もしも家族の誰かに「介護」が必要になったら……
介護というと、65歳以上の高齢者を想像されるかもしれません。
しかし、介護保険制度を利用できるのは、65歳以上の要支援または要介護を認められた人と、40歳以上で回復の見込みがない「癌(がん)」や「関節リュウマチ」など、厚生省が定められた特定疾患を患った人が該当します。
余談ですが、39歳以下だったらどうなるのかといえば、その時は「介護保険」ではなく「医療保険」が受け持ちます。
つまり、40歳になるまでは、介護サービスを受けることはできず、治療としての支援に限られるのです。
いずれにしても、40歳で特定疾患になった場合や、65歳以上で生活支援が必要になった場合などに「介護保険制度」が適用され、公的な介護サービスを受けることになります。
また、自宅などで家族同士で支援しているのであれば、制度とは無関係なので、国や地方自治体が関与することはありません。
もっとも、家族だけでは支えきれなくなった時に「公的な介護サービス」が必要で、それには介護認定審査会による調査が必要なのです。
覚えておきたい「各市区町村の窓口」と「地域包括支援センター」
以前は、公的な介護支援が国や地方自治体が主導する形で行われていました。
家族同士で支え合うというスタンスが一般的であるとし、それが叶わない場合に公的な介護支援を受けるというイメージだったのです。
「行政が支援してあげる!」
まさに「公的な介護」は、そんな言葉が似合っていました。
利用者の個性や好みを尊重することよりも、効率的な介護支援が優先されるものだったのでしょう。
しかし、「介護保険制度」が創設されたことで、医療の現場と介護の現場が切り離されることになり、介護支援が確立されたとも言えます。
その中で、利用者の個性や好みなど、「自立支援」が尊重されることにも繋がりました。
また、手続きに関しては各市町村が担当していますが、介護の具体的な支援方法やサービスに関しては「地域包括支援センター」という介護保険制度で作られた窓口が担うことになったのです。
両者は一見すると同じような機能を果たす機関ですが、その役割は異なり、相互に連携を取りながら利用者とその家族を支援しています。
地域やご近所という考え方がますます重要になる
子どもたちが独立し、老夫婦だけで暮らしているケースも少なくありません。また、夫婦のどちらかが他界した後も、ひとりで暮らしていることもあるでしょう。
実際問題として、独立し家庭を持つ子どもたちが、老いた親を招き入れることは簡単なことではありません。
特に「介護」が必要になった場合には、さらにハードルが高くなってしまいます。
その意味でも、夫婦だけの生活を健康に続けて行くことが重要で、介護予防という考え方も大きな意味を持つようになりました。
また、ご近所や地元サークルなど、地域交流も「介護」には重要な要素なのです。
公的な介護サービスでは、サービス内容に応じて点数化することで成立します。
しかし、地域でのちょっとした心づかいが、支援を求める地域住民に安らぎを与えることがあります。
新聞配達時の安否確認などもそんな交流の1つと言えるでしょう。ニュースをネットで閲覧することもできるのですが、その一方で簡略化しないことのメリットも再確認できます。