専門職という働き方〜番外編〜

介護士という働き方


このブログでは、介護という仕事を紹介し、中高年に方に職業の1つとして介護士を紹介
しています。

一方で、介護はさまざまな側面があり、我々介護士が提供できることはその一部に過ぎません。

また、介護施設(特に老人介護保健施設)には、介護士以外にも多くの担当を担う人が働き、ひとつの組織として運営しています。

当然、介護に対する考え方も人それぞれで、価値観の違いが生じることも少なくありません。

大切なことは、衝突を避けることではなく、根拠を示して互いの想いをくみ取り、前に進むことだと思います。

特に、介護士という立場は、介護施設の中で柔軟でオールマイティーな働き方を求められる職種です。

例えば、看護師や各機能回復訓練士とは働き出すまでのプロセスが異なります。

つまり、意見が通らなかったり、理解してもらえないこともあり、モチベーションが低下してしまうケースも避けられません。

だからといって、施設全体の方針から大きくかけ離れた態度や行動を取ってしまうことは、そこに在籍する利用者や他の従業員にとっても喜ばしい話ではないでしょう。

ここからはこみちの個人的な意見となりますが、介護に関わるに連れ、専門分野(考えや意見の根拠となるベース)がとても重要だと感じます。

一般企業においては、学歴によって就活も異なります。大企業に勤めることで分かることと、中小企業で得られることは同じではありません。

社員として働く経験は、パートやアルバイト、派遣社員と違うのも同じことでしょう。

何が正しいとか、何が間違えているということではなく、立場が異なれば求められていることが違うのだと認識する必要があると思うのです。

言語聴覚士として働くこと


機能回復訓練士の1つに挙げられる「言語聴覚士」ですが、主に嚥下機能、発声などを支援します。

介護施設や大学病院など、さまざまな場所で活躍できます。

そんな言語聴覚士は、何人かの担当を持ち、利用者の残存機能をアセスメント(調査・観察すること)をしながら、回復に必要な計画を立案します。

なぜ、そんなトレーニングが必要になるのか?

その根拠は、言語聴覚士として認められるに至った学習の中に含まれます。

何気ないことに思えますが、「このプロセス」の有る無しが働きやすさや将来性につながってきます。

我々介護士に与えられたスケジュールは、1時間ごとにこと細かく決められています。

利用者の生活支援に欠かせない内容がぎっしりと詰まっています。

どうしても、個々の利用者との触れ合いは、介助中やノルマを早めにこなした後に限られるのは「役割」だから当然でしょう。

しかし、もっと何かできないだろうかと思うことはいくつもあります。

なぜ、それができないのかと思う人もいるはずです。

確かに、コミュニケーションに長けた人はいます。利用者だけでなく、同僚や上司とも仲良くやっていけます。

しかし、介護では「根拠」となるベースがとても求められます。

言語聴覚士の場合、それがすでに認められているので、施設内でも自由度の高い働き方ができます。

もっとも、何でもできることを指しているのではなく、「この利用者にこんなことをしてあげたら良いのでは?」と思うことを、試行錯誤の中で見つけ出し実践できるのです。

正直なところ、介護士がそんな働き方をすると、「介護」そのものを個人の見解で損なってしまうでしょう。

なぜなら、公的な介護支援が「ケアプラン」によって根拠づけされていて、介護士はその計画に沿ったスケジュールで働いているからです。

多少の現場経験がつくと、「これくらいは大丈夫なのでは?」という自己判断もできるようになりますが、それは言語聴覚士に与えられた「任務」とは異なります。

施設で働く言語聴覚士が、経管栄養を行う利用者の嚥下機能を確認し、小さな氷のかけらを食べさせる場面を目撃しました。

経管栄養というのは、胃や腸に直接栄養素を注入することです。

そこに至る原因はいろいろあると思いますが、口から食べものを食べられなくなることに変わりはありません。

それが利用者にとって、どれだけ大きな負担であるかは私たちにも想像できるでしょう。

もちろん、介護士の立場では、その利用者の身辺介助をしてあげることくらいしかできません。

何が言いたいのかというと、「正式なキャリアの持つ意味」を考えて欲しいのです。

介護士の場合、国家資格でもある「介護福祉士」が1つの根拠と言えるでしょう。しかしながら、介護福祉士になっても、一定水準以上の知識を認められても、専門家としての判断ができる場面は生活介助に限られます。

医療的な処置ができる看護師や、機能回復訓練を行う言語聴覚士たちとは、大きく異なります。

こみち自身、「専門性のなさ」がとても歯がゆいなと思います。

そこで、キャリアパス(自分のスキル向上を計画し向上させること)が介護業界で強く求められる理由が分かった気がします。

介護現場を知り、介護士という仕事にやりがいを見出す一方で、自分がどんな風に介護と関わっていきたいのか、たとえ中高年になっていたとしても考えるべきだと感じます。

今回の記事はあくまでも番外編です。

介護士にはできないこと。介護士だからできること。そんな働き方に目を向けることが大切だと紹介したいと思います。