利用者に信頼される介護士を目指して

フロアーにいる利用者


我々介護士が、フロアー内を忙しく動き回る姿を大半の利用者が見ています。

意識して観察していなくて、座ってテレビを観ている時に、横切る姿を何となくでも感じているでしょう。

まして、別の利用者に発した言葉や振る舞いは、余計に観察されています。

ちょっと想像してみましょう。

自身が介助される立場になった時、あの介護士は優しくしてくれるのか気になりますよね!?

我々が想像している以上に、利用者は介護士の性格や振る舞いをチェックしています。

介助の難易度は利用者の協力で変化する!

オムツ交換にしても、トイレ誘導にしても、それ以外の介助も利用者の協力が欠かせません。

力の弱い女性介護士なら、トランス(=乗り移り)に大きな違いが生じるでしょう。

利用者が少しでも立ってくれるだけで腰の負担も違いますし、利用者にとっても安心できる介助になるからです。

オムツ交換ができるようになるまでに(=今でも発展途上ですが)、いくつかの壁がありました。

最初は、利用者の視線が気になり、少しでも早く終わらせないとと感じて焦っていました。

それも、仲良くなれば、雑談をするだけで負担を減らせると気づいたのです。

「ご飯、美味しかったですか?」

「にんじんが好きなんですか? 食べられなくないけど、好きじゃないなぁ…」

そこをクリアできた後、オムツのフィット感が気になるようになりました。

身体を自由に動かせない利用者にとって、オムツのシワが肌に悪影響を与えるからです。

我々でも、イスに30分も座っていれば、無意識に腰をずらしているはずです。

それは身体の一部だけに強い力が掛かって、痛みを覚えるからでしょう。

もしも、それが出来なかったらどうなるでしょうか?

利用者に多く見られる褥瘡(ジョクソウ)は、身体の不自由分な動きにあります。

それが分かれば、ベッドで横になってもらう時も、シーツやマットのシワを伸ばしてあげようと思うでしょう。

さらに、衣類のシワにも注意をするようになるはずです。

そんなひと手間を利用者だけでなく、周囲の利用者や家族が見ているんですね。

よくしてくれる介護士には利用者も安心してくれて、場合によっては少し戸惑う要求にも応じてくれたりします。

本当はまだ起きたくない利用者も、「貴方が誘ってくれたのなら、起きようかな?」ということも少なくありません。

起きないから「時間ですよ! 起きてください!」と無理やり介助に入れば、嫌な介護士と認識され、別の介助でも協力が得られません。

その度に力技になってしまうと、利用者をモノのように扱う介助になってしまうでしょう。

「まだ起きたくない!」

それでも起きたくない時ってありますよね。

自分もそんなのですから、利用者だって同じ気分です。

なので、寝る前の様子を参考にして、起こす順番を工夫しています。

最初に起きたがらない利用者を誘って、「グルっと回って来ますね。その時に起きましょうね」と声掛けをします。

ほぼ間違いなく、2度目の声掛けで起きてくれます。もしも起きない時は、体調不良を疑います。

協力が得られると効率も上がりますし、介護士の負担も軽減されるので、オススメの接し方です。

基本動作ができるようになれば、少しくらい下手でも利用者はすぐに怒ったりしません。

それに漬け込んで向上心を持たないのも問題ですが、新米介護士の方は誠実さを示すことが重要です。

こみちはよく利用者に「ありがとう」と言って怒られます。

でも、不慣れな頃にオムツ交換などで手間取った経験があり、何度も横を向いてもらい助かったので、「ありがとう」が自然に出てしまいます。

利用者から「お礼を言うのは私!」と言われて、「いやいや、ありがたいんですよ!」と事情を説明することもあるのですが、なかなか気持ちが伝わりません。

「手を洗いましょうか?」

むしろ、「ありがとう」の理由はどうでもよく、次の作業へと移ります。

「天気がいいですね! 散歩にでも行きたいですね!」

車イスを押しながら、席に着くまでの間、利用者と雑談を交わします。

レクでの一体感を経験!


こみちは自分で介護士という仕事が向いていないと思っています。

手先も器用ではありませんし、人前で話すのも得意ではないからです。

そんなこみちもいろいろなレクリエーションの司会を務めます。

レクリエーションの進行は覚えてしまえば、何となくできるようになるので心配はいりません。

忘れていれば、利用者の誰かが教えてくれるからです。

「そうでしたね! 〇〇さん、ありがとう!」とお礼を言います。

中には気が向かない利用者や眠気に襲われてウトウトしている利用者も混じっています。

介護士の中には、そんな利用者を無理に起こそうと身体を揺すったりするのですが、こみちはほとんどしません。

「両手を出して! グーパーグーパーしますよ!」

半分の利用者がお付き合いでこみちの掛け声に従ってくれるところからレクリエーションが始まります。

ところが、ここ数回のレクリエーションで「手をあげましょう!」と声掛けすると、数十名が一斉に手を挙げてくれました。

「横に身体を反らしましょう! ユラユラ…」

大勢の人がシンクロする様に、「ウワァ」となるほどです。

さらに、レクリエーションが終わった後も、「楽しかった」と言ってくれる利用者が多かったのがやりがいにもなります。

決してこみちはうまくありません。

優れたパフォーマンスよりも、一緒に楽しめる環境づくりが大切なのだと思うのです。

だから介護の仕事は楽しいのかも知れません。

もちろん、ハードワークなのですが、シフトされた介護士同士が連携すれば負担はかなり軽減されます。

つまり、手を抜く介護士や自分本位な介護士が多いと、施設内も変な雰囲気に包まれて利用者も無表情になってしまいます。

ダメになるのは一瞬ですが、良い雰囲気を作るのは日ごろの接し方の結果でしょう。

勤務を終えたので挨拶をしていたら、ある利用者から「また帰って来る?」と言われました。

「また来てくれる?」ではなく、「また帰って来る?」という違いにこみちは喜びを感じました。

ちょっとした違いですが、この違いを拾い集めるだけでも、利用者への介助の質を向上させるきっかけになると思っています。