介護職員の給料は本当に安いのか?

ある看護師の話


施設の昼休み、食堂で居合わせたケアマネも兼務している看護師との話。

その人は、看護師になってキャリア20年のベテラン。しかも、国立大学の看護科を卒業している。

さらに、ケアマネとしても活躍していて、勤務外にも書類作成などで忙しい毎日だという。

興味深いのは、看護師として働いていた方が給料がいいということ。

以前の記事でも触れたのだが、職種として比較すると看護師とケアマネでは看護師の方が単価が高いらしい。

一方で、介護現場の忙しさは、介護士の協力が欠かせないという。

入職時、その看護師は「看護業務を担当する」という契約だったそうだ。

しかし現実は、シフトによっては介護士の出来なかった業務をカバーすることも少なくない。

そこには、未経験の介護職も多く、全体の作業量に対する分担が割り振れないからだと話す。

「「とても全部はできません!」っと言われる」らしい。

他の数名いる看護師たちで、看護業務と介護業務を回すのだという。

介護施設の体制に問題はないのか?


こみちの経験だが、看護師と介護士の仕事をするスピードはかなり違う。

多分、感覚的な話をすれば、時給の差以上にある。

オムツ交換や入浴介助、スキルが現れる作業ほど、その差が明確だ。

「〇〇さん、オムツ交換が上手く出来なくて。コツがあれば教えてくれませんか?」

こみちも何度か居合わせた看護師にオムツ交換のコツを聞いたことがある。

「持ち方かな?」「ポイントを見つけることかな?」「あとは数をこなすこと」

忙しいのに、丁寧にアドバイスしてくれたことを覚えている。

「聞いてくれる介護士さんって少なくないのよ」

なんでも、看護師と介護士は対立しやすい関係にあるのだ。

看護師にすれば、未経験から看護学校でイロハを学び、厳しい実習をこなして「国家試験」もパスしている。

一方で、介護士は福祉系の学校で学んだ人もいれば、こみちのように中高年から入職した人もいる。

技術的な差が大きいのだ。

「早く任せられる介護士になってね!」

アドバイスの後、その看護師に言われた一言は、今でも覚えている。

ふと思い出したことだけれど、看護学校に合格するのは介護系の学校よりも難しい。

勉強ができることと仕事ができることは同じではないが、事務処理という面では一定の評価に値すると思う。

実際、介護士同士でも、不思議な仕事の仕方をする人がいる。

1つの仕事を始めたら、それが終わるまで別の仕事には見向きもしないのだ。

他にも、1年経ってもトイレ誘導さえ頼めない人もいる。

そう考えると、介護士のスキルはとても幅広く、看護師も舌を巻くくらい仕事ができる人もいるだろうし、作業分担もできない人がいる。

ある調査によれば、看護師の年収が400万円から500万円。一方の介護士が350万円から400万円。

こみちが想像するには、看護師から見れば、「介護士って仕事の割にもらえるなぁ」と感じているだろう。

もちろん、介護士と言っても仕事量はさまざまで、「介護士の給料は安い!」と胸を張って言える人もいるはず。

しかし、現職に行き着いたプロセスを考えると、看護師になる期間やハードルに比べると、介護士って随分と異なる存在だ。

その意味では、「介護福祉士」から仕事を任せられる存在なのだろうか。

接客業としての介護士


接客業と言っても、職種はとても幅広い。

店舗の店員もそうだし、ホテルマンやフロントなどが代表例だろう。

店舗スタッフの場合、職種にもよるが、「特定の資格」は求められない。

その代わりに、見た目や雰囲気、扱える言語など、ある意味で「選ばれた人」であることが条件となる。

中高年になった時、店舗スタッフとして働いていた人も店長クラスにステップアップするか、別のスキルで存在価値をアピールしなければ、働き続けるのも厳しくなってくるだろう。

ホテルマンやフロント業務となれば、なおさら明確だ。

そんな中で、介護の仕事は職歴も年齢も問われず、しかも未経験者には「初任者研修」を受けさせてくれる神対応まである。

それだけ人が集まりにくい業界とも言えるが、入職までのハードルが異業種と比べても低い。

だからこそ、中高年の転職先としてオススメしているのだが。

介護の仕事とは?


実際に介護の仕事をしてみれば分かるが、多くは「繰り返し」の業務だ。

できるようになれば、同じ作業をすればいい。できない人はlいつまでもできないままだ。

最低限のレベルまでできないと、現場でスタッフはいるのになぜか疲れるという事態に陥る。

ある人は「介護の仕事は大変だ!」というだろう。

思うに、一定水準以上のスキルを持つスタッフが揃っていれば、介護現場はとても楽しい職場だ。

レスポンスも早いし、天気がいい日は利用者を散歩に連れて行ったり、レクリエーションとは異なる団らんを楽しんだり、利用者の笑顔や笑い声も増える。

ある意味で、「これが介護だ」と思う。

課題に取り組む時間もできるから、個々の利用者のニーズにも応じられる。

思うのだが、ここから先が「介護と看護」の分岐点ではないだろうか。

介護士が看護師の真似をしても意味がない。しかし、基本スキルがないままでは「介護」もあり得ない。

そう感じていても、そこまで回らない介護現場も多く、「オムツや入浴など」で手いっぱいになっているのだろう。

さらに現場全体のレベルアップを図るには、リーダーの手腕が欠かせない。

目の前の仕事を頑張るだけではダメで、レベルの異なる介護士たちを上達させながら、組織としての連携も密にしないといけない。

ところが、このスキルって、サラリーマンでも部下を育てた経験のあるレベル。

プロジェクトのリーダーや学生時代にキャプテンなどを任され、苦労を経験した人でないと荷の重い立場だ。

「そこまで担うつもりはないよ!」

苦労を知っているだけに、スタッフの中でもその役目を避ける人も出てくる。

仮に強い組織を作っても、現状では報酬アップが期待できないから大変だ。

そして、「上質な介護とは?」という問題に行き着く。

医療に比べて、介護のゴールはとても多岐に渡り渡るから、基本スキルから先は目標が見つけにくい。

言うなれば、時給2000円相当という評価もできれば、現状維持で十分という評価もできる。

介護特有の難しい課題だろう。

介護士の作業だからといって、看護師以下では意味がない。

オムツ交換や入浴介助では、安全性や快適性があって当然だ。

さらに、利用者の私生活をここまで寄り添えるかが、介護士としての存在価値となる。

そう考えると、介護士の報酬って安いのか高いのか分からない。