介護技術だけで介護はできるのか?

介護技術の役割とは?


「施設介護」では、特に「食事」「入浴」「排せつ」が代表例として挙げられます。

また、別の側面から判断すると、「移乗」や「声かけ」、「レクリエーション」などでも「介護技術」が問われます。

介護未経験者にとっては、「食事」や「入浴」「排せつ」のどれをとっても簡単なことではないでしょう。

なぜなら、食事介助では誤嚥による肺炎など、生命や健康を脅かす危険性があるからです。

また、「入浴」では転倒の危険が、「排せつ」では不適切な技術による支援から感染症などを引き起こすこともあります。

そう思えば、介護職員にとって「3大介護」が、とても重要なのだと分かるでしょう。

一方で、「食事」などの「3大介護」だけが介護ではありません。

これは、現役介護士であるこみちの体験になりますが、放置されたままの利用者に比べて、介護士が話し掛けた利用者の方が、より機能面の改善を感じられるからです。

つまり、「介護技術」の向上は欠かせないものの、「スキル」に頼った介護には限界があります。

利用者に必要な「介護リハビリ」


「介護リハビリ」は、機能回復訓練士が行う「リハビリ」と区別するためにある言葉です。

通常のリハビリとは異なり、日常生活の何気ないシーンで取り入れられるのがポイントです。

「介護リハビリ」の一例として、利用者との会話があります。

何も特別な話方があるのではなく、我々が他人とコミュニケーションをとるように利用者と話せば良いだけです。

そうは言っても「介護リハビリ」というくらいですから、ゆっくり話したり、大きな声で話したり、分かりやすい内容を選んだりすることは必要となるでしょう。

こみちの場合、「こんにちは」などと呼びかけることから始めます。

「こんにちは」と返してくれると、次の声掛けも考えますが、まずは利用者がどんな反応をしてくれるのかがポイントです。

全く反応しないこともありますが、身体が動いたり、目を見開いたり、身体的な反応を感じられることもあります。

何らかの反応を確かめられたら、「良い天気ですね!」とか「元気ですか?」などと呼びかけたりもします。

また、利用者の中には、問い掛けた内容を理解していても「声に出して答えることができない」場合もあります。

手を叩いたり、介護士の腕を掴んだりとその反応はさまざまです。

いずれにしても、何らかの反応があれば、いろいろと声掛けを試みます。

もちろん、一回で何パターンもできないので、1日の中で時間を変えて声掛けをします。

別の記事でも紹介していますが、「ノートに文字を書いて気持ちを伝えられた」というケースもあるので、声に出せない利用者でもいろいろと試してみると相手の気持ちがより掴めます。

不思議なもので、声で答えてくれなくても、利用者の気持ちが分かるようになり、理由を告げてお願いすると納得してくれるようにもなります。

これはコミュニケーションが密になった証拠でしょう。

本格的なリハビリで改善することも多いですが、「介護リハビリ」によって期待できる改善も無限大なのです。

ある意味では、そんなやり取りも「介護技術」に含めるのかも知れません。

しかし、「3大介護」のように明確なもの以外のちょっとしたやり取りの中に、利用者の「QOL」を向上させたり、エンパワメントを引き出すきっかけを見つけることができたりします。

長時間のコミュニケーションでなく、ちょっとしたひと言があることで、利用者との関係を密に高められると思うのです。

感情表現をほとんどしなかった利用者に、「帰りますね!」と声掛けした時、「気をつけてね」と言ってもらえて嬉しかったことを覚えています。

話せたことにも驚きですが、こみちのことを気づかってくれた優しさに胸が熱くなります。

テクニックではないことを強く感じるのも、こんな実体験がたくさんあるからです。

介護は体力的にも精神的にもハードな仕事に変わりありません。

しかし、人と人との触れ合いが求められるからこそ、機械的な「技術」には限界があります。

そして、介護職を続けられるのも、利用者の気持ちを優しさを感じるからでしょう。