ユニットケアとは?
本格的な介護制度が2000年から実施されました。
多くの方がご存知の通り、それまでの公的な介護サービスは措置制度が担っていたのです。
将来的な介護負担を見据えた介護制度の変更だったはずですが、3年周期で制度を手直ししながら、より良いケアを今も手探りしているのが実情です。
ユニットケアとは、一般的10名以下の利用者を1グループとし、グループ毎に介護士が介助にあたります。
メリットは、個々の利用者の特性に合わせた細やかな介護サービスです。
一方でユニットケアの対局にあるのが従来型の介護でしょう。
50名や100名といった大所帯に複数の介護士が配置され、効率的に介護サービスが提供されます。
従来型の特徴は、システム化されたサービスにあるでしょう。
実際の介護現場で働く場合、「オムツ交換だけ」「トイレ誘導だけ」と言うように、それぞれの介護士が決められた介護技術だけをスピーディーに提供することで、全体として数をこなしています。
デメリットがあるとすれば、効率性を優先したことで省いてしまった個別のケアとなります。
ユニットケアに話を戻すと、「利用者も人それぞれ」と言う視点に立ち、声掛けをはじめとした接遇マナーの面から介護を見直す必要があるのではと指摘されるようになったからです。
こみちの勤務している介護施設でも、従来型の介護を行う部署があります。
入浴介助を提供している現場は、一刻一秒を争うような忙しさで、利用者を次々に入浴させています。
多くの方にサービスを提供するためにやむを得ない方法かもしれませんが、機械的になってしまうのは避けられません。
ユニットケアでは、かなり時間的にも余裕が設けられています。
こみちも入浴介助を行なっていますが、入浴時は利用者も安心するようで、いろいろなことを気軽に話してくれます。
中には、介護での不満や感想を耳にすることもでき、今後の問題点として介護方法の改善に役立っています。
ユニットケアは、スピードよりも質を求められます。
従来型の担当介護士からは、「楽で良いね」と言われることも少なくありません。
実際、ユニットケアはとても落ち着いていて、細やかなケアを利用者に提供しています。
具体的にどんなケアをしているのかと言えば、利用者それぞれの動きに応じて早めのサポートを行なっています。
どうしても立ち上がってしまう利用者には、落ち着きがなくなった時点で駆けつけ声掛けをします。
トイレに行きたいのか、家族の所に帰りたくなったのか、その時々で原因は異なりますが、何らかきっかけで落ち着きを失うようです。
場合によって、「トイレに行きませんか?」とお誘いすることもあれば、運動や歌などを一緒に行うこともあります。
トイレ誘導では、他の利用者も目で訴えてくることも多く、順番に数名をトイレに連れて行くケースも珍しくありません。
どちらかというと、介護技術的な要素ではなく、利用者の心に寄り添う介護が増えてきます。
側から見ればユニットケアは楽に感じるかも知れませんが、それだけ相手を細やかに観察しなければいけないので、その点では精神的にも気を使います。
さらに質の高いユニットケアを実践するには?
高齢者が普段から話すテーマにはいくつかの特徴があります。
歴史的なニュースや地理的なニュース、郷土の名産や特産物、過去の芸能ニュースなどは、高い頻度で話題にのぼります。
また、女性であれば調理方法や食材に関すること。男性であれば、政治的なニュースやビジネスに関することも多くようです。
その際に大切なのは、正解を答えられることではなく、あくまで話しやすい「場」を作ること。
介護士の中には、利用者の言葉尻を訂正したり、正解はと上から目線で話す人がいます。
介護なので、利用者が記憶を辿りながら話すことがポイントです。
また、それぞれの利用者のちょっとした好みや気になっていることを覚えておき、関連することがあれば話題として提供してもいいでしょう。
多くの利用者が、ふとした瞬間に自分の人生を振り返っているようです。
あの頃、こんなことをして楽しかったなぁと思い出すのでしょう。また、当時の流行歌なども一緒によみがえり、口ずさんだりもしています。
「何という歌ですか?」
場合によっては、施設にある音楽装置を使い、懐かしい歌をBGMとして流すこともあります。
もちろん、認知症状が進んだ利用者は、具体的な要求をしないこともあり、黙って手を握り寄り添うだけのことも珍しくありません。
利用者が何を求め、それを介護士としてどうサポートできるのかが大きな目標になります。
実際、コミュニケーションの面では表情や時間帯などで予測が立てられ、不穏になった場合でも比較的早くリカバーできたりします。
その時も、慎重に観察しなければ、介護士の押し付けになるので、注意しなければいけません。
中高年が介護職で働くなら、従来型よりもユニットケアの方が良いと思います。ただ、将来的な意味で、介護技術を徹底してマスターしたい場合には、従来型のような環境に身を置けば、限られた介助を繰り返し担当できるでしょう。