようになると、今度はオムツ交換をクリアして、入浴介助、さらには夜勤帯での長時間勤務へとステップアップするのだとしたら、すべての介護士が夜勤帯までできるようになっていると連携に柔軟性が加わり、より効率的な仕事の進め方が可能になります。
しかし、トイレ誘導は利用者の〇〇さんは苦手とか、オムツ交換は男性の利用者NGという条件が多くなると、連携方法に制約が増えて、オールマイティーな介護士ほど負担が増えます。
当然、効率的に仕事を進めることが難しくなり、別のシフトで働くよりも負担が増えるなど「ムラ」も大きくなります。
そこで、個々の介護士ができるだけ「NG」を作らないように心がけることがポイントです。
こだわりを持つことと介護の仕事
仕事に対してこだわりを持つことは問題ありません。
注意したいのは、「こだわり」を理由に「NG」や「非効率化」の加担しないことです。
一人分のオムツ交換に20分以上掛かってしまうとしたら、何か改善するべきポイントがあるでしょう。
また、ある利用者に付きっきりになるあまり、他の作業に見向きもしないのも問題がありそうです。
急変した利用者の対応は、慣れた介護士でも慌ててしまうでしょう。
しかし、看護師の担当に切り替わった後、いつまでも利用者の側にいるのは状況判断が必要です。
介護士の仕事がそこにあるのなら話も変わりますが、看護師のサポートではなくただの傍観者になるくらいなら、別のやるべき仕事に気持ちを切り替えるべきだからです。
実際、1つの仕事に専念するのが理想であり、それがその人のポテンシャルを最も発揮できる状態です。
一方で、3つも4つも同時に進行しながら行う場合、時に簡略化したり手順が入れ替わったりすることも避けられません。
そのためには、集中力も必要ですし、作業に慣れることも求められるでしょう。
いずれにしても、ワンパターンの作業というのは、「作業の効率化」や「連携の柔軟性」に逆らいます。
判断力とは何か?
判断力とは、「勘」で左右されるものではありません。
ある状況を自分なりに分析して、今後の結果を見据えて軌道を修正することです。
つまり、判断を下した後になって、「やっぱり…」と結論を覆すような状況はタブーなのです。
リーダーが判断することで、その下にいるスタッフは連携を取りながら仕事を進めます。
なのに、最終的な目的がコロコロと変わってしまうと、何から進めれば良いのかスタッフたちが迷い始めるからです。
判断力を問われるポジションになった時は、先回りして状況の展開を予測することが不可欠です。
そして、どこで何を決断しなければいけないかを予めピックアップしましょう。
特に大きな変更となる事項については、「やっぱり…」という曖昧な指示は取るべきではありません。
場合によっては、その後の指示に従ってくれないばかりか、リーダーとしての資質まで問われることになるからです。
100点満点が難しいと思った時に、手堅く80点を目指して20点を捨てる判断も必要です。
ところが、状況の変化を見て、捨てたはずに20点まで取りに行けば、80点どこか60点さえも取れなくなることだって起こります。
規模が大きくなるということは、よりリーダーの判断力が結果に影響を与えるので、事前の準備が大切なのです。
介護士ではあるけれど
介護士としての作業は、他職種の作業とは異なる部分も多いでしょう。
しかし、仕事を進めていくということは、介護も他の仕事も変わりません。
なので、介護の基本作業ができるようになっても、そのままリーダーとして実力を発揮できるとは限らないのです。
そこには、「判断力」や「リーダーシップ」という項目が関係し、それなりのテクニックや意識づけが求められます。
中高年の転職組みの優位性
異業種から転職したい場合、当然、介護のことは未経験です。
しかしながら、仕事を進める際に求められるポイントは何も変わりませんし、それができるか否かが社内での「昇進」にも関わってきます。
介護の仕事というと、例えばオムツ効果で、どこにポイントがあるのかが議論になったりします。
もちろん、それも大切なのですが、「仕事」というベースがあっての話であり、「基本」さえ覚えてしまえば中高年ほど経験に基づいた応用力が使えます。
もっとも、介護の仕事は、非効率な部分も多く、介護士が体を動かして仕事が進みます。
つまり、デスクワークでよく使う、相手に仕事を振っている間に別の仕事を進めるというようなテクニックは不可能です。
方法が制限される分、体力で補うので、介護の仕事は疲れます。
中高年の転職組が目指すのは、3年以上の現場経験を積みリーダーとなって、他のスタッフを効率的に使う仕事をすることでしょう。
そのためには、介護福祉士という肩書きが不可欠ですし、いろいろなシフト勤務を経験して「組織化」に目を向けることです。
「人を使う」というと、相手をむげに扱うイメージを持つかも知れませんが、リーダーになる人ほど、相手の苦手な作業をフォローして、楽に進められるように配慮してくれます。
そのあたりのコミュニケーション能力も中高年の方が発揮しやすいポイントでしょう。
そう考えると、介護の仕事もベースが特別なだけで、その先はほとんどが異業種時代と変わりません。
資格を取得できるまでの3年の過ごし方で、その後も決まると言っても過言ではないでしょう。