中高年の介護士が集まり難い理由

都心部でも1200円前後という現実


都心部は地方に比べて時間給が高い傾向にあります。

そんな都心部でも、時間給は1200円ほど。

ザックリと試算すれば、月給20万円くらいになるでしょうか。

パート勤務ではなく、常勤扱いになれば、賞与が加算されるので、実績にもよりますが年間で50万円程度の増額が期待できます。

さらに、月数回の夜勤を行えば、月5万円くらいは増えるでしょう。

例えば大卒の新入社員が初任給20万円程度なので、介護士の報酬は大卒の新人社員並みの評価になります。

もっとも、5年後、10年後の給料アップは、大卒に比べて介護士が不利になるでしょうから、40代を迎えて介護士を目指すなら、5年後10年後の自分をしっかりと見据えておきましょう。

仕事で評価されるポイントとは?


会社を経営する立場になると、どんな従業員が会社に貢献してくれるでしょうか。

まず、基本スキルを持ち合わせていることが挙げられます。

介護職でいえば、食事、入浴、排せつに対応できることです。

さらに、介護記録をつけられたり、利用者の精神的なケアにも対応したりと、技術に加えて経験が求められます。

これは、介護職に限らず、異業種でも「管理業務」を担える人材を求めているからです。

特に中高年の場合には、現場のスキルに加えて、「介護士をまとめる力」が問われます。

例えば、営業職として商品の販売やサービスの提供を行う業務では、現場をまとめる管理ではなく、ニーズを求めてフレキシブルに動き回れる知力と体力が欠かせません。

ノルマの達成は、営業職の方がずっと心理的なプレッシャーを感じるはずです。

その分、営業職も同僚とタッグを組むこともありますが、連帯を求められる介護士と比較すれば、「結果」を出せれば自由度も高いでしょう。

言い方を変えると、「売上アップ」に自信があるなら、介護よりも営業職の方が楽に稼げるかも知れません。

一方で売り込みやPRに自信がない人は、営業職以外の仕事から選びましょう。

実は、介護職の仕事でも営業職似た業務があります。

促しを行うには、これからのスケジュールを説明したり、実行するメリットなどを分かりやすい言葉で伝えなければいけません。

時には利用者だけでなく、利用者の家族にも説明し、納得したうえで承諾してもらうことがあります。

一般的には、パート勤務の場合、トイレ誘導などの介助、常勤職員のサポートが業務です。

しかしながら、状況によってはパート勤務だけで現場を回すこともあります。

そんなときには、安全性や危険性に配慮しながら、スケジュールに合わせた進行が求められます。

リスク管理業務は、どこまで行えば十分というものではなく、実際に事故が起こらないことが重視されます。

言い換えれば、パート勤務の介護士でも危険を回避できることもありますし、ベテラン介護士でも避けられない事故だってあるはずです。

つまり、リスク管理に関する知識や技術をどこまで修得するのかは、考え方次第になります。

そして、現場経験や管理業務ほど、本来なら高い評価を得られる業務です。

それをパート勤務で担うのは、業務としてできるか否かではなく、報酬に見合っているか否かで考えると「荷の重い」業務となるでしょう。

もちろん、施設ではそうならないようにシフトを調整し、常勤職員が管理業務を行うようになっています。

ニーズの高い業務を担当しなければ、報酬アップを期待することは難しくなります。

その意味では、パート勤務で介護士をする場合、現場経験も得難いかも知れません。

例えば、ワンオペで夜勤を担当する場合、スピードが何より求められます。

ある利用者が不穏になれば、その人を連れて別の利用者を介助することも起こり得ます。

「介護」に対する考え方が、正反対になることもあるほどです。

実際、「寄り添い」や「個人の尊厳」など、介護系の研修で耳にする言葉も、1人で夜勤している時は考えることもできません。

事故なく朝を迎えることで精一杯だからです。

その努力は、「営業職」の苦労と種類こそ違いますが同等だと思えるほどです。

結局のところ、効率的に報酬を得るには、ある程度の大変さをどれだけ乗り越えられるかに掛かっています。

ある人は長時間労働を選ぶかも知れませんし、精神的に集中力が必要な業務を担当するかも知れません。

そして、楽になるように、ある程度難易度が調整された仕事ほど、報酬も頭打ちになります。

以前の記事で国家資格を取得を案内しましたが、「人ができないこと」「大変だなぁと思うこと」をクリアーすることが報酬に繋がります。

中高年介護士が集まり難い理由


介護士を目指す人は、これからいくつかの「壁」を乗り越えなければいけません。

最初の「壁」は、排せつ介助を含めた介護技術を身につけることです。

適切な指導を受けられる環境であれば、3年間で十分に上達できるでしょう。

次に迎えるのは「介護福祉士」の国家資格を得ることです。

介護福祉士の資格は業務独占ではないので、無ければ仕事ができない訳ではありません。

しかし、介護士を区別する意味で、「介護福祉士」か否かは将来性に影響してくるでしょう。

特に福祉系の管理者を目指す人は、絶対に取るべき資格です。

さらに、「これからの自分を構築していく」という「壁」が最後に待っています。

「これからの自分を構築する」には、知識や技術に加えて、人口減少する高齢社会を迎える中で、しっかりと稼げるようになっていることを意味します。

従来のように決められたゴールがある訳ではなく、自分がアンテナを張り見つけている感覚も必要になってきます。

その意味では、「営業職」でも「介護職」でもできることが求められていて、結局はアプローチの仕方が異なるだけなのです。

我々中高年の多くが介護士にならない理由があるとすれば、介護士と同等かそれ以上に稼げる社会的な地位を確立していて、今度の身の振り方や定年後の暮らしといった「最終課題」に取り組んでいるからです。

しかしそれでも焦ってはいけません。

基礎がなければ、応用が効きませんし、失敗しても修正できなからです。

もちろん介護士以外でも良いのですが、長く稼げる手段を身につけておけば、さらなるチャレンジにも挑戦できます。

中高年となった我々には、時間がありません。

それだけに、介護士となっても、若い人以上にしっかりと技術を学ぶ必要があるのです。