介護のスキルを逆算して導く

具体的な「介護」支援を知っておく


介護の目的が、支援を必要としている人をサポートすることであるなら、自分自身の生活スタイルを思い返してみましょう。

都市部に住んでいる人もいれば、地方都市や山あいに暮らす人もいます。

職業や趣味、人生観まで含めると、人の暮らしは多種多様です。

一方で、そんな暮らしにも共通点を見つけることができます。

人が人間という動物である限り、食べものを食し、それを排せつすることで生命活動を継続させているからです。

また、現代社会では、入浴も重要な行為と言えます。毎日、湯船に浸からなくても、シャワーで汗を流す人も多いでしょう。

つまり、「介護」考える時、「食べること」「トイレで用を足すこと」「汗を流し清潔を保つこと」はどんな暮らしを営む人であっても、欠かすことができません。

介護現場で働く場合も、この3つのポイントを意識して知識や技術を修得することが求められます。

食事をすること


食事の時間は、栄養を摂取するだけでなく、同じテーブルを囲む人とのコミュニケーションの場でもあります。

それだけに、どこでどんな食事をするのかは、その人の暮らしを彩る重要な要素とも言えます。

一方で、医学的な見地から、食べることを理解しておくことも大切です。

例えば、どんな姿勢で食事するのか。

寝転んだままでも、嚥下(飲み込む行為)がしっかりしていれば食事を続けることができるかも知れません。しかし、加齢により嚥下機能が低下すると、正しい姿勢での食事が求められます。

なぜなら、間違った姿勢での食事は食道に隣接した気道に食べたものが流れ込み、むせるだけでなく、誤嚥性肺炎や窒息事故につながるからです。

そのことから、介護支援を行う場合には、姿勢や食事のペースなど、気を配りたいポイントがいくつかあります。

トイレで用を足すこと


普段の生活では、多くの人がトイレで用を足すでしょう。

しかし、介護支援が必要な人は、必ずしもトイレを使用できるとは限りません。

例えば、オムツを使って不意の排せつに備える場合があります。また、トイレまで歩行が困難な場合には、ベッド近くにポータブルトイレを設置して、そこで用を足すこともできます。

このように、普段何気なく行なっている行為も、歩行や認知機能が低下すれば、それに応じた手段で姿勢しなければいけません。

入浴をすること


炎天下で過ごすと、大量の汗をかきます。しかし、室内でほとんど動かなかったとしても、頭皮や脇の下、足の指など、いつの間に汗をかいていることもあります。

そのまま放置していれば、不快なだけでなく不衛生な環境が肌トラブルなどを招くこともあるでしょう。

トイレ同様に、お風呂まで歩行ができない人や、体を十分に洗うことができない人は、何らかの形で支援を必要とします。

そこで、頭皮をはじめとした、体の各部の洗い方を学ぶ必要があります。

なぜなら、入浴時は転倒のリスクやのぼせ、ヤケドなどの危険性も高く、正しい知識と技術が欠かせません。