夜勤を任せられるには!?

介護職を始める際に知っておくこと


利用者となる高齢者や障がい者を支える中で、彼らから勇気や生きがいを与えてもらえる仕事が「介護の仕事」です。

「介護の仕事」というと、大変だとか、報酬が低いと言ったネガティブな評価も巷にはあります。

そんな中で、「夜勤」をどう捉えるべきかも介護の仕事では大切です。

なぜなら、夜勤帯の勤務は、夕方から始まり翌朝までの「16時間」にもなります。

我々のような徹夜が厳しくなって来る中高年にとって、「夜勤」をするか否かは大きな別れ目でもあります。

こみちが介護施設を探している時、夜勤をしないのであれば、「デイサービス」や「訪問介護」があると聞きました。

確かに、それらの職種は仕事の性質から夜勤が発生しません。

しかし、利用者宅を訪れて介護支援を行う「訪問介護」では、場合によっては夜間帯にサポートをお願いされることもあるでしょう。

なぜなら、介護支援にはオムツ交換やトイレ誘導などが欠かせません。

個々の家庭事情によっては、介護職のサポートが必要になるかも知れないからです。

一方で、有料老人ホームや特別養護老人ホーム、老人介護保健施設などでも募集条件によっては夜勤を行わない勤務も選べたりします。

この辺りの条件は、施設毎に異なる部分なので、自分が夜勤を担当したいか否かで施設探しのポイントにすると良いでしょう。

夜勤ができるようになるには?


日勤帯と比べて、夜勤帯の業務は「技術的な仕事」が増えます。

言い換えると、「オムツ交換」や「衣類の着脱」、「移乗や誘導」などの介護スキルが求められます。

さらに補足すると、日勤帯では数名の介護職が業務を分担していますが、夜勤帯はさらに少ない人数となるので、何でもできるオールマイティさが欠かせません。

その意味では、未経験から入職した場合、さまざまな業務を万遍なく熟せるようにならないと「夜勤」を始めることは難しいでしょう。

考えてみれば、利用者は順番待ちしてくれるわけではなく、必要な時にコールを押します。

一人の利用者に10分間関われば、誰かはその間待つしかありません。

さらにコールが鳴ると、待ち時間はどんどん増えて行きます。

つまり、日勤帯とは異なり、フットワークの良さも夜勤帯では必要なのです。

また、コールがあちこちでなり始めると、焦りから頭が混乱して冷静に対応できなくなることも考えられます。

そうならないように、「夜勤」を始める前に日勤帯でスピード感や手際の良さを意識して身につけることが必要なのです。

介護業界が人手不足なのはご存知の通り。

しかしながら、施設が考える水準に達していない介護職を夜勤に回すことは難しいのも事実です。

なぜなら、こみちの施設でも、ベテラン介護職が夜勤帯で「転倒事故」を起こしてしまいました。

コールが複数鳴り、対応する順番や声掛けの仕方を間違えたことが原因だったようです。

「待っていてくださいね!」

と声掛けしても、勝手に動き出し転倒してしまう利用者もいます。

ある意味では、どうしようもない状況ですが、それを見極めながら現場を安全に回すことが夜勤帯の大きな使命です。

長丁場を限られた介護職だけで回すので、特に疲れが出る朝方などはフラフラになりながら早番が出社してくるのを待っています。

そう考えると、個々の作業ができるようになったくらいでは、夜勤帯は務まりません。

「夜勤手当」がでるので、稼ぎたい人なら早くデビューしたいところですが、結局のところ、基礎が出来るようになってから始めた方が後が楽になります。

なぜなら、早めに夜勤デビューして、「介護事故」や利用者からの苦情があると、再デビューまでに半年掛かることもないとは言えないからです。

場合によっては、別の施設に移動しない限り、夜勤担当にしてくれないかも知れません。

施設にとって、事故は自治体への報告義務があり、評判にも関わります。

それだけに、新人ほど評判や勤務態度を加味して「夜勤デビューしませんか?」と声を掛けるのです。

「見守り」ができるようになるには?


介護の仕事で、「見守り」をお願いされることがあります。

「「見守りだけ?」なんだ簡単じゃないか!」

と思った人は要注意です。

なぜなら、見守りほど大変な仕事はないからです。

まず、フロアーにいる利用者全員の様子を観察することから始まります。

場合によっては、傾眠(日中なのにウトウトしている)状態の人がいたら、声掛けも必要です。

体調不良なのか、昨日眠れなかったのか、それ以外の原因があるのか。

いずれにしても、様子を確認しなければ判断もできません。

仮眠の必要があれば、部屋へ誘導もしなければいけませんし、バイタルを計る時もあります。

さらに、施設に在中している看護師がいれば、状況を連絡しましょう。

部屋で利用者が過ごしている場合でも、定期的に様子を確認します。

有意義な時間を過ごしていれば問題ありませんが、コールも押せずに助けを待っていることもあるからです。

気になる時は、「何かありますか?」と声掛けしてもいいでしょう。

さらに、日勤帯は事務所から連絡が入ったり、納品業者が訪ねて来たり、外出や外泊の手続きが待っていたりと、何かと事務仕事も入ってきます。

オムツ交換のように、担当業務が明確ではありません。

「見守り」ができるか否かで、後回しになる作業も異なります。

こみちの場合、日勤帯の見守りなら1時間が限界です。

2時間を過ぎると、だいたいに人がトイレに行きたくなり、フロアーが慌ただしくなるからです。

1人が済んだら、次の人。さらに次の人。

気づけば、15分などあっと言う間に過ぎてしまうでしょう。

さらにその間に、事務所からの連絡や家族の面会が重なれば、ゆっくりと対応もできません。

場合によっては、落ち着かない利用者を連れながら、別の利用者の支援にあたることも珍しくないほどです。

「「見守り」くらい簡単!」とは言えないのも、分かってもらえるのではないでしょうか。

半年過ぎても夜勤デビューの話が来ないのは!?


夜勤デビューの声が掛かるのは、「勤務の期間」ではありません。

入職して3日だけ日勤帯をして、それ以降は夜勤帯を含めて全てのシフトを担当する人がいました。

その人は前職での経験がある人で、オムツ交換やトランスなど、介護スキルをすでに施設が承認しています。

逆に、2年を過ぎても限られた業務しか行わない人もいます。

同じ「介護職」と言いながら、レベルや経験に違いがあるのです。

何より重要なのは、利用者から認められることかも知れません。

「あの人が夜勤をするの? なんだか不安だなぁ」

と言う声があると、デビューも先延ばしされるでしょう。

その意味でも、日ごろから声掛けなどをきめ細やかに行う気持ちが必要です。

少しくらい下手でも、一緒懸命な応対が認められることもあるでしょう。

しかし、夜勤担当者は、基本は何度もこなして当然と言われる存在。

手当欲しさに、任せてもらえる業務ではありません。

施設から「夜勤担当できませんか?」と声を掛けられるくらいの働きぶりとなれば、黙っていてもお願いされるはずです。

さらに、「夜勤専従」を募集している施設で、しっかりと稼ぐことも可能です。

そのためにも、自分で思うのではなく、周りから「あの人に任せたい!」と言われることが重要でしょう。