自宅介護の難しさ
施設介護を経験するにつれ、「自宅介護」の難しさが際立ちます。
こみちとしては、その方がどんな生活を送りたいのか聞いたうえで、「実現可能な暮らし方」を模索するのがポイントだと思っています。
特別な背景がなければ、多くの方が「自宅」での暮らしを希望されるでしょう。
転勤族などで「自宅」に強いこだわりがない方や、借り住まいで「自宅」という気持ちが薄い方などもいるかもしれませんが、それでも住み慣れた「家」は大切な場所です。
特に金銭管理や失火の恐れが懸念される場合、高齢者だけの生活は困難になってくるでしょう。
一方で実家を離れた子どもたちもそれぞれに家庭を持ち、両親との同居が難しい場合には介護施設の検討も不可欠になってきます。
現役の介護士として言えるのは、介護施設なら安心できるはずです。
少なくとも、高齢者だけの暮らしに心配を感じるくらいなら、思い切った決断も必要でしょう。
とは言え、介護施設ならすべてが満たされるのかと言うと、そこは利用者と施設、介護士との相性も関係してきます。
施設暮らしがはじまると、プライベートは減ってしまいます。
安全面の立場から見守りが入るからです。
気になる方は、入所前に施設での生活ぶりを施設の担当者に聞いておいた方がいいでしょう。
一対一が基本!?
介護の基本は一対一だと感じます。
場合によっては、少しくらい目を離して自身の用事を済ませることもできるという感覚。
施設介護の場合、介護士は介護が必要となった利用者に寄り添います。
多い時なら、姿を見ただけで3名以上から声が掛かるほどです。
瞬時に優先順位を決め、必要であれば手の空いた介護士にヘルプを頼みます。
それでも時間が必要となる介護の場合、10分以上は側を離れられません。
その間に利用者からの呼び出しも続きます。
施設での介護は、「よくも悪くも割り切り」が必要です。
本当に24時間体制で寄り添うなら、1人の利用者に対して3名の介護士が8時間交代で担当するしかないほどです。
コスト面を考えても、そんな介護は難しく、どこまで合理的に支援できるかを考えると今の施設介護が妥当になります。
もちろん、改善できるポイントはいくつもあります。
個々の介護士でもスキルが異なりますし、その種類も違います。
特に「寄り添い」は、介護士それぞれの人生観によって異なります。
基本を示すことは可能ですが、それがすべてではありませんし、利用者にとっても心許せる状況ではないでしょう。
言うなれば、「バランスを取ると「この辺」だった」というもので、どこまで寄り添えるかは介護士のポテンシャルで決まります。
心ない言葉もある!?
悪意が無くても、それが相手にどう受け止められるかを感じないで発してしまうことが誰にだってあるでしょう。
「ジュースが飲みたい」と訴えた利用者に対して、「だったら家族に持って来てもらいなさい!」と声かけるのはどうでしょうか?
側で聞いていても、「エエ!?」となります。
施設で暮らす利用者の生活環境を考えると、好きな物をいつでも自由に購入できる訳ではありません。
場合によっては、外出許可を取り、何時から何時までと報告しなければいけないほどです。
そんな利用者に「買って来てもらいなさい」と言っても、どうすることもできないでしょう。
それで分かりましたと我慢する利用者もいるかもしれませんが、決して了承したのではなく、争いを回避したに過ぎません。
静かにして欲しい時に、黙らせられるならどんな言葉も使う介護士がいます。
それもこれまで培った人間性によるものなので、介護士となって受けた研修でどこまで改善できるのか分かりません。
一方で、そんな方法を「介護」として学び、新人介護士も使うようになるのが懸念されるところでしょう。
現場を回すのが上手な介護士と評判でも、要所要所で利用者に強要していれば、それでいいのかという疑問があるからです。
一方で、一対一が実現不可能な以上、どこで妥協するかが難しいポイントです。