漠然とした「いい人像」があるのか?
高齢者や障がい者の介護をしたいと思った時に、「自分でいいの?」と思ったことはないでしょうか。
実は、こみち自身もそんな風に考えていた時期がありました。
なんとなく「いい人像」というのがあって、その基準に達した人でなければ「介護」には携われないと思っていたのです。
その証拠に、「介護」とは何なのかを考えていたくらいです。
結論的な話をすると、少なくともこみちが勤務している介護施設には、いろんな人がいろんな背景を抱えて働いています。
意外なことですが、「介護のキャリア」と「利用者からの評判」にははっきりとした相関関係がなさそうに感じます。
こみちが勤めているには介護老人保健施設(老健)なので、介護士以外の職種の方も多く働いています。
特に看護師の方とは、毎回何らかの形で指示やアドバイスを受けたりしています。
こみち自身の考えですが、看護師は利用者の生命や健康を守る番人です。
老健には、要介護もさまざまな人が訪れ、短期入所される人もいれば、年を跨いで入所される人もいます。
介護士としては、3大介護(食事、排せつ、入浴)をベースに支援を行いますが、健康管理や服薬などを看護師がバックアップしてくれていることで、介護施設として厚みのある介護サービスを提供できていると感じます。
また、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの資格を持つ機能訓練指導員が、個々の利用者の心身状態に合わせてリハビリを行っています。
以前の記事と重複する部分ですが、施設内に訓練士が常駐していることで、介護士として行う「介護リハビリ」や「生活支援」でもいい影響を受けていると感じます。
ここまで紹介して薄々気づかれていると思いますが、介護の仕事と言っても「善人」だけに許されている訳ではありません。
介護に関する技能や知識を得ることができれば、どんな人でも介護士として働くことができます。
では何が違うのか?
「いい人」と呼ばれる人か否かは、利用者の表情や視線の動き方で分かります。
数名の介護士が側にいても、声を掛けられるのは「決まった介護士」さんです。
面白いことに、指名される介護士だからといって、介護が上手とは限りません。
もっと上手な人がいても、利用者から指名されるのは決まった介護士なのです。
この違いはどこにあるのでしょうか。
思うに、どんな介護士もその人なりの「介護」があるはずです。
そして、そのすべてを介護現場で提供しているとも限りません。
介護の施設長やコンサルティングをメインにされている人は、「介護」全般のノウハウに長けていて、さまざまな角度から問題点や改善点を指摘してくれるでしょう。
もっとも、そんな有能な人でも、介護現場で「いい人」になれるかは分かりません。
知識が豊富過ぎる故に、お節介な一言を発したり、理想的な介護にこだわってしまう可能性もあるからです。
また、こみちのように、これまで介護の仕事を何となく避けて来て、転職を機に「介護士」になった人もいるはずです。
介護がどんな仕事なのか分からずに現場に出るので、言われるまま「介護もどき」なことを手探りしてきました。
こみちが心掛けているのは、自分の理想像を追求するのではなく、利用者のニーズにどう応えるかということ。
場合によっては、スケジュールに書かれていない予定を入れることもあります。
もちろん、現場のリーダーに許可を得て行いますが、「何でそこまで?」「すぐに次の予定があるのに」と思われているかもしれません。
しかし、このワンクッションが利用者にとって大きな一歩となります。
これも別の記事に書いてありますが、施設内の利用者はとても不安で覚悟を持ってここに来ています。
それだけに、自身の要求が通るか否かは精神的に意味があるはずです。
なんでも介護士から「言われるまま」というのは、利用者としても楽しくないでしょう。
例えばとしては不適切かもしれませんが、(人間も含めて)動物に好かれる人がいます。
犬や猫が自然と寄って来る人たちです。
外見や性別などが関係しているのではなく、「目には見えない何か?」が影響しています。
介護でもその「何か?」が関係していて、人と人を結びつけられるのでしょう。
ある意味で言えば、それこそが「いい人」ということになりますが、介護士として働くうえではそこまで「いい人」でなくても臆する必要はありません。