介護現場のあるある
このブログでも、「介護」の方法が1つではないことを繰り返し紹介してきたように思います。
もちろん、こみちの介護が好転のきっかけになることもあれば、他の介護士の支援がもっと効果的なこともあるでしょう。
しかし、介護士同士のプライドや、人間関係が支援方法に影響を与えることも少なくないのです。
例えば、同じ介護施設であっても、内部が2つや3つに区分されていて、介護士の所属も介助方法もそれぞれで独立しているケースも珍しくありません。
もちろん、顔見知り同士なので、休憩室などで雑談したり、互いの情報を交換したりと交流があります。
介護士も人なので、リーダー同士が反りの合わないもの同士という場合には、業務上の交流を控えなければいけなくなったりもするわけです。
その意味では、利用者のための介護以前に、スタッフ同士の関係が仕事方法にも影響します。
スマホの使い方
介護施設に入所している利用者の中には、スマホを巧みに使える人もいます。
小説を読んだり、ゲームをしたり、もしかすると中高年の我々よりもずっと新し物好きかもしれません。
「この設定方法が分かる?」
共有スペースで作業していた「こみち」が、別のグループに属する利用者から質問を受けました。
画面が大きくて、とてもキレイに映る最新式のスマホなのでしょうか。
「スマホ、使えるんですか? 凄いですね!?」
少し手を止めて、利用者に近づきます。
「ここの設定が分からないんだ。キミできない?」
画面に目を落とせば、自分も使っているアプリでした。
一方で、別グループの利用者に対して手を貸して良いのか、一瞬、考えてしまったのです。
「ごめんなさい。ちょっと確認してからでないとできないですね」
そうは言っても、設定してもらえると期待している様子で、利用者は満面の笑みを浮かべながら、「聞いて来てよ!」と急かします。
そして、自分の作業を終えた後、持ち場のリーダーに事情を説明すると、「そのまま、放っておけばイイ!」と語気を強めます。
流石に、あの笑顔を知りながら、事情すら説明しないのはこみちも心苦しいので、「できないということだけでも、説明させて欲しいです!」とリーダーに懇願しました。
渋々ながら「説明だけだよ」と念を押され、共有スペースに戻ったのです。
「実は、所属が違うと…」
最後まで話を聞いた利用者の表情が強張り、「もうイイです!」と立ち去って行きました。
介護士は、利用者のケアに従事するのが仕事。
こみちのホンネは、所属で区切るのではなく、もできることならあげたいのです。
利用者の背中を見送りながら、少し寂しい気持ちにもなりました。
持ち場に帰ると、リーダーが近づき、「どうだった?」と話の続きを訊ねます。
「ソッポを向かれてしまいました」
正直に答えると、「何でなの?」と困惑した表情で聞き返してきます。
続きを聞けば、所属が違うのだから相手の利用者が怒る理由がないというのです。
その時、「介護士は難しい仕事だなぁ」と思いました。
介護の基本
介護における介助に、絶対的な正解はありません。
ただし、経験則から、有効となる介助のコツはたくさんあります。
介護士と利用者の相性も同様で、この利用者にこの介護士は合っているというのも出てくるわけです。
一方で、幅広い利用者から支持される介護士もいれば、特定の利用者から拒絶される介護士もいます。
人同士のことなので、それは仕方のないことでしょう。
介護の法則
多くの利用者の前でパフォーマンスできる介護士は、自分のスタイルを表現することの長けています。
歌ったり、踊ったり、話したりもできます。
一方で、個々の利用者と相性がいいかは別問題で、利用者の雰囲気や想いをくみ取るスキルは、表現力ではないからです。
これも聞いた話ですが、「あの利用者はしつこいところがある!」と評判の人がいます。
しかし、こみちは極度の認知機能低下状態でもなければ、コミュニケーション次第ではないかと感じています。
しつこくなる状況を作り出しているのが、介護士サイドというケースも考えられるからです。
適当にあしらったり、嘘をついて騙したり、そんな方法で利用者を誘導すれば、介護士の言うことを信用してくれません。
何度も言ってくるのは、利用者が納得できていないから。
場合によっては、介護士の都合で話していることもあるでしょう。
もしもそのような状況なのに、「あの利用者はしつこい!」ではデリケートな問題だけに解決しません。
確かに介護士として馬力を出さなければいけない状況はあります。
それが続けば、疲労しますし、精神的にもキツくなってきます。
しかし、すべての場面で頑張る必要はなく、ここぞと言う時に発揮すれば良いのです。
自分だけで手に負えなければ、仲間の介護士にも協力してもらえばいいでしょう。
組織運営上の所属も大切ですが、垣根を越えた介助を否定するべきではないと思います。
しかし、介護施設といえども、人が集まってできた場所。
みんながみんな同じ介護を理想としているとは限りません。
仮にリーダーになっても、別のグループとは別物だったり、施設長になっても別の施設とは合わなかったり、言い出せばキリがないのかも知れません。
ただ、1人の介護士としては、ちょっとした介助で助かるなら、それもアリではないかと思います。
寝たきり状態の利用者が、久しぶりに返事をしてくれました。
小さなうなづきですが、そこからが介護なのだと思います。