利用者からの暴力はなぜ起こるのか?

利用者と言っても様々


これまで、「介護とは何か?」をこのブログでも考えて来ました。

こみちが思うのは、「介護は特別なものではなく、誰にでも必要な時が来る「当たり前」のこと」。

だからこそ、介護士として働く我々が、利用者とどう向き合うのかが求められるのでしょう。

こみちの少ない経験ですが、認知機能が低下していくと、同時に「羞恥心」も薄れて来るように感じます。

一方で、異性の介護士から支援を受けたくないと感じる利用者も少なくありません。

特に女性の利用者は、その傾向が強いように感じます。

当然と言えば当然のこと。

介護施設を利用するようになったとはいえ、それまでトイレは1人で利用していたはずで、急に介護士があれこれと関わることに抵抗を感じても不思議はありません。

こみちの場合も、支援を拒絶されたことがあります。

羞恥心から「女性介護士」を希望されたケースです。

そんな場合には、事情を説明して対応を代わってもらいます。

こみち自身、介護施設で働くまでは「男性にもできる仕事があるのだろうか?」と思っていました。

女性介護士なら男女を問わずに受け入れられると想像できたのですが、男性介護士の場合は女性だけでなく男性からも拒絶されるように感じたからです。

結果的なことを言えば、入浴の一部を除いて、男女を問わずに介助させてもらっています。

以前は「女性介護士に…」と断られた利用者ですが、最近では日常的に介助させてもらうようになりました。

その意味では、男性介護士でも女性介護士同様に施設内で幅広く活躍できるでしょう。

利用者の暴力


利用者によっては、知的で穏やかな方がいる一方で、言葉遣いの荒い利用者もいます。

特に男性の利用者の中には、一般的な男性介護士よりも大柄の方もいて、トランス(ベッドから車椅子などの移乗)が大変なケースも少なくありません。

また、言葉遣いが荒く、介護士のミスや不手際に対して文句やクレームを必要以上に訴えることも考えられます。

こみち自身は、「本当にできるの?」と不慣れなオムツ交換中に言われたことを覚えています。

もっとも、それだって今では介助にとても協力的ですし、あれ以来利用者からの暴言は聞いたことがありません。

しかし、全てのケースで円満に解決したわけではなく、対応策に苦労したこともあります。

その1つが、利用者と利用者のケンカでした。

どちらが良いか悪いかの話ではなく、ちょっとしたことで日ごろのストレスから手が出てしまったものです。

「〇〇さんも〇〇さんも…。どうしましたか?」

仲裁に入っても、両者はまだ興奮状態で、顔を真っ赤にしています。

「何があったですか?」

利用者の1人から事情を聞きます。そして、もう1人にも「そうなんですか?」と確認を取ります。

「〇〇が悪いんだ!」

「お前の方が!!」

また言い争いになり、興奮状態が続きます。

その内、別の介護士が駆けつけてくれて、両者を引き離しさらに事情を確認します。

こみちが感じたのは、施設での暮らしがもたらしたものだと言うことです。

介護士はスケジュールに沿って動いていますが、同時に利用者も時間に管理されて生活をしています。

お茶の時間になれば、介護士が声をかけ、「起きて下さい」と言います。

誰だってもう少しゆっくりしたいと思う時があるでしょう。

しかし、集団生活を送っている以上、みんなと異なる行動は「理由」が必要になります。

「疲れたから」と言うと、バイタルと言って体温や血圧など健康状態の確認をします。

平熱であれば、「大丈夫です。起きて下さい!」と介護士が言うでしょう。

「ちょっとだけ寝たい」

些細なことが許されない状況下で、知らず知らずのうちにストレスが溜まってしまうのです。

「オレの方が先だった!」

「私は予約していたんだ!」

互いに怒るようなことでは無いと思っていても、ストレス下では我慢するよりも言いたくなってしまいます。

言葉で説明できない苛立ち


認知機能が低下すると、これまで感じたことがないような孤独感や不安感に襲われることがあります。

私たちも知らない場所に1人取り残されれば、「この先どうなるのだろうか?」を感じるでしょう。

例えば、通りすがりの人が声を掛けてくれたとしても、その声に耳を傾けることができずに、むしろ「恐怖心」を煽ることだってありほどです。

「今、とても不安なんです!」

そんな風に、自身の気持ちを誰かに言えたら楽かも知れません。

名前は知らないけれど、見たことがある人だと思ってくれたら、利用者は介護士に気持ちを伝えてくれるでしょう。

以前の記事にも書きましたが、ある利用者は介護士の名前を覚えていないけれど、ユニフォームのわずかな特徴で介護士を識別しています。

もしも利用者に不適切な対応をしていれば、どんなに後から優しくしても「怖い介護士」として覚えてしまうかも知れません。

その意味では、もしも声掛けを聞き入れられなくても、力づくで対応するのは避けた方が良いでしょう。

その後、修復できない状況にもなるからです。

「どうしましたか?」

まずは、利用者の心理状態を知る意味でも、落ち着いてトーンで話しかけましょう。

「そんなことされたら、誰だって怖いですよ!」

そして、話ができる様子なら、起こったことをシンプルに伝えて反応を確認します。

暴力や暴言を認識していたり、反省した様子であれば、責めるのではなく「どうしてしたのか?」を教えてもらいましょう。

場合によっては、同じような状況を作り出さない改善点が見つかるかも知れません。

「〇〇さんは、身体も頑丈で力も強いでしょう!? だから大きな声を出したり、掴んだりされたらみんなビックリしてしまうんですよ! 〇〇さんなら分かってくれるでしょう!?」

できだけ落ち着いた環境で、向き合うこともポイントです。

その際、「暴力は悪い」だから「利用者の〇〇さんが悪い」と言う展開にはしないこと。

利用者も自身の気持ちを上手に言えないこともあるからです。

少なくとも、「この介護士だけは話を聞いてくれる」と言う方向で向き合いましょう。

忙しく立ち振る舞う中で、ちょっとした動作が利用者にストレスを与えていたりします。

「介護士は忙しい」だから「仕方ない!」と言う意識では、施設内で起こる利用者の暴力や暴言を減らすことはできません。

利用者の目線(=自分が同じ立場になって)で、何をして欲しいのかを考えましょう。

施設に来たいと思ったことはなく、家族から見放されたと言う気持ちを抱えているかも知れません。

また、忘れていく現状に戸惑いを感じ、不安が大きくなっているのかも知れません。

お腹が痛くてトイレに入りたいのに、なかなか出て来ない別の利用者を腹立たしく思ったのかも知れません。

いずれにしても、怒るには理由があるはずです。

その原因を探すことで、利用者からの暴言や暴言を減らしましょう。