「介護」を担当者別に理解していく
前回の記事で、「介護」を理解するには「介護保険制度」を知ることが大切だと紹介しました。
まだ、記事を読んでいない人は、こちらも参考にしてください。
さて、今回の記事では「介護」を担当者ごとに考えてみることにします。
なぜなら、担当者には何らかの役割があるので、その人が何をするのかを知れば「介護」そのものを理解できるからです。
おもな登場人物
「介護」を理解するうえで最も重要な担当者は、ケアマネジャー(通称:ケアマネ)です。
その理由は「介護保険制度」にあり、この制度が誕生したことで「ケアマネジャー」という担当者も創設されたほどです。
ケアマネジャーの役割は、「ケアプラン」を作成すること。この辺りのことは前回の記事で詳しく紹介しています。
何はともあれ、「ケアプラン」がなければ、公的な介護サービスは始まらないので、それを担当者している「ケアマネジャー」という人物は是非とも覚えておきましょう。
それ以外にも、「医師」「看護師」、「介護士」「訓練士」などが重要な担当者となります。
さらに、市区町村の福祉課などの担当者、地域包括支援センターの職員なども介護を広く理解するにはチェックしておきたい人物になります。
前回のおさらいと追加ポイント
公的な介護サービスを利用したい人は、まず「認定調査」を行い介護度を算出してもらいます。この介護度によって、受けるサービスの種類や量が決まります。
その際、申込みを受け付けてくれるのは、各市町村の福祉課(注意:名称は各地で異なります)の担当者です。
つまり、介護サービスを受けるには、市区町村の職員が調査や手続きを進めてくれます。
さらに、地域包括支援センターという場所には、介護の専門家が在籍していて、「ケアプラン」の作成相談や、介護相談などを受け付けています。
書面上のことは「市区町村の福祉課」で、実際の介護計画は「地域包括支援センター」でと、相談内容によって使い分けると便利です。
ケアプランが決まり実際に公的な介護サービスを受ける時
介護はもともと医療の中に含まれていたものです。そのために、介護と医療はとても密接で、連携した対応が幾度も求められるようになります。
つまり、医療を担当者する医師や看護師、介護を担当者する介護士は厳密な役割に違いがありますが、相手の仕事ぶりを知っている方がいいでしょう。
ケアプランの内容によっては、「リハビリ」が行われます。
「リハビリ」をすることで、心身の機能を回復させる効果が期待できます。
さらに、「介護リハビリ」というような考え方もあり、機能回復訓練士の専門的なトレーニングではなく、介護現場の中のちょっとした行動で利用者の回復訓練をすることもあります。
成り立ちによる立場の違い
医師として働くには、大学の医学部で医学の知識を学ばなければいけません。さらに卒業後に医師免許を取得すると、晴れて「医師」と名乗れます。
看護師の場合には、大学の看護学部や看護専門学校などで学び、国家試験に合格しなければ、看護師として働くことはできません。
我らが「介護士」の場合、実務者研修を修了し、介護福祉士の国家試験に合格すれば、専門職として認められます。
しかし、医師や看護師とは異なり、介護福祉士の資格がなくても、介護施設で働くことができます。
実際、初任者研修だけの人も多く、現場で働くだけなら上位資格との差が少ないとも言われます。
介護福祉士に似た資格として、社会福祉士があります。
この社会福祉士は、介護施設で働く場合、利用者の直接的な介助を担うのではなく、事務所で書類作成や利用者家族からの相談などを担います。
地域包括支援センターで働く社会福祉士も少なくありません。
社会福祉士になるには、福祉系大学で学ぶのが基本です。介護福祉士の資格も福祉系大学
で取得可能ですが、現場経験からでも取得できるのが両者の違いでしょう。
同じ地域包括支援センターには保健師もいるのですが、この保健師は、看護師の上位資格に位置づけられています。
つまり、看護師がさらに経験を積むことで「保健師」になれるのです。
機能回復訓練士は、利用者の運動機能をサポートしています。機能回復訓練士として活躍するには、理学療法士や作業療法士の資格を大学や専門学校で取得するのが一般的です。
こうして見ると、無資格からでも働ける介護士だけが異質な存在なのが分かるでしょう。
それだけ幅広い人材から志願することができる一方で、「介護」の中では何でもこなせる体力が求められます。
そこで、国は新たな方針を打ち出し、「キャリアパス」という制度に力を注いでいます。
特に無資格でも始められる介護士は、初任者研修や実務者研修で介護知識を学び、さらに実務経験を積んで「介護福祉士」になることを推奨しています。
こうすることで、「介護」に対する専門性を見出し、介護士の処遇改善(給料アップ)につながります。
なぜ、介護士の給料が安いのかという疑問は、専門性というキャリアパスをたどることで解決します。
さらには、看護師や機能回復訓練士などを目指すことも視野に入ってくるでしょう。
このように、「介護」に関わる担当者を眺めてみれば、それぞれの仕事や立場も知ることができます。
そして、これから介護士として働きたい人は、介護士の立場や将来性も知ることができたのではないでしょうか。
就活中の中高年の方に介護の仕事をオススメするのはいい、働きながらキャリアアップできる点にあります。