一期一会の巡り合わせ
もしも介護職に就いていなければ、その施設の利用者と巡り合うことはなかったでしょう。
また、特別養護老人ホームのように入所すればそこでずっと暮らすケースもあれば、老人介護保健施設のように3ヶ月毎の見直しを受けながら施設での暮らしを更新していくケースもあります。
介護職の立場で言えば、特養の入所者との付き合いも長くなると思われます。
一方で、老健の場合には、原則3ヶ月毎のケアプランの見直しが行われるので、早い場合には1ヶ月〜3ヶ月という短期間で退所されることも少なくありません。
とは言え、やはり介護職が担当できる入所者という存在は、「一期一会」意外の何ものでもないでしょう。
実際、こみち自身も、いろいろな入所者と出会いましたし、退所されて自宅や別の介護施設で暮らされている方を何人も知っています。
また、機会があって担当できたらと思う反面、そんな夢のような出来事など起こるはずもないと想像するわけです。
考えてみれば、特養に入るのに何年も待っている人がいて、入所できずに順番待ちをしているのです。
介護施設によって特徴こと違いますが、入所者の担当になるのは、本当に偶然なのだなぁと感じます。
ターミナルケアまで検討された利用者に起こった奇跡
介護施設に入所された利用者の中には、残念ながら人生の最期を迎えることもあります。
それだけ高齢の利用者にとって、毎日が大切な時間です。
ターミナルケアとは、医療的な処置を控えてる代わりに、その人らしい最期を迎えるケアになります。
手術などの身体的に大きな負担を掛けるよりも、苦痛なく毎日を過ごすことが入所者にとっても好ましいと言えるからです。
人の最期は、これというパターンがあるわけではありません。しかし、高齢者の場合、転倒や病気などの理由で運動機能に低下がみられると、気力も失われ、食欲にも現れます。
認知機能にも同様の低下があれば、リハビリの効果も制限されるでしょう。
介護職の役割は、毎日を楽しく過ごしてもらえるように努めること。
場合によっては特別な扱いをせずに、今までと変わらない時間を提供することだったりするのです。
「美味しいですか?」
「欲しいものはありますか?」
声かけの内容よりも相手を思う気持ちの方が大切で、利用者のちょっとした変化を観察しながら接するようにしています。
ところが、奇跡は起こるもので、ほとんど寝たきりになってしまった人がこちらの呼びかけに応じてくれたり、意思表示を行ってくれたりするのです。
すでに自力での食事ができなくなった利用者は、胃に専用の管を装着し、その管を経て必要な栄養を体内に取り込んでいます。
経管栄養に踏み切ることは、それぞれの人生観やライフスタイルに大きな影響を与えるので、利用者だけでなくその家族も厳しい選択を突きつけられます。
その中で、経管栄養を望まずに、自力による食物の摂取を続けることも方法です。
一般的には段々と体力が衰え、その方らしい最期を迎えるのです。
ところが、減少すると思われていた食事量が、むしろ増加し、表情に色艶が出て活気が生まれたりします。
それだけ高齢者の健康状態は急変も起こり得ます。
何がきっかけでヤル気になってくれるのか分かりません。
そこがまた、介護職の役割でしょう。