介護老人保健施設は特別養護老人ホームと違うのか?

「介護」に大きな違いはない!?


人間の幸福を見出すことは簡単ではありません。

忙しく仕事をしていることが幸せな人もいれば、一人でひっそりと日向ぼっこして過ごすのが好きな人もいるからです。

そんな両者にも共通点があって、本人が「今を充実している」と感じていることが大切です。

介護老人保健施設の存在意義を説明すると、病院でのケアを終えて自宅復帰に向けた介護的なケアを提供するところ。

なので、リハビリやレクリエーションも頻繁にあります。

一方で特別養護老人ホームは、終の住処。

自宅復帰という目的ではなく、今の暮らしをより充実させることに趣があります。

では特養ではリハビリもレクリエーションも不要なのでしょうか。

そんなことはありません。

しかし、自宅復帰ではありませんから、リハビリもレクリエーションも利用者の「満足感」が重視されます。

「今日はちょっと歩いてみたいなぁ」という気持ちなら歩けばいいですし、「疲れたので横になりたい」時は無理する必要はないからです。

介護士として働く場合、「介護」を提供したくなります。

世話を焼いて、「介護」気分を感じたくなるのでしょう。

しかし、「介護」は支援の総称に過ぎず、利用者のサポートです。

介護士の満足度で決定されるものではありません。

注意するべきポイントがあるなら、時に人は目標を見失うことがあります。

しっかりとリハビリをして自宅復帰したいと思っていても、疲労感や眠気に負けて「休み」にしてしまいたくなるからです。

利用者の本音をどこで確認するかというと、介護士は「ケアプラン」を見ましょう。

担当するケアマネと話せる機会があれば、「どうなんでしょうか?」と日々の様子を踏まえて支援方法を確認してもいいはずです。

また、許されるなら家族にも確認できますが、場合によっては不安を煽ることにもなるので、独断で打ち明けるべきではありません。

いずれにしても、介護士が介護現場で提供するのは、「ケアプラン」に沿った介護支援です。

実際、老健でも自宅復帰できる環境が整わないケースも少なくありません。

家族が頻繁に面会に足を運んでいますが、それぞれの事情もあって利用者を引き取れないことも起こり得ます。

「これを飲めばどうなるんですか?」

水分補給が身体に不可欠だと説明する時、ある利用者から言われた言葉です。

この利用者は、とてもこだわりが強く、別の施設でも馴染めずに再入所した人。

加えて自宅復帰も困難な状況です。

理詰めで介護を考えてしまうと結論が見出せなくなります。

だからといって、その人には日々のケアが必要です。

そんな大人の事情もあるので、介護士も杓子定規で「介護」を捉えるべきではありません。

もっと根底から考えて、「介護=利用者のサポート」でいいのではないでしょうか。

そう思うと、老健と特養の差はほとんどありません。

ただし、老健であれば機能回復の見通し次第で自宅に帰っていきますし、特養なら終の住処として安心しながら自分らしい人生の総まとめができるでしょう。

そこで介護士は、それぞれの施設に身を置く際、利用者が何を求めているのかを意識するべきです。