介護報酬とは?

新米介護士が知っておきたい「介護報酬」の基本


今回のテーマは「介護報酬」です。

そこで、先ずは「介護制度」について、簡単に振り返っておきましょう。

話を簡単にしたいので、細かな解説を省略しますが、65歳以上の人が介護支援を求める際に受けられる制度です。

つまり、64歳までの方は、原則介護制度は利用できないことになっています。

ただし、40歳から64歳の方で、特定の疾患が認められた場合には、制度を利用できることもあります。

ポイントは、65歳からなのだと先ずは覚えておきましょう。

65歳以上なら誰でも支援を受けられる訳ではありません。

お住まいの市町村には、「介護認定審査会」という組織が設けられています。

委員会のメンバーが申請された情報に基づき個々の65歳以上の方を審査し、要支援、要介護、自立の3パターンに分類します。

「自立」は、現状は公的な介護支援が必要ではないと判断された場合に出されるものです。

「要支援」は、大掛かりな支援がすぐに必要ではないものの将来的には介護支援も必要となる「介護予備軍」に当たります。

「要支援」とは、直ちに公的な支援が必要だと判断された場合になります。

さらに、「要支援」には5段階の分類があって、最も手厚い介護支援が必要な「要介護5」から、介護支援が必要となる「要介護1」までに振り分けられます。

2019年の今、介護支援は「要介護3」以上が本格的な介護の対象者と言ってもいいでしょう。

限られた財源で介護保険制度が運営されている性質上、すべての人に最大限のサポートを提供できないからです。

「要支援」「要介護1〜2」の場合でも介護保険制度を利用できますが、全面的な介護が提供される「特別養護老人施設(通称:特養)」に入所することはできません。

特養とは老人ホームのことで、リーズナブルな価格で施設に入所できる場所です。

つまり、要介護3以上と判断されないと特養には入れないので、自宅での介護が基本となってきます。

ただし、病院での治療を経て自宅での生活を目指す場合には、「介護老人保健施設」を利用することも可能です。

この場合、要介護3以上の条件はなく、例えば「要介護1」であっても入所することが可能です。

さて、入所できる介護施設に違いがある一方で、要介護認定で区分されると、その介護度に応じて介護保険制度が利用可能な制限が定められます。

例えば、要介護3の場合、2019 年の改定を受けて月額27万480円までの介護サービスを申し込むと介護保険の適用を受け、利用代金の1割から3割の範囲内で利用できます。

上限額を超えた場合は、オーバーした金額だけが実費とされるので、介護保険制度を利用するメリットは大きいでしょう。

実はここからがポイント!


介護報酬が利用者区分によって異なり、その限度額までならお得に介護サービスを受けられます。

しかし、新米介護士の方にも知って欲しいのは、その先の話。

例えば、要介護3と認定された利用者10名が、24時間365日、ある介護施設のお世話になったとしましょう。

単純にその介護施設は、1人あたり月額約30万円(2019 年度の場合は27万480円)の介護報酬を受け取れる計算です。

つまり、その介護施設は月額300万円を受け取れます。

一方で、24時間介護することになるので、24時間を2名体制(通常は活動する日中に多くの介護士を配置するのですが)で介助したとしましょう。

介護士は8時間勤務とし業務の引き継ぎなども省いて考えると、1日あたり6勤務分のコストが掛かります。

さらに、30日となれば180回分の勤務。

仮に受け取った300万円を介護士だけで分配するとしたら、1勤務あたり1万6000円の報酬です。

年間休日120日を予定すれば245日分の勤務となり、年収は計算上、約408万円になります。

とてもざっくりとした計算ですが、1つ言えるのは、介護士の給料はそのほとんどが「介護報酬」から出されていること。

利用者からより多くの支払いを受けられる制度ではないのです。

そこで、有料老人ホームなどでは、オプション扱いとすることで、さらに充実したケアを可能にしています。

経営のセオリーで考えれば、施設の賃料や設備の補修点検費用なども必要となり、人件費に回せるのは多くても4割ではないでしょうか。

となると、さっきの408万円が163万円まで低下します。月額で言えば、13万6000円です。

介護士がより高額の報酬を得るには、より多くの利用者をサポートすることに尽きます。

また、夜間帯勤務や資格手当などもポイントでしょう。

要介護3と認定される利用者は、全面的に介助が必要となる状態。

少なくとも自分1人でトイレに行き、用を足して席に戻って来られる状況ではありません。

そう考えると、1人の介護士が余裕を持って安全にケアできるのは5名まで。

10名となると1人を介助中に別の利用者が転倒するなど、介護事故も増えてしまいます。

先ほどの計算を続けるすれば、1人で利用者を10名見る想定で「27万2000円」という金額が、介護報酬だけを利益とした場合、日勤帯20日勤務で得られるMAXと考えられます。

なぜこのような試算をするのかというと、介護業界の内情を理解するためです。

例えば、同じ施設に長く勤めたとしても、ベースアップが期待できるか否かは、結局のところ介護報酬が上昇してのこと。

そこで、介護士の処遇を改善するために、処遇改善手当てなどが新たに創設されたのです。

トラックドライバーなどのように、より多くの仕事をこなしたとしても、報酬アップが見込めないのも介護業界の特徴です。

介護士のモチベーションをいかに保てば良いのか、介護スキルを向上させて作業効率を上げていけるのかが問われるのも、介護保険制度が発端になっているからだと想像でしょう。

介護士の報酬アップは、毎日の業務をこなしているだけでは厳しいのも無理はありません。

そこで、キャリアアップを目指し、初任者研修から介護福祉士へと昇格していくのです。

地域によっても異なりますが、目安として時給800円設定なら利用者5人を支援するくらい。

時給1200円なら7.5人。時給1600円なら10名となります。

介護未経験の人なら、鍋奉行をするシーンを想像してみましょう。

まぁ、5名であれば、いっしょに食しながら、「食べていますか?」と周囲に気を使うこともできるでしょう。

これが10名になると、テーブルも2つになり、頻繁に行き来も必要です。まして、トラブルが起これば、助っ人が必要になるレベルです。

介護士で高収入を得たいのは山々ですが、「介護報酬」を知るとそうもいかないことが試算してみることで分かってきます。

利用者との信頼関係も介護現場を安全に回すポイントで、個々のクセや特徴を知ることが重要なのです。