介護の仕事とは?

難しい仕事はほとんどありません!?


現役介護士の立場から紹介させてもらうと、「介護の仕事」はその多くが子育てを経験した人が自然と行ってきたことばかりです。

利用者に食事の介助をしなければいけない時、スプーンに大盛りで口に運べばどうなるでしょうか?

また、立っているとよろけてしまう人が立ち上がりそうな時、気づかないふりをしてその場を離れたらどうなるでしょうか?

「そんなことをしたら大変なことになるぞ!」

と感じた人であれば、介護の仕事はできるでしょう。

もしも大変になると想像できなくても、ポイントを教えられればできるようになる人もいます。

どうして介護現場は人手不足になるのでしょうか?

これも現役の立場から説明させてもらうと、「仕事ができる人」と「できない人」の差が激しいからです。

確かに器用な人と不器用な人がいます。

恥ずかしながらこみちはとても不器用なので、何かを教えられても手際良く熟せるタイプではありません。

それでも、半年くらいすればオムツ交換や入浴介助も担当しているので、遅い早いはあっても1年単位で見れば手先の器用さなど誤差の範囲です。

それでも「仕事ができる人」と「できない人」ができてしまうのはなぜでしょうか?

理由はとても簡単で、「できない人」は仕事を覚えようとしないのです。

入職して1ヶ月の頃にしていた仕事内容を、1年後も同じように繰り返しています。

つまり、仕事の効率化をはかりたくても、ある限られた人だけしかできない仕事がいくつもあるのです。

「利用者の〇〇さんは、あの人でないと拒否をする」

そんなことがたくさんあれば、何人介護士がいても、動いている人と動かない人ができて、現場は思うように仕事が捗りません。

一般的な会社であれば、向上心のない従業員に「相談」という形で今後のことを話すのでしょうが、介護現場はとにかく人が集まりません。

集まっても大変だと辞めてしまうのです。

つまり、頭数を集めることにさえ苦労している状況なので、向上心がない人も現場に残れます。

介護現場ではとにかく「動く」こと


介護の仕事は「子育て」に似た作業も多いことは先に紹介した通りです。

利用者だけで食事をすれば、テーブルや衣類に食べ物が溢れていることも珍しくありません。

そこで、大人用のエプロンを着用しますが、場合によってはそれを勝手に外して自身の上着に隠していたりします。

「エプロンはどうしましたか?」

装着した介護士とは別の介護士は、着用を忘れてしまったと思い込み、別のエプロンを使います。

すると、しばらくして、思わぬところからエプロンが出てくることが起きるのです。

いずれにしても、介護士同士がどれだけ相互に仕事を担当して、さらに相手をカバーできるかがポイントです。

先に紹介した「限られた仕事しかできない人」と組む時には、できることをお願いして、できないことをカバーしながら現場を回すしかありません。

しかし、そうやって回す現場が続くと、「仕事ができる介護士たち」が疲弊していきます。

「仕事を辞めたい」とか、「モチベーションが上がらない」という話を耳にするようになります。

「仕事ができる介護士」が辞職すれば、さらに残された介護士の負担は増加します。

つまり、ますます「仕事ができない人」を切れなくなるのです。

「ありがとう!」「助かったよ!」

嘘と思うかも知れませんが、辞めてもらうと困るので、「仕事ができない人」にはこんな労いの言葉をよく使います。

新人の時こそしっかりとしたサポートを


中高年で介護職を始めた人の中には、「仕事を教えてもらえない」という理由で退職しました。

その人とは配属先が異なるので、どのような指導に不満があったのかは詳しく知りません。

また、「教えてくれない」という意味も、学校のように1から10まで細かく時間を割いてレクチャーしてくれないという意味なのかも分かりません。

こみちの場合は、その意味では面倒見の良い先輩に恵まれました。

分からないところや手順に困った時は、詳しく教えてくれたからです。

もちろん、質問攻めにするようなことはしません。

何がどう分からないのかを自分なりに考えたり調べたりして、「ここぞ」というポイントを教えてもらいました。

一般的なサラリーマン経験がある人なら、至って普通の行動だと思います。

相手も時間がない中で教えてくれるのですから、「教えてもらって当然」というのも虫がいい話です。

「教えられてもらえない」と不満に思った人が、「なぜ教えてもらえなかったのか?」を聞いてみたいようにも思います。

技術や知識は身につけば自分を助けてくれる存在ですから、自分でも工夫や努力は必要です。

お金を払って学校に通うのも、「自己投資」をしているからでしょう。

もちろん、働きながら身につけばお得ではありますが、場合によっては不本意な仕事ばかりを担当することになるかも知れません。

「今度、オムツ交換を担当してみる?」

その時に、「大変そうなので良いです!」と言ってしまえば、もうその職場でオムツ交換を覚えることはないでしょう。

逆もあります!


これは先輩方に多い仕事の進め方ですが、「こみちはオムツ交換ね!」とある限られた人に仕事を全部押し付けます。

もちろん、こみちが担当することで、別の大きな仕事を先輩ができるならありでしょう。

しかし、そんな指示を出す先輩に限って、記録簿とずっと睨めっこしています。

もちろん、スケジュールにある簡単な他の仕事にも手を出しません。

周りがスピードアップして、カバーすることになるのです。

あれもこれもと指示だけを出す先輩ですが、もっと先輩がいると人が変わったように忙しそうに動き出すのも恒例です。

5人が配置されていても、実質的には3名くらいで回していることになり、「今日も何だか疲れたなぁ」と思うのは無理もない話でしょう。

つまり、質の高い介護とは何かを専門家やエキスパートは考えるのかも知れませんが、介護現場が効率的に回すには、スキルアップとやりがいのバランスを介護士同士で取ることです。

地域性や施設にもよりますが、ある施設を見学した際にも、一成に数名が辞職したということを聞きました。

施設の担当者は不満を口にしていましたが、なぜそんなことになってしまったのか、もちろん両者の言い分も十二分には知りませんが、どこかで言葉足らずや誤解があったのではないかと思います。

やりがいを持って介護業界に転職したい人がいる一方で、特別な興味も関心もなく、仕事が見つからないから応募したという人もいるでしょう。

それでも、仕事を通じてやりがいや面白さを見つけてくれたら良いのですが、面倒な仕事を避けて、責任逃れを真先に考える介護士にはなって欲しくありません。

メンバーに恵まれれば、介護職はとてもやりがいがあります。

利用者の心身機能が目に見えて向上することも目の当たりにすることでしょう。

表情が豊かになり、一言がやっとだった利用者が、二言、三言と増えていき、コミュニケーションが取れるようになります。

しかし、動かない介護士がいると、現場の足を引っ張ります。

頼んでいる利用者を黙らせたり、後輩に面倒な仕事を押し付けたり、それでいて「介護士は…」と大きな理想を語り出します。

人間関係でも辞職が多いと言われるのは、そんな類いのことがいろいろな施設で起きているのでしょう。

しかし、技術を身につければ、どんな施設でも活躍できます。

そこが介護士の大きな魅力でしょう。

仕事を覚えないままだと、施設を変えても大きな同じような仕事しかできません。

だったら介護の基礎を身につけて、さらにやりがいある施設へとステップアップして行く方がずっと賢明です。

実力が認められれば、評価も上がり報酬にも反映されるはずです。

ある意味で、1年から3年くらいは、介護の基礎を学ぶ時期と捉えていろいろな仕事を覚えましょう。

利用者だけでなく、職場の人間関係を含めて、学ぶべきことはたくさんあるはずです。

何より、愚痴を言っても仕方ありません。

イヤな先輩を「介護」するくらいのつもりで、現場を回せば自分の実力に繋がります。