どんな作業も基本が大切
介護士として活躍するうえでも、「基本」をマスターすることが近道です。
「介護の基本」がどんなものなのかは、別の記事を参照してください。
こみちのブログ以外にも、「介護の基本」をわかりやすく解説しているwebサイトがあるので、いろんな人の考え方や解説を読み比べてみるといいでしょう。
しかし、基本をマスターする際に忘れてはいけないポイントがあります。
それは、「介護が利用者のために行われる!」ということです。
当たり前だと思われるかもしれませんが、介護施設で働き始めると「基本」を忘れてしまいます。
なぜ、「基本」を忘れてしまうのか?
きっと、こみち以外にも「基本を忘れている!?」という指摘が耳に痛い人もいるでしょう。
「基本」のいいところは、手順が明確で、利用者のタイミングを見計らって行われる点です。
しかし、残念ながら初任者研修や実務研修で学んだ「介護技術」は卓上の話になります。
それは、施設には状況の異なる利用者が複数いて、時間と戦いながら介護士たちは支援を行っています。
「基本」を知りながらも、場合に応じてアレンジすることも少なくありません。
どこまでアレンジできるのかは、まさに経験によるものです。
「介護の経験」が必要になる理由
教科書で学んだ介護は、ある意味で介護を熟知した専門家が初心者にも分かりやすく書き下ろしたものです。
実際、介護の知識や技術の修得は、現場で経験が欠かせません。
なぜなら、利用者自身もさまざまで、ある人には良くてもある人には受け入れられないことは多分にあるからです。
どこまで「基本」に忠実であるべきか、どこまでアレンジするべきかは、介護士や勤務する介護施設の方針によっても異なってきます。
「介護的な応用」をマスターするには
まず、必要になるのが、「利用者の観察」です。これは介護を行う際に「基本」として挙げられるポイントでもあります。
しかし、「応用」という意味では、利用者を見るだけでは「観察」にはなりません。
それこそ、利用者のライフスタイルや好みにはじまり、肉体的精神的な状況を含めた「総合的な観察」であることがポイントです。
介護の現場に立つと、「相性」の善し悪しを感じるでしょう。
人と人の触れ合いなので、当然といえばそれまでですが、知識や経験だけでは補えない介護士と利用者との「相性」も介護支援には大きく影響します。
ちょっと想像してみてください。
気の合う人と一緒に過ごす時と、気の合わない人と過ごす場合では、どうしても気分が違ってきます。
それこそ、優しい人でも魅力的ではなかったり、不器用でも気のおけない人だったりと人同士の関係は頭で考えても分からないことが含まれます。
実際、介護施設の現場に立つと、「あの介護士には笑顔で話をする」という利用者がいます。
同じように接しても、話はできるものの、笑顔にはなってくれないこともあるのです。
介護の「応用」とは、まさに「利用者の心」にどれだけ寄り添えるのかになります。
知識や技術的には問題なくても、「応用」が苦手な介護士も多いのです。
仕事なのに仕事ではないのが「介護」!?
オムツ交換やトイレ誘導など、新米介護士がマスターしなければいけない「基本」はたくさんあります。
ある程度、できるようになると、介護士として一人前になったと感じるかもしれません。
しかし、介護は「応用」をどう自分で克服するかがポイントです。
自分と相性のいい利用者もいれば、波長が合わない利用者もいるでしょう。
そんな経験をする中で、「基本」では克服できないことを知り、いろんなアプローチを試みることで「応用」が身についてきます。
しかし、残念ながら、この「応用」は誰かの真似では克服できません。
自己覚知という視点に着目
自己覚知とは、己を知ることです。
場合によっては、自分が思っている自分とは異なる「自分」を発見することが必要にもなります。
他人から見える「自分」を知ることで、自分がどんな人間なのかを考えるキッカケにできるでしょう。
どんな声をしていて、どんな表情で他人と接しているのか、介護をしなければ改めて観察しなかったかもしれません。
無意識のうちに無表情で怖い印象を持たれているなら、自然と微笑みことを意識することが必要かもしれません。
だからといって、ニヤニヤしてしまうと信頼のおけない人になってしまうでしょう。
介護の難しさは、同じ知識や技術でも、介護士の評価はまったく異なるということ。
何より、「基本」ができなければ先はありませんが、「応用」を意識するようになったら、ぜひとも自分に向き合ってみる時間を持ちましょう。
上部だけの優しい口調が、逆に利用者から信頼されないこともあるのだと知れば、どんな話し方やトーンが良いのかも見えてきます。
この辺りは、焦って克服できるものではないので、自分での試行錯誤と先輩たちのふるまいなどをよく観察することが近道です。