介護を分かったつもりになると

仕事ができる人の思考プロセス


「A」でなければ「B」。それ以外なら他部署に回す。

これだけで何を言いたいかわかってもらえたら幸いですが、少し補足しておきましょう。

結論的な話をすると、自分の価値観で物事を判断して、そこに当てはまらないものは担当外にするという仕事法。

会社で長く勤務していると、担当する仕事がある程度限定されて来て、いつの間にかそんな仕事法がまかり通ってしまいます。

長く会社勤めしている人が、自身のスキルを見誤る注意ポイントでしょう。

仕事が分かったつもりになる怖さとも言えます。

介護士も陥りやすい「つまり仕事法」


介護の研修を受けた人なら、介護は根拠が必要なことを知っているでしょう。

つまり、「なぜそんな介助をしたのか?」に対する「理由」が必要なのです。

まずはケアプランが立てられ、介護の方向性が示されます。

その時点で、自宅に戻るための介護なのか、施設内で穏やかな暮らしを満たす介護なのか、介護士が混同することはあり得ません。

さらに、利用者の状況に応じて、食事するべきか、休息を取るべきかも決まってくるでしょう。

その判断をした「理由」が介護支援の根幹と言っても言い過ぎではありません。

ところが、介護職に慣れてくると、ある程度方法を覚えて来て、「こんな時はこうしておく」というパターンができて来ます。

仕事を早く覚えるコツが、パターン化にあるとすれば、どこでそれから離れて介護職を見直せるかが重要です。

オムツ交換や食事介助など、何をどうしておけば良いのかが分かると、介護職まで分かったつもりになってしまいます。

「ぬいぐるみを怖がる利用者」


ある利用者が、あるぬいぐるみを怖がります。

それに気づいた介護士たちは、その利用者が聞き分けのない態度を示すと「ぬいぐるみ」を持ち出します。

「やめてください!」

利用者の反応は当然のことでしょう。

本来なら、利用者がぬいぐるみを怖がるプロセスに着目しなければいけません。

プロセスに着目できなくても、そのことを面白がるべきではないことは気づくべきでしょう。

つまり、パターン外のことが起こった時に、「どうしてなのだろう?」という理由を考えようとする意識が大切なのです。

原点に戻ると、「A」や「B」に当てはまらないことなど当たり前にあって、それをどうするかがスタートなのです。

それなのに、同じ業界の同じポジションを続けていると、本来なら解決するべき課題にさえ気づかずに、知っているパターンだけで仕事を分かった気分になってしまいます。

思うのですが、中高年の方でも介護職なら採用されやすいと考えがちですが、受身的な意味で「介護職」を選ぶべきではないのかも知れません。

ある意味で、利用者の様子を見てどんな声かけをすればいいのか、この場合に必要な介助方法は何かを考えるなど、課題を見つけて解決していく意識が不可欠です。

もちろん、介護だけが必要になる意識ではなくて、どんな仕事でも忘れてはいけないポイントだと思うのですが、意外と忘れている人も多いようです。

転職で上手くいかなくなった時に「世間って厳しいなぁ」と感じるのも、採用側にすると希望者の能力に目を向ける以前に、自身が決めたパターンで判断を下してしまうからです。

いい職場ほどパターンに捉われない判断を下し、本質を探そうと働いています。

そんな風に思うと、介護職は「分かった」と思ったら知識も技術も止まってしまう仕事なのです。