必要なことを必要な時にそれが「指示」のコツ

指示を出すことの難しさ


最近、仕事覚えの悪い後輩の介護士を見ていて気づいたことがあります。

そのこと自体は、過去のサラリーマン時代に気づいていたことで、「やっぱり」というのがホンネです。

部下の動きが悪い原因の大半は、上司や先輩の指示ミスだと思うのです。

リーダー1人に部下1人のチームなら二人三脚で動きやすいのですが、部下が5人を超えると指示を出すタイミングと内容が結果に大きく影響します。

勘違いしてしまうポイント1


「正確に伝えることが大切だと思い込むこと」

真面目な人にありがちな指示の特徴ですが、前置きが長く、説明も散漫で、結局何をすれば良いのかピンと来ないというもの。

勘違いしてしまうポイント2


「忘れないうちにとか、思いついたからと、時期を見定めずに指示を出してしまうこと」

必要となるタイミングよりも早すぎたり、遅すぎたりすることで、指示を受けても思うような結果に繋がらないというもの。

勘違いしてしまうポイント3


「指示を出している自分には非が無い。結果が出ないのはダメな部下がいるからだと思いこむこと」

リーダーになるって、視点をいくつも持つことなんですよね。

もちろん、リーダー目線は必要ですが、部下からどう見えているかも忘れてはいけません。

イメージは長いトレーラーを運転しているつまりになって


長いトレーラーを本当に運転したことはありませんが、渋滞している交差点に中途半端に進入すると、交差点を塞いでしまい大混乱になりますよね!?

つまり、今は空いているように見えるけど、部下たちが行動に移す時には状況が変化しているかも知れないぞと、指示を出すタイミングではなく行動するタイミングで考えなければいけません。

どのタイミングで指示を受けたら、一番動きやすいのかを逆算することが不可欠です。

なぜ、部下が何度も同じ質問をするのか?


さっき説明したはずなのに、また同じ質問をしてくる時ってないでしょうか。

その原因は2つあって、後輩がメモを取っていないか、指示の出し方が不適切なのかに分かれます。

「アイツ、また同じ質問を!」

イライラするのも分かりますが、「もしかして、自分の指示の出し方が悪いのかも…」と振り返ることも大切です。

特に有能な部下は、成功体験も豊富です。

今の状況では結果が出ないと思えば、より詳しい指示(意図や目的)を確認して来ます。

その時、あなたが1から説明をし始めて、「そうじゃないですよ。聞きたいのは…」と口を挟んできたら要注意です。

なぜなら、あなたの指示に不手際があり、部下のようで指示内容を調整し始めているからです。

つまり、部下に主導権があって、上司であるあなたの指示(希望)を実現させようと動き始めたからです。

場合によっては、そんな部下がキーマンになり、あなたからの指示を一度受け取り、さらに末端の部下にその人が指示するようになっていきます。

結果として、あなたのポジションはお飾りで、機能としては部下がリーダーになっています。

指示の出し方を間違えると、人は勝手な解釈をしますし、有能な部下ならあなたを超えたポジションまで登り詰めるでしょう。

「どうしますか? 先輩!」

その部下のホンネは、あなたの指示を再確認しているのでしょうか。それとも、あなたの希望を確認しているのでしょうか。

「何度も同じ質問を…」

そう思っている間に、組織の構成図が変わっているということも珍しくありません。

余談ですが、人を扱うのが上手な人っています。

初めて職場に出社した新人を案内する時などにも表れます。

最低限の案内は、更衣室やロッカー、トイレやユニフォームの扱い方を教えることでしょう。

さらに一歩優れた案内になれば、「何時に何を持ってココに来るように」と具体的な指示が含まれます。

もっと優れた案内となると、実際に入職する職場のリーダーや担当者、さらに顔を合わすであろうスタッフに「新人の〇〇さん。分からないことがあったら、〇〇さんに聞くように! みんなもサポート頼みますよ」と信頼される上司だからこそのサポートを行います。

その際、具体的である必要はありません。つまり、1から10まで説明することはなく、むしろ省いたことが求められる指示なのです。

質問は実際に経験する中で出てくるもので、最初から全部説明しても無駄になるからです。

もしも、信頼してくれる部下がいなければ、そんな指示の出し方はできないでしょう。

「組織」というものや「指示」というものを理解している人から見れば、あの上司って頼りになる人かもなぁと思ってもらえるのではないでしょうか。

組織を動かすのは「指示」ができる人


リーダーに向くかどうかは、状況判断の上手い下手とは限りません。

逆にそれが得意な人をサポートに付ければ、「指示」を出す人になれます。

しかしながら、「指示」が出せない人は、どんなにサポートをつけてもリーダーにはなれません。

なぜなら、組織が動かせないからです。

こき使われているなぁと感じる相手に付いて行きたいでしょうか。

チームとして苦労を共にした結果、大きな目標を達成できたらどうでしょうか。

実は両方とも部下は苦労しています。

しかし、何のために苦労をしたのかが明確になっているかいないかで、印象は大きく異なります。

話が上手いという視点ではなく、指示の出し方に思いやりがあるかどうかが重要だと感じます。

人を使うという意識ではなく、人にしてもらうという気持ちがあると、部下だって頑張りがいがあるでしょう。

ところが、質問された時に、全部を話そうとしたり、面倒くさそうな表情を浮かべたりすると、部下は単純に失望します。

やる気も出ませんし、結果を出したいとも思いません。

当然、リーダーである上司はプロジェクトで結果を出せないでしょう。

場合によっては、リーダーで現場仕事が苦手な人もいます。

でも、その人のためなら組織が動くのです。

だからリーダーとなって、組織を動かすのです。

仕事ができる人はいるけれど、指示が出せる人って意外と少ない気がします。